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映画評

「レゴバットマン ザ・ムービー」鑑賞

ADHDの人向けに作られてるかのごとく、カラフルな画面と怒濤の如きギャグの展開に圧倒されますが、かなり楽しめる作品。 前作の「LEGO ムービー」、いや失礼、「LEGO® ムービー」は後半の意外なメタな展開におおっ!となった秀作でしたが、こっちは映画のクレジットとかにメタなツッコミが入ったりはするものの、基本的にはバットマンの世界に話を置いている。コメディ映画なんだけどバットマンの孤独さに焦点をあて、彼にはなぜロビン(とその他の仲間)が必要なのか?という点をうまく解説した作品でありました。なんでバットマンのコスチュームに比べてロビンのものはあんなに派手なのか?というのはコミックでもきちんと説明されてない案件なのだが、それも冗談半分ながらうまく分析してましたね。 サイコなバットマンとパッパラパーなロビンの組み合わせという点では、かの悪名高き「All Star Batman & Robin, the Boy Wonder」を彷彿とさせましたが、当然ながらあそこまでダークではなく、映画やテレビ版を含めたバットマンのフランチャイズの歴史に敬意を払った内容になっている。カイトマンとかカレン
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映画評

「ハクソー・リッジ」鑑賞

良心的兵役拒否者でありながらも第二次世界大戦に参戦し、沖縄の激戦で多くの人命を救った衛生兵デスモンド・ドスの活躍を描いた、メル・ギブソンの久々の監督作品。以下ネタバレ注意。 内容はおおまかに3つのパートに分かれていて、前半は敬虔なセブンスデー・アドベンチスト教会の信者として育ったデスモンドが、信仰上の理由から人を殺めることを拒否し、家庭内での暴力を目撃した経験から銃を持つことまで拒みつつも、戦場で戦う人々のために貢献したいという思いから陸軍へ入隊志願する姿が描かれる。 銃を扱わないばかりかベジタリアンで肉を食べず、安息日は訓練をしないデスモンドは当然ながら上官や同僚に疎まれるわけで、トイレ掃除を命じられ、同僚たちにはリンチをくらう次第。でもね、これが旧日本軍だったら上官に体罰をくらって恐らく廃人になってますよ。というわけで日本人から見ると彼が受けてる仕打ちは意外と生ぬるかったりする。ついに彼の態度が問題視されて軍法会議にかけられるのだが、デスモンドの父親の尽力もあって彼は除隊を命じられず、銃を持たぬまま戦場へ赴くことを許される。こういうのがアメリカ軍の余裕ですかね。なおデスモンド
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音楽

レジデンツのライブ

32年ぶりの来日、と聞けば行かずにはいられまい。場所がブルーノートというハイソな場所だったせいか、それとも50年くらい(!)活動してるバンドのせいか、年配の客が多かったような。 目玉とタキシードの格好という印象が強くて、来日のチラシなどでもそのイメージが使われているものの、彼らは何度もイメチェンを繰り返しておりまして、今度の来日にあわせて出してきたのが上の、牛とペスト医師みたいな格好。どういうコンセプトがあるのかわからないし、模索するだけ野暮でしょう。当然こんな格好では歌えないし楽器も見れないということで、実際のステージ上ではもっと簡略化された衣装でした: ミクラスみたいなツノを持った牛がボーカルで、ペスト医師はギターとキーボードとドラムという構成。衣装の端っこから覗ける手や顔の一部を見るあたり、そんなに年寄りそうには見えなかったので、当然ながらオリジナルメンバーが演奏しているとか、そういうものではないのでしょう。ギタリストが他のメンバーよりも背が高くて、そんなに身長差があるバンドだとは知らなかった。まあレジデンツを名乗ってれば中の人はどうでもいいんだよ!ということで。 肝
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映画評

「ムーンライト」鑑賞

というわけで今年のアカデミー作品賞。いちおうネタバレ注意。 観る前はあらすじがアートハウス映画っぽくていまいち分りにくい印象を受けたものの、要するに黒人のBL映画であった。戯曲を原案にしたものらしいが、話の舞台となるマイアミのリバティーシティ出身であるバリー・ジェンキンス監督の実経験が強く反映された内容になっているみたい。 内容は3部構成になっていて、麻薬中毒者の母を持ち、幼いころからゲイだといじめを受けてきたシャイロン少年が、成長するにつれて自分のアイデンティティやセクシャリティについて向き合っていく姿を叙情的に描いたもの。 第1部が子供の頃の話で、ろくに親に養ってもらえず困窮していたところを麻薬売人のホアンに助けられ、彼が父親代わりになって育ててもらうという話。第2部がティーンの頃で、同級生にひどくいじめられながらも、自分のセクシャリティに目覚めていく内容、そして第3部が成人したシャイロンが学生時代の友人と再会するというもの。 何か派手なことが起きるというよりも、決して楽ではない日常の暮らしの部分を丁寧に描いているといった感じですかね。ここがすごい!という内容ではなく、シ
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海外テレビ番組

「Feud」鑑賞

最近いちばんトンガった番組を作り続けている放送局であるFXの新作シリーズ。「アメリカン・ホラー・ストーリー」や「アメリカン・クライム・ストーリー」のようなアンソロジー作品で、ということはつまりクリエーターはライアン・マーフィー。 名前の通り歴史上のイザコザをテーマにしたもので、第1シーズンは「Bette and Joan」と称して、1962年の映画「何がジェーンに起こったか?」の撮影時における主演のジョーン・クロフォードとベティ・デイビスのあいだの諍いに焦点をあてたものになっている。 かつてはハリウッドで絶大な人気を誇り高額のギャラを手にしていたクロフォードも、年をとるにつれてスタジオから声がかからなくなり、出演作は激減していた。ペプシコの社長の未亡人という立場であったもののペプシコから支払われる年金は乏しく、庭師たちに給料が払えない有様であった。そんなとき彼女は「何がジェーンに起こったか?」の原作小説に目をつけ、映画化を画策する。まずはロバート・アルドリッチに監督の話をもちかけ、そしてベティ・デイビスに共演を頼みこむ。彼女との仲は悪かったのだが、彼女との共演が大きな話題になるこ
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映画評

「ラ・ラ・ランド」鑑賞

・おれジャズは苦手っす。 ・アカデミー賞で一悶着ありましたが、結果的に話題になったし劇場でヒットしてるし、良かったんじゃないですか。 ・全体的な感想としては、ミュージカルの入門編的な作りになっている作品かと。過去の作品のオマージュを散りばめながら、ビッグナンバーのところはしっかり派手に展開させて、恋愛に関するシーンは親密に撮って、能天気なミュージカルなどにはせずに緩急をつけて万人受けする内容に、巧みに仕上げている。 ・ただその一方で、皆が受け入れやすくするために作りをあまりにもベタにしてしまったのではないか、という印象は最後まで拭えなかった。カフェでバイトしてる女優志望とか伝統にこだわるミュージシャンなんて手垢のついた設定だし、歌が始まると周囲が暗くなるところとか、プラネタリウムでの演出はあまりにも型通りで興ざめしてしまった。デミアン・チャゼル、「セッション」のほうがもっとエッジの効いた演出してたよね。 ・「その予定が今日だったの、忘れていた!」という展開も1度なら許すよ、でも2度やるなよ!スマホでスケジュール管理してるなら、ちゃんと予定入れとけ! ・演出にくらべて撮影は確かに見事。
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映画評

「FENCES」鑑賞

アカデミー4部門にノミネートされてる作品。 故オーガスト・ウィルソンの戯曲を映画化したもので、主演のデンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィスはブロードウェイで既に同じ役をやってるんですね。だからあんな長ったらしいセリフをスラスラ話していたのか。デンゼルは監督もやっていて、以前の監督作「アントワン・フィッシャー」はそんなに高い評価を得なかった覚えがあるが、この映画に前後して監督した「グレイズ・アナトミー」の1エピソードは絶賛されてたので、監督しての腕前も上がってるんでしょう。 話の50年代のピッツバーグ。ゴミの収集をして働くトロイは、かつてニグロリーグでの優秀な野球選手だったが、メジャーリーグが黒人を受け入れるようになった時には年をとりすぎており、プロで活躍できなかったことを悔やんでいる人物。彼の妻のローズは献身的な妻であり、一人息子のコーリーだけでなく、戦争で脳に障害を負ったトロイの弟や、トロイが結婚前につくった息子にも優しく接していた。そしてコーリーはフットボールの選手として成功をつかむ機会を手に入れるが、トロイはそのことを快く思わず…というようなあらすじ。 元が舞台劇のた
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海外テレビ番組

「SS-GB」鑑賞

BBCの新作ミニシリーズで、レン・デイトンによる同名小説を原作にしたもの。邦訳もあるらしいですが読んでません。 いわゆる歴史改変もので、舞台は1941年のイギリス。この世界では約1年前にイギリス軍がバトル・オブ・ブリテンに敗北して、イングランドとウェールズの大半はナチスドイツに征服されていた。一部ではレジスタンスによる抵抗が続いているものの、大半のイギリス人はドイツ政権のもとで粛々と暮らしていた。そして主人公のダグラス・アーチャーはロンドン警視庁の警部であり、相棒とともにとある殺人事件を調査することになる。闇市場に絡んだ殺人だと見なされた事件だったが、ベルリンから連隊指揮官が謎の目的をもって警視庁にやってきたことから、アーチャーは国をゆるがす大きな陰謀に巻き込まれていく…といったあらすじ。 第1話を見た限りでは、パラレルワールドにおける刑事ものといった感じで、SFの要素はなし。似たような設定の作品には「高い城の男」があるが、あちらがどちらかといえばロードムービーっぽいのに対し、こちらは狭いロンドンを舞台にした陰謀ものといったところか。ドイツ軍の上司たちが何かを企むなか、アーチャー
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映画評

「グレートウォール」鑑賞

公開よりかなり前に試写で観た映画はこのブログで扱わないポリシーなのですが、これはいろいろバイアスかかって叩かれそうな気がするので、ざっと簡単に援護しておく。 アメリカよりも中国市場を狙った作品なのに中国本土での評判は良くなくて興収もパッとせず、先週末に公開されたアメリカでも興収が散々のようで、おまけに中国が舞台なのにマット・デーモンを主人公にするあたりは、白人中心のホワイトウォッシュではないかと批評されてるわけですね。まあここらへんは全部事実といえば事実だろう。 でもあまり深く考えずに観ればね、これ結構楽しめる作品でしたよ。「中国の万里の長城はモンスターを防ぐために建造された!」という中学生が考えそうなアイデア(だが原案はマックス・ブルックス)にかなりの製作費が費やされ、色彩を強調したチャン・イーモウの演出が加われば、悪くないに決まってるやん。モンスター襲来に備えて太鼓がドコドコうち鳴らされるシーンとか、観ててゾクゾクきますぜ。 主人公だってマット・デーモンでいいじゃん!知らない中国人役者が出てるよりいいだろ。中国人女優の景甜が容姿端麗で勇ましい女性指揮官を演じていて、ここらへ
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映画評

「CAPTAIN FANTASTIC」鑑賞

日本では「はじまりへの旅」という題で4月1日に公開。なおエルトン・ジョンの同名のアルバムとは何も関係なし。 ベン・キャッシュは俗世間に幻滅し、人里離れた山奥に移って6人の子供たちと暮らし、サバイバルの技術と資本主義に頼らないものの考え方を教えていた。彼の妻のレスリーは病気療養のため実家に戻っていたのだが、改善せずに亡くなったとの連絡がベンのもとに届く。ベンのことを好ましく思っていないレスリーの両親は、彼を招かずにキリスト教の葬式を挙げようとするが、レスリーは仏教徒であり火葬を望んでいたことを知っているベンは、レスリーの遺体を取り返すため、おんぼろバスを運転して子供たちとともにレスリーの両親のもとに向かうのだった…というあらすじ。 2時間の尺のうち1時間がロードムービー、1時間が両親たちとのやりとりという内訳で、ニューエイジ・カルトの人たちが山から下りてきたというプロットのクリーシェが満載でお腹いっぱい。同年代の女の子たちを見てドギマギする思春期の長男とか、ゲームばっかりやってる都会のクソガキに対して博識を披露する末の子とか、保守的な養父母に接するにあたって空気の読めない行動を繰り
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海外テレビ番組

「レギオン」鑑賞

「LEGION」と書いてリージョンと読む。でもなぜか邦題は「レギオン」。 いちおうマーベルのコミックが原作で、原作だとリージョンことデビッド・ホーラーはプロフェッサーXの息子で多重人格障害を持ち、それぞれの人格が独自のスーパーパワーを持つという結構凄そうな能力を誇るミュータントなのだけど、やはり精神障害者という設定が災いしてか、いまいち活躍していないキャラクターなんだよな(昨年あたりマーベルから出てたシリーズは悪くなかったけど)。 でもこの番組についてそんなことはどうでもよくて、重要なのはTVシリーズ版「ファーゴ」を作ったノア・ホーリーによる新番組だということ。「ファーゴ」でも空飛ぶ円盤が登場して話が暴走しつつも、あくまでもノワールの枠に収まっていたが、こっちはSFテイストの作品ということでストーリーが自在に吹っ飛んでいます。 主人公のデビッドは幼少の頃こそ優秀な少年だったものの、青年になったときに多数の人の声が頭のなかで聞こえるようになり、精神に異常をきたして自殺未遂を行い、精神病院へと送り込まれる。そこで彼はシドニーという少女に出会い、二人は恋に落ちる。しかしシドニーは退院
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海外テレビ番組

「POWERLESS」鑑賞

NBCの新作コメディシリーズ。DCコミックスの世界を舞台にした内容だが、「アロー」や「スーパーガール」みたいなThe CWの番組とは別のユニバースという設定らしい。 舞台となるのは大都市チャーム・シティ。そこではスーパーヒーローとスーパーヴィランの戦いが恒常的に行われ、交通機関の破壊などで一般市民に影響が出ることは日常茶飯事だった。田舎町出身のエミリーは、ブルース・ウェイン率いるウェインテックの子会社であるウェイン・セキュリティーズの開発部門のチーフとして働くことになり、胸をときめかせて会社にやってくるものの、開発チームは変人ばかりでろくな製品の開発ができず、レックスコープの後塵を拝している始末。社長のヴァン・ウェインもとっとと会社をたたみ、いとこのブルースの住むゴッサムシティへと移りたがっていた。それを目にして気落ちするエミリーだったが、やる気を出して開発部門を奮起させようと試みる…といったあらすじ。 DCコミックス作品とはいえ、スーパーマンやバットマンといった有名どころは言及されるだけで登場するわけではない。当然ブルース・ウェインの登場も(今のところは)なし。代わりに第1話で
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映画評

「ドクター・ストレンジ」鑑賞

感想をざっと。 ・個人的な偏見で言わせてもらうと、そもそもドクター・ストレンジって映画で主役はれるキャラクターではないのである。コミックでもスティーブ・ディトコが描いていた60年代の最初期こそはディトコのサイケなデザインと当時のニューエイジ文化がうまくマッチして彼を人気キャラクターにのし上げたものの、それ以降は主役のシリーズがあっても、いまいちトップクラスのスーパーヒーローにはなれなかったような。DCコミックスの魔法キャラはアラン・ムーアやニール・ゲイマンのおかげで設定の凝ったキャラクターが多数いた一方で、マーベルは魔法世界や魔法キャラの設定が曖昧で、さほど確固としたグループが構築できなかったんだよな。よってドクター・ストレンジも他のヒーローのコミックに脇役として出てくる分には面白かったものの、主役となったシリーズはどれも評価がさほど高くなかったような覚えが。しかし90年代後半にジョー・ケサーダが編集長となってからはなぜか彼をゴリ推しする運動が始まり(これはケサーダも明言している)、それが決して成功しているとは思えなかったものの、こうしてハリウッドの大作映画も1つできてしまった。ケ
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海外テレビ番組

「RIVERDALE」鑑賞

アメリカの人気コミック「アーチー」を原作にしたThe CWの新シリーズ。 「アーチー(・コミックス)」って日本ではあまり馴染みがないけれど、1940年代から出版されているアメリカでは誰もが知ってるような作品でして、出版社の名前もずばり「アーチー・コミックス」といって、1つのブランドになっているわけですね。むかしNHKでやっていたシットコム「サブリナ」もアーチー・コミックスの作品が原作な。スーパーヒーローものの作品も「ザ・シールド」とか出していたこともあるけど、メインの売りはなんといっても「アーチー」でして、平和な田舎町リバーデイルを舞台に、赤毛でドジだけど純情な少年アーチー・アンドリュース君と、幼馴染のベティ、およびお金持ちの娘のベロニカという二人の少女との三角関係が数十年に渡って展開されてきた少年少女向けのコミックなのです。 ティーンの恋愛といってもドロドロした関係とか性的な描写とかは一切なくて、素朴な白人男女が他愛ないラブコメを繰り広げる人畜無害の内容でして、たしか50年代にコミックス・コードが導入されたときも団体の代表として率先してコミックの表現規制を行っていたのが、当時の
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映画評

「沈黙 サイレンス」鑑賞

感想をざっと。 ・スコセッシの前作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」はドタバタが続いて3時間があっという間の作品だったが、こちらは主人公たちが苦悩する姿が同じくらいの時間続くので、なかなか観ていてしんどい作品ではあったよ。大作ではあるのだが、シネコンで大勢で観る映画にしてはアートシネマすぎるというか。 ・原作は読んでないので比較などはできません。なぜ日本ではそもそも根付かないのかということや、仏教との比較などについてもっと掘り下げて欲しかった気もするものの、そこらへんは原作だとどうなっているんだろう。ただ映画というのは必然的に映像の媒体であるわけで、目から映像が入ってきてしまうために神の痛々しい「沈黙」を表すのは小説に比べて不向きであるような気もする。 ・その反面、映像の美しさは際立ったものがあった。撮影監督のロドリゴ・プリエトって「ウルフ〜」からスコセッシと組むようになった人なのか。台湾で撮影されたとはいえ日本の村のセットなどもよく出来ていたと思う。 ・司祭にほとんど会ったことのない村民までもが英語に堪能なのはご愛嬌。というか劇中ではポルトガル語を話しているという設定なの
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映画評

「The Fits」観賞

昨年にサンダンスなどで公開されて高い評価を得ていた作品。 11歳の少女トニは地元の体育館で兄と一緒にボクシングを習っていたが、たまたま目にしたチームダンスのレッスンに心を奪われ、ダンスのレッスンも受けて他の少女たちに追いつこうとする。しかしチームのなかで奇妙な痙攣を起こして卒倒する少女が表れ、さらに同様の症状を起こす少女が続出したことでトニは不安になっていく…というあらすじ。 ホラーっぽい演出もあるんだけどホラーではなくて、むしろ思春期を迎える少女の不安定な心境を映し出した内容になっている。72分という短い尺のなかでは怪奇現象に対する説明などは一切行われず、ムダな部分がないままトニの話が淡々と続いていく。セーレムの魔女狩りなどの集団パニックの話をベースにしているらしいが、怪奇現象に見舞われる人が続出した場合、むしろ症状が出ない人のほうが異端なのでは?ということも示唆されていて、題名の「FITS」は「痙攣」だけでなく「周囲にフィットすること」も意味していることがよく分かる。 監督のアナ・ローズ・ホーマーにとってこれがデビュー作になるらしい。著名な役者は出ていなくて、トニ役はロイヤ
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海外テレビ番組

「TABOO」鑑賞

トム・ハーディが父親のチップス・ハーディと共に企画したBBCのミニシリーズ。脚本は「イースタン・プロミス」のスティーブン・ナイトが手がけ、製作にはリドリー・スコットも絡んでいる。 舞台は1814年のロンドン。錯乱して死んでいった父親の葬儀に、何年も前にアフリカで失踪して死んだと思われていたジェームズ・ディラーニーが姿を現し、周囲を驚かせる。アフリカで財をなしたジェームスだが、父親が残したバンクーバーの小さな土地の所有権を受け取りに彼はやってきたのだった。実はその土地はイギリスとアメリカの領土争いの境界にあり、その土地を手にすれば中国への貿易の足がかりにすることができるため、イギリス東インド会社はジェームスの腹違いの妹から土地を買い取る予定だったが、優先的な所有権を持つジェームスが受け渡しを拒んだことで、ジェームスと東インド会社は対立することになる…というようなあらすじ。 全8話あるうちの第1話を見た限りでは、まだ登場人物が紹介される程度しか話が進まないので今後の展開はちょっと分かりにくいな。ジェームスがアフリカで何をしてきたのか、そして帰国した彼が何を画策しているのかが徐々に明ら
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海外テレビ番組

「SHERLOCK」シリーズ4開始

ここ数年はクリスマスに「ドクター・フー」を観て、正月に「SHERLOCK」を観るのが恒例になったな…と思いきやシリーズ3の放送ってもう3年前か。前シリーズは結構グデグデな終わりかたをして、時空を乱したメタな展開の「忌まわしき花嫁」は番外編的な扱いになっていたが、今回はシーズン第1話ということもあってか比較的「通常の」エピソードっぽくなっている。とはいえ大きな展開が起きる内容になっており、それについて言及せずに感想を述べることはできないので、以下はネタバレ注意。 いいですね? マグヌセンの射殺とモリアーティの復活というクリフハンガーで幕を閉じた前シリーズだが、前者は政府の力でウヤムヤにされ、後者は「生前に撮影したメッセージだろ」とさっさと片付けられてしまう!まあ後者はさすがに後への伏線になってるでしょうが。よって無罪放免になったシャーロックはベイカー街に戻って以前にも増して難事件の推理に精を出し、ワトソンとメアリーのあいだにも子供が生まれて皆が大忙し。そんなところにレストレードが持ち込んだ事件を手がけたシャーロックは、事件の依頼人の部屋にあったマーガレット・サッチャーの胸像が何者か
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雑記

謹賀新年

あけましておめでとうございます。 ご存知のように2016年は有名人がやたら亡くなったり、政治の素人がアメリカの大統領になったりとロクな年ではありませんでして、個人的にも仕事でガックリくるようなこともありまして、2017年はもっとマシな年になることに期待したいところです。転職しようかなぁ。 その一方でこれからの人生ガツガツせずに、そこそこの生活レベルで趣味に生きる生活をするのもありなのかと思うところもありまして、まあ人生的にそういう岐路に来ているのでしょう。少なくとも生きてて退屈しないだけの趣味はあるわけで、それはそれで幸せなのかも。最近は忙しくて本を読む暇がないので、今年は無理してでも時間をつくって、読みたかった小説とかを読む習慣を身に付けたいところです。あとはやはり健康に気をつけましょうね。体壊したら何もできないですから。 旅行はたまったマイレージを使って香港かマカオあたりに行きたいのと、JRの周回切符みたいなのを使って鈍行の旅をするのもいいかなと。ちょっと足を伸ばして筑波山や赤城山に行くのも良いかな。あまりケチケチせずに旅行には金を使いたいですね。その一方でお金が入ったらど
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映画評

2016年の映画トップ10

上位5位と下位5位を、順不同で観た順に並べていく: <上位5位> ・「ブリッジ・オブ・スパイ」 あまり期待しないで観たら、唸るくらいに面白かった。主人公が1対2の捕虜交換に奔走する脚本が巧みなんだよな。 ・「オデッセイ」 主人公が難題を1つ1つ解決していくさまが、何度でも観られる映画。サバイバルに必要なのは信仰とかではなく科学なんだよという態度も素晴らしい。 ・「ハードコア(・ヘンリー)」 ギミック映画だと言ってしまえばそれまでなんだけど、意外としっかりSF映画してたし、シャールト・コプリーの演技は見事だった。 ・「April and the Extraordinary World」 今年は日本に限らず、アニメーションの当たり年だった。 ・「Kubo and the Two Strings もう1つのアニメの傑作。なんでこれが日本で公開されないのか、とんと分からん。 <下位5位> ・「ANOMALISA」 なぜリサは日本語を習っているのか?彼女の最後の言葉の意味することは?といったことにまつわるファンセオリーも調べてみると興味深いですよ。 ・「シビル・ウォー/
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海外テレビ番組

「The Return Of Doctor Mysterio」鑑賞

毎年恒例の「ドクター・フー」のクリスマス特番だよ。今年はレギュラーシーズンの放送がなかったので、「CLASS」を除けば1年ぶりのドクター・フーとなるのであります。 クララたんが去ったことで今回はコンパニオンがおらず、代わりにマット・ルーカス演じるナードールが昨年のクリスマス特番に引き続いて登場するのだが、1年前の話なぞきちんと覚えてないので「誰だっけ…」という状態でした。彼はどうも来年のシーズンにもレギュラーとして登場するみたい。 そして話の舞台はニューヨーク。子供のときにドクターと遭遇したことでスーパーマンのごとき超能力を身につけたグラント少年は、成長してからは「ザ・ゴースト」というスーパーヒーローに扮し、ニューヨークの人々を危険から救っていた。その一方では一般人として、密かに想いを寄せる女性記者のルーシーの赤ん坊の世話をしていた。そんな彼のもとに久しぶりにドクターが現れる。彼はニューヨークの大企業における、エイリアンの地球侵略計画を調査していたのだが、エイリアンの魔の手はルーシーたちにも襲い掛かり…というようなあらすじ。 明らかに昨今のスーパーヒーロー作品に触発されてスティ
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映画評

「新感染 ファイナル・エクスプレス」鑑賞

英題が「TRAIN TO BUSAN」で、日本では「釜山行き」という仮の邦題(?)で話題になっていた韓国のゾンビ映画。こないだこういうアレな邦題になったようで。 プロット自体はいたってシンプルで、韓国でゾンビ(強烈な感染能力を持っており、ちょっと噛まれただけでその人もゾンビになる)が大量発生し、ソウルを出発した高速鉄道にもゾンビが紛れ込む。列車の乗客たちはゾンビを撃退しつつ、安全な土地を目指そうとするが…というもの。 いちおうゾンビが発生した原因にもちょとだけ言及されてるものの、ゾンビと言ったらゾンビだろ!というわけで理屈めいたことなしに序盤からゾンビな展開に突入していく。2時間というホラーにしては比較的長めの尺だが、テンポもいいし展開も早いので中だるみもせずシェイプアップされた作品になっている。 一番の特徴はやはり列車という限られた空間を舞台にしていることで、隣の車両からやってくるゾンビ集団をどう防ぐかとか、離れた車両にいる友人たちをどうやって救出するか、といった点が話の重要なポイントになっている。あとは極限の状況における生存者のあいだでの確執も当然ながら描かれていて、ここら
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映画評

「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」鑑賞

まだ公開されたばかりなので感想をざっと。でもいちおうネタバレ注意。 ・カメラワークも違うしワイプもないし、明らかに従来の「スター・ウォーズ」とは一線を画したスタイルをとっているが、それはそれで割り切っちゃってありだと思う。タイトルクロールは残しておいて欲しかったと思うけど。ウィルヘルム・スクリームも無かったよね? ・ストームトルーパーのボディーアーマーはハリボテか。銃にやられるのはまだしも、打撃にも弱いのでは着けてる意味がないだろうに。 ・デス・スターってハイパースペース・ジャンプできるのか。なら「エピソード4」でヤヴィン4を射程に入れるのにあれだけ時間がかかったのは何だったのだろう。 ・つうか帝国軍よお、惑星全体を囲めるバリアを開発できるなら、「エピソード6」のシールド発生装置もさらにそれで保護すればよかったんじゃね? ・キャストはフェリシティ・ジョーンズが「インフェルノ」以上に無表情なのが気になったが、まあ可も不可もなし。イギリス英語を話す登場人物が多いなかでディエゴ・ルナがメキシコ訛りの英語を話していて、どこの世界の話かと。あと中国市場へのアピールというのを置いておい
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音楽

ボブ・ディランのノーベル賞スピーチ

翻訳の勉強も兼ねて、ボブ・ディランのノーベル賞受賞のスピーチ(本人は式典に欠席)を訳してみたのだよ。原文はこちら。コピーライトは© The Nobel Foundation 2016. 12月10日から2週間のあいだはどんな言語でも事前承諾なしで掲載してオッケー、みたいなことが書いてあるので著作権的にもクリアされてると思います。 (2016年12月10日、スウェーデンの駐米大使アジータ・ラジによる、ボブ・ディランからのノーベル賞授賞式でのスピーチ。) 皆様こんばんは。スウェーデン・アカデミーの会員各位および会場にいらっしゃる名高いお客様たちに、心からのご挨拶をさせていただきます。 私自身が式典に出席することができず申し訳ありません。しかし私の気持ちは皆様とともにあり、このような栄誉ある賞を受け取ることができたことを光栄に思っています。ノーベル文学賞を受け取れるなんて、私はまったく予想も想像もしていませんでした。私は若い頃から、この賞を得た作家たちの作品を読み、多くを学びました。キップリングやショー、トーマス・マン、パール・バック、アルベール・カミユ、ヘミングウェイなど。こうした文
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映画評

「Hunt for the Wilderpeople」鑑賞

「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」のタイカ・ワイティティ監督作品。 舞台となるのはニュージーランドの山奥。身寄りがなく素行不良で孤児院を転々としてきた少年リッキーは、愛想のいいベラと無口なヘクの夫婦が住む農場へ引き取られる。そこでもすぐ逃走を試みるリッキーだったが、寛大で優しいベラに対して徐々に心を開いていくようになる。しかしそんなベラが急死してしまい、リッキーはベラと違ってカタブツなヘクと二人で暮らすことになってしまう。だがベラが亡くなったことで児童福祉の機関がリッキーを孤児院に連れ戻そうとしたため、それを嫌がったリッキーは山奥へと逃げて迷子になってしまう。山に精通したヘクは容易に彼を見つけるものの、ヘクが足を負傷したことでふたりは山奥でしばらく暮らすことに。そうとも知らずに児童福祉の担当者はヘクがリッキーを誘拐したと思い込み、いつのまにかリッキーとヘクは追われる身になってしまう。そして逃避行を続ける二人のあいだには奇妙な友情が芽生え…というあらすじ。 バリー・クランプというニュージーランドでは有名な作家の小説を原作にしているらしいですが、話がチャプター分けされてたり、淡々
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