映画の雑記 「28年後…」鑑賞 アカデミー賞を受賞してるので決して評価されてないわけではないのだろうが、ダニー・ボイルって扱うジャンルが幅広すぎるせいかあまり玄人好みされてない印象があるけど、個人的には彼の撮影・編集・音楽のセンスって非常に優れたものがあると考えるのです。今回も音楽こそ控えめだけど(でも予告編のキプリングの詩の朗読は見事だった)、iPhoneで撮影されたという映像は美しいし編集も効果的で、それだけでほかのゾンビ映画と一線を画しているのでは。 * 内容は当然「28日後…」の続編なのだが、あれから28年も経ってるので世界観もずいぶん変わっている。「28週後...」のラストもしれっと受け流されていて、さらに言うと「28日後…」の最後、感染者たちはいずれ食物が無くなって自滅するという設定はどうなったんだ。あと28年も経つと感染者たちも高齢化問題が出てきて後継不足になりそうな気がするが、そういうことを考えるのは野暮というものでしょう。 * 内容的には「28日後…」よりも、親を助けるために奮闘する子供という設定は、同じくダニー・ボイルの「ミリオンズ」に通じるのでは。じゃあファミリー向け映画なのかというとそう
映画の雑記 「Art Spiegelman: Disaster Is My Muse」鑑賞 米PBSで放送された、「マウス」で知られるアンダーグラウンド・コミックスの雄アート・スピーゲルマンのドキュメンタリー。まあアンダーグラウンド・コミック作家といってもピューリッツァー賞を獲ってるような超有名な作家だし、ここでは「DCやマーベルなんかでは仕事してないマンガ家」くらいのニュアンスだと思ってください。 90分超という結構な尺をもってスピーゲルマンの生涯と功績がみっちり語られる内容で、子供の頃からマンガが好きで、スーパーで見かけた「MAD」に大きな影響を受けた話とか、自分でファンジンを作って売ってたらプロの目にとまって業界で働くことになったいきさつなどが紹介されていく。NYからサンフランシスコに渡ってロバート・クラムと組んだり、自分の妻で仕事のパートナーであるフランソワーズ・モーリーと出会ったいきさつなども語られ、自宅でロバート&アイリーン・クラム夫妻と会食してコミックについて語りあう貴重な映像もあり。あとはジョー・サッコやビル・グリフィスといった著名な作家のインタビューがあるほか、アーカイブ映像でクリス・ウェアやチャールズ・バーンズなどが登場。前衛コミック誌「RAW」を編集し
映画の雑記 2022年の映画トップ10 今年はそれなりに劇場に足を運んで映画を観た年だったかな。じゃあ傑作が多かったかというと必ずしもそうではないのだが。よってちょっと無理に10本選んだ感もあるが、以下は順不同で。 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』 映画そのものよりも、Youtubeとかにあがってる「海外の観客のリアクション」が面白い作品だった。過去のキャラクターの活躍に大声で狂乱する客とか、日本ではあまり見られない光景だからね。 『ウエスト・サイド・ストーリー』 スピルバーグ健在。冒頭のカメラワークから引き込まれる。ヤヌス・キンスキーの色褪せた撮影スタイルって好きじゃないのだけど、今回はそれが控えめで色調豊かだったのも良かった。 『アフター・ヤン』 コゴナダの作品は前作の方が好きだったけど、美しい映像で語られる物静かなアンドロイドの物語。 『The Innocents』 今年の1位を挙げるとしたらこれかな。大友克洋の「童夢」のパクリだろ、と言われればそれまでなのだが雰囲気の盛り上げ方が素晴らしい。 『Mad God』 グロシーンのいくつかは半年たった今でもトラウマです。 『GOOD LUCK
映画の雑記 「HELSTROM」鑑賞 米HULUのオリジナルシリーズでマーベル・コミックスの作品を原作にしたもの。基になったキャラクターのデイモン・ヘルストロムって70年代に「ゴーストライダー」のようなオカルトっぽいキャラクターの成功にあやかって考案されたもので、そのまんま「SON OF SATAN」というおどろおどろしい題名がつけられて登場したのだが、はっきり言って非常にマイナーなキャラクターなので、その名の通りサタンの息子らしい、ということ以外は俺もよく知りません。そもそもマーベル・ユニバースにサタンなんていたっけか?90年代初期にも彼を主人公にしたシリーズが短期間あって、駆け出しだった頃のウォーレン・エリスが敗戦処理のようなライターを務めていた覚えが。 そして彼にはサターナという妹がいるのだが、こちらになるとヘルストロム以上にマイナーなキャラクターなので全くよく知りません。彼と同様にサタンの娘(リリー・コリンズ?)ということくらい。 ただでさえマーベルはDCに比べてオカルト/魔法系のキャラクターの層が薄くて、地獄でいちばん偉そうなメフィストも人の結婚にちょっかい出してる程度なのだが、なんでこんなマイナーなキャ
映画の雑記 「カセットテープ・ダイアリーズ」鑑賞 自宅待機者用に米HBOがいろいろ番組を無料提供してまして、VPNをゴニョゴニョして鑑賞。日本では4月17日に公開予定だったが延期。 舞台は1987年。イギリスのルートンに住むパキスタン系移民のジャベッドは作家志望の少年だったが伝統を重んじる保守的な父親のもとで暮らし、町ではスキンヘッドに差別を受けるなど、さえない日々を送っていた。そんな彼の生活は、同じくパキスタン系の同級生からブルース・スプリングスティーンのカセットを聴かされたことで一変する。ザ・ボスの歌詞が自分の環境と重なることに感激した彼は、スプリングスティーンの素晴らしさを周囲にも伝えようとするのだった…というあらすじ。 当然ながらスプリングスティーンの楽曲が全編に使われていて、彼の音楽に力づけられたジャベッドがガールフレンドを見つけたり、文章を書いたり、親のプレッシャーに抵抗するような内容になっている。ミュージカルみたくみんなで合唱するシーンもあるけど、基本的にはストレートな青春映画かな。インド(パキスタン)系の男性が主人公の音楽映画ということでダニー・ボイルの「イエスタデイ」と比べる人もいるようだけど、あっちはもっとファ
映画の雑記 2018年の映画トップ10 今年は明確なベスト作品が1つ。あとの9つは順不同とする。 <今年のベスト> ・「スパイダーマン:スパイダーバース」 みんなが頑張ってアメコミを実写化しているのを横目に、スコーンとホームランを打って、やはりアメコミの映像化ってアニメが向いているんじゃないかと思わせるような作品。キャラクターの設定とストーリーがよく練られていて、観る人を圧倒させる出来だった。スーパーヒーロー映画に限らず、これからの娯楽作品の流れを変えるかもしれない画期的作品。 (あとは順不同) 「Columbus」 監督デビュー作とは思えない落ち着きっぷりで、街の数々の美しい建造物をバックに、男女それぞれの生き様が描かれるのが印象的だった。ジョン・チョーは「search/サーチ」も良かったね。 「シェイプ・オブ・ウォーター」 しっとりとしたファンタジー。デルトロ監督がオスカーを手にして言った「ドアはここだ。蹴破ってこい」というスピーチは記憶によく残っている。 「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」 これ配信と劇場で2回観たのだが、再見することによって細かい演出(男は過去を見て左向きに座り、女は未来を見て右を向いている)
映画の雑記 ケリー・マリー・トランの寄稿 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」に出演したら、やれアジア人だの女性だのと壮絶なハラスメントにさらされ、SNSの投稿を全削除することになったケリー・マリー・トランが、ニューヨーク・タイムズに寄稿した文章をざっと訳してみた。原文はこちら。決して名文というわけではないが、広める価値はあると思ったので。 日本でも「スター・ウォーズにアジア人なんか出すな」という心ないことを言った連中がいたそうだが、そういう連中こそ読むべきものであろう。 ケリー・マリー・トラン:私はネットの嫌がらせに屈しません 編注:この夏、彼女はネット上の嫌がらせを受けて、インスタグラムの投稿を全て削除しました。これはその後の彼女の初の発言です。 問題は彼らの言葉ではなく、私がその言葉を信じ始めたことでした。 彼らの言葉は、女性として、有色人種として育ったことで、すでに私に教え込まれたことを保証するかのように思えたのです:私は脇の空間にいるべき存在で、彼らの人生や物語のマイナーな脇役としてのみ意義があると。 そしてその言葉は、私の奥深くに潜んでいた何かを目覚めさせました。私がとっくに抜け出せたと思っていた感覚
映画評 「The Lost City of Z」鑑賞 タイトルだけ見ると「またゾンビものかい!」と勘違いしそうだが、そんなんでは全くなくて真面目な伝記映画。 アマゾンの秘境の探索に心血を注いだ冒険家パーシー・フォーセットの半生を描いたもので、話は20世紀初頭から始まる。イギリス陸軍に所属していたフォーセットは技量を見込まれ、南米のボリビアとブラジルの紛争調停のために両国の国境線の測量を依頼される。親が没落させた家系の出身であるフォーセットは、家の名誉の挽回を狙って依頼を受託し、うだるような暑さのジャングルの奥地へと向かう。そこでは原住民に襲われたりと苦難に見舞われながらも川をさかのぼり任務を達成した彼だったが、そこで陶器の破片や彫像を発見し、かつてアマゾンの奥地には高度に発達した文明が存在したという確信を抱くようになる。フォーセットはその文明の都市を「Z(ゼッド)」と名付け、帰国したのちに学会で発表するものの、他の学者たちには信用されずに嘲笑されてしまう。しかし彼の信念は揺るぎなく、ゼッドの存在を明かすために彼はふたたびアマゾンへと向かうのであった…というあらすじ。 フォーセットはインディ・ジョーンズやチャレンジャー教授のモデルにも
映画の雑記 「WILL」鑑賞 若き日のシェイクスピアを描いたTNTの新シリーズ。これBBCかどこかの番組かと思いきや、TNTオリジナルの作品なのですね。例えばThe CWがティーンの視聴者目当てに、プリンセスが主人公の時代劇「Reign」を放送したりするのは分かるのですが、どちらかといえば無骨な番組が多いTNTが、こんな時代劇を放送してどうするんだろう? 物語は20代のシェイクスピアが劇作家としてロンドンでの成功を求めて、妻子を残してストラットフォードを離れるところから始まる。そしてロンドンにたどり着いた彼はツテを使って劇場を運営するジェームズ・バーベッジのもとに赴き、ひょんなことから新しい劇の脚本を担当することになる。しかし当時のロンドンは当局によるカソリック狩りが激化しており、カソリックのシェイクスピアにとっては危険な場所であった…というようなあらすじ。 ロンドン行きの場面でザ・クラッシュの「ロンドン・コーリング」が流れ、そのあとにはザ・ジャムの「ザッツ・エンターテインメント」がかかる演出からも分かるように、時代考証とかは二の次で、かなり現代風にアレンジされたシェイクスピアの物語となっている。劇場の観客は
映画の雑記 実写版「フューチュラマ」! なんかよく分からないけどすごい!なんだこれは!公式サイトはこちら。 この手の実写化って最近はポルノ版ばかりが作られてる印象があったので(シンプソンズとか)、また登場人物がすっぽんぽんになるのではないかと勝手に期待して見てたのだが、これはあくまでもファンが真面目なオマージュとして作ったものらしいぞ。 まあ確かにキャラクターの声が違うのは違和感あるし、一つ目のリーラはグロすぎやしないかという気もするものの、ロボットのベンダーなんかはとてもよくできているではないか。こういうの自分たちで作ってしまうのがいいよねえ。 予告編だけではなく長編もきちんと作る予定らしいので、ここは暖かく見守ろうではないか。フォックスが訴えなければいいのだけど。
映画評 「X-MEN:アポカリプス」鑑賞 アメリカで見てきた。27日公開でも東海岸が27日になってれば西海岸では26日に封切りされるの?日本公開は8月なのでネタバレしないように感想をざっと: ・本国では批評家の評判が悪くて、なかには「ファイナル・ディシジョン以下」という評もあったので覚悟しながら観たけど、何のことはなく普通に楽しめる作品であったよ。 ・そりゃミュータントが狩られるなか、政治的不安を背景にエグゼビアとマグニートとミスティークの思想を絡め、さらに過去と未来の姿を描いた傑作だった前作に比べれば出来は劣るよ。大人が主人公だったあちらに比べて、こっちは少年少女が主体の映画だもの。だから変に期待せずに気楽に観ればいいんじゃないですか。 ・悪い点を先に言っておくと、やはり悪役にアポカリプスを持ってきたところ。コミックでも図体デカくて威張ってる割にはいまいち何をしたいのかよく分からない奴なのだが、今回も石の下敷きになって何千年も無力だったのが突然目覚めて世界に新しい秩序をもたらそうとするあたり、なんか迷惑なオッサンだなという感じは否めない。ミュータントであるXメンたちに脅威を与える存在でないと悪役としての魅力は半減して
映画評 「CARTEL LAND」鑑賞 今度のアカデミー賞にノミネートされてるドキュメンタリー。 メキシコの麻薬カルテルに対して、法の手を借りずに自分たちで対処することにした人々を追ったもので、アメリカのアリゾナではティム・ホーリーという男性が、メキシコではホセ・ミレレスという医師がそれぞれ自警団を結成し、カルテルの撲滅および麻薬の密輸の阻止のために活動するさまが紹介されていく。 ホーリーは崩壊家庭の出身で、自らも酒とドラッグに溺れていたが子供ができたことで更生し、きちんと職に就こうとするもののメキシコからの不法移民に職をとられ、やがて彼らが移民した背景にはカルテルの横暴があることに気づき、国境を守るために自警団を結成したというもの。決してレイシストのようには描かれていないし、夜中に荒野をパトロールしてたりするものの、カルテルのギャングに遭遇するわけでもなく、彼の行動にどこまで効果があるのかは微妙なところだったな。 対してメキシコのミレレスたちの状況は遥かに深刻で、麻薬カルテル(なぜか「テンプル騎士団」と名乗っている)が地元のビジネスを牛耳り、みかじめ料を払えない者は幼い子供も含めて一家皆殺しにされるという環境のなか
映画の雑記 謹賀新年 あけましておめでとうございます。 今年はいよいよ仕事の方が本格的に厳しくなりそうで、余裕があるうちに新天地を求めるのも有りなのかなあ、と漠然と考えております。まあここらへんはなかなか思うようにいかないのでしょうが。 相変わらずの独り身ですが、興味をそそられる映画や本に囲まれ、休日も退屈することなく過ごしてられるのは良いことですかね。とはいえもうちょっと効率良く物事を片付けられるようになるとよいのですが。あとは皆様も健康にはくれぐれもお気をつけください。 今年は登山や旅行に加え、囲碁の遊び方を学んだり、国家資格(通訳案内士)の取得を目指すのも良いかな、と考えております。忙しくてブログもなかなか更新できなくなってきましたが、どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
映画の雑記 2015年の映画トップ10 一年が経つのは早いですね。また例によって評判が良いのに観てない作品がたくさんあるのですが(「ルック・オブ・サイレンス」とか)、とりあえず今年の良かった作品10本を観た順に並べていきます: ・「パレードへようこそ」 ベタな内容ではあるものの、ラストの行進で「握手の旗」が出てくるところはつい涙目になってしまうのです。 ・「バードマン」 センス抜群の撮影や音楽に加えて、虚実が入り混じるマジック・リアリズムの世界が印象的であった。 ・「Citizenfour」 なんかヤバいことに加担しているな、という感触を観る人にも感じさせる、サスペンス映画としても秀逸なドキュメンタリー。日本公開はいつよ? ・「セッション」 怪物が怪物を倒してとって代わるような、ラストの10分はやはり圧巻であった。 ・「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」 これはもう多くを語る必要はないでしょ。女性キャラの強さが斬新であった。 ・「EX MACHINA」 飛行機のなかで観たという後ろめたさはあるが、非常によくできたSFでした。 ・「キングスマン」 アメコミ映画が意外にも不発だった年において、いちばん元気のあっ
映画の雑記 「SUPERGIRL」鑑賞 CBSの新シリーズ。「マン・オブ・スティール」とは別のユニバースの話だと思うが、スーパーマン(顔は出さずに背後しか見えない)以外はあちらと同じキャラクターが登場するようではないので、それなりに棲みわけはするつもりなのかな?あと放送局が違うので「アロー」や「ザ・フラッシュ」とも別のユニバースになってるみたい。 スーパーマンことカル・エルのいとこであるカラ・エルは13歳のとき、故郷のクリプトンが崩壊するにあたって、地球に送られた幼児のカルを見守るためにカルの後からロケットで飛び立つものの、事故によって時の流れないファントムゾーンに幽閉されてしまい、24年間にやっと地球に到着する。そしてすでに成人してスーパーマンとなっていたカルに見つけられ、デンバース夫妻の養子となって普通の女の子として育てられる。やがて姉のアレックスとともにナショナル・シティーで働くことになるものの、困った人たちを助けて街を守るために、いとこと同様にスーパーヒーローとなって活躍するのでした…というようなあらすじ。 スーパーガールはスーパーマンよりも年長だった!という意外な事実が明らかにされるわけだが、カラ・エルことカ
映画の雑記 「THE GAMECHANGERS」鑑賞 BBCのTVムービー。その圧倒的な自由度をもってビゲオゲーム界に革命をもたらし、驚異的な売上を記録した「グランド・セフト・オート」シリーズを製作したロックスター・ゲームズの内側と、彼らのゲームは青少年に悪影響を与えるとして訴訟を起こした弁護士の攻防を描いたもの。 舞台は1992年のニューヨーク(おれロックスターってエジンバラにあるものだと思ってたが、本部はニューヨークなのね)。「グランド・セフト・オートIII」の爆発的なセールスを受け、ゲーム開発者のサム・ハウザーは早くも続編「バイスシティ」の製作にとりかかる。そしてこの続編も大ヒットを記録したが、ゲームを長時間プレイしていた少年が警官を射殺するという事件が起きてしまう。その少年が「人生はゲームみたいなもんだ」と供述したことからフロリダの弁護士のジャック・トンプソンが興味を抱き、GTAシリーズは青少年に有害な影響を与えるものだとしてロックスターを提訴する。これに対して大手法律事務所の弁護士を雇ってトンプソンの訴訟を退けたロックスターだったが、次に出した続編「サン・アンドレアス」にハウザーが企画していた18禁描写「ホットコーヒー」のデ
映画の雑記 「HUMANS」鑑賞 スウェーデンの番組をリメークしたチャンネル4の新シリーズで、アメリカではAMCで放送開始したもの。 最近は技術の進化を反映してかAI(人工知能)を扱った映画がいろいろ作られていて、「チャッピー」とか「Ex Machina」のほかに、「アベンジャーズ2」もAIが大きなテーマになってますな。このシリーズもAIを持ったロボット(シンセと呼ばれる)が市販され、家事手伝いとか単純労働などの業務を人間に代わって行なうようになった近未来を舞台にしている。 話の登場人物は大まかに3グループあるようで、出張のため家を不在にしがちな母親の代役としてアニタという名のシンセを購入した一家、時代遅れのシンセと生活する老科学者、および特定のシンセを探している謎の男といったところ。第1話では彼らがお互いに絡むことはないんだが、今後はいろいろ話が錯綜していくのかな。 アニタを含む一部の特定なシンセは感情や記憶を持っていることが示唆されており、そうしたシンセを追って捕獲する謎の組織も登場するサスペンスになっている。シンセが人間そっくりで外見からすぐシンセだと判断できないのって実際には不便だろうし、アニタに子供た
映画の雑記 「Marvel's Daredevil」鑑賞 あるいは単に「Daredevil」な。マーヴェルがネットフリックスと組んで世に出すTVシリーズの第1弾。とりあえず1話と2話を観たので感想をざっと箇条書きにする: ・全体的な設定は原作コミックと同じ、というかかなり忠実なほう。 ・主人公の赤コスチュームもいずれ登場するようだけど、当初は黒ずくめの服装と覆面という姿で悪と戦っていて、そのデザインおよびストーリーはフランク・ミラー&ジョン・ロミタJr.のオリジン話「The Man Without Fear」をざっくりベースにしている。 ・「The Man Without Fear」ってフランク・ミラーの作風がかなり暴力的になり始めたころの作品で、デアデビルがサクサクと人を殺して行く展開はおれあまり好きではないのだけど、こちらのデアデビルもかなり暴力的で、人殺しこそしないもののゴロツキを拷問して情報を得たりしてて、かなり血なまぐさい内容になっている。 ・とはいえデアデビルは格闘が意外と弱くて、ゴロツキ一人倒すのにも苦労してるし、第2話ではギャングのワナにはまってボコボコにされてやんの。もうちょっと自分の能力を利用したほうが良いかと。 ・能
映画の雑記 「SPRING」鑑賞 ※かなりネタバレ注意。 末期ガンの母親の死を看取ったエヴァンは、カリフォルニアのさえない暮らしから離れようと決心し、衝動的にイタリアへと向かう。そして海辺の町をうろついていた彼はルイーズという女性に出会い、彼女に惚れ込んでしまう。しかし彼女には隠された秘密があったのでした…というストーリー。 まあ予告編を観れば明らかなんだけど、これヨーロッパが舞台のラブストーリー…ではなくてホラー映画な。好きになった女の子が実は…というやつで、ルイーズが尋常でないことは視聴者にはかなり早い時点で明らかになるものの、話がかなり進まないとエヴェンはそのことを発見しないため、そこらへんは観ていてまどろっこしく感じられるかもしれない。 あとルイーズの状態については科学的(医学的)な説明が一応されているものの、何かあまり説明になってなかったような。どうせフィクションなんだし、あくまでも幻想的な存在として扱っておけばよかったのに。どうも監督(二人いる)の片方は医学生だったらしく、それでやけに専門的な説明がされているのかもしれない。それよりもイタリアに来て数週間しか経っていないのに、エヴァンが移民管理局に追
映画の雑記 ベクデル・テストとハリウッドの男性主義 最近いろんな映画関連の記事で目にするようになったものに「ベクデル・テスト(Bechdel test)」というものがありまして、これはアリソン・ベクデルが1985年に描いたコミックストリップ(上の画像)での会話が起源らしいが、要するに「その映画はどれだけ女性をまっとうに描いているか?」ということを測るテストだそうな。これは3つの基準から成り立っていて、 ・(名前のついている)女性キャラクターが2人以上登場するか ・それらの女性たちはお互いに会話をするか ・その会話の内容は、男性に関するもの以外のことか というもの。当然ながらより多くの基準を満たしたほうが女性をリスペクトした映画とみなされるわけで、最近の映画をこのテストにかけた結果を表示してるサイトもあったりする。例えば「キャプテン・アメリカ2」ではスカジョ演じるブラック・ウィドーが主役並みに活躍している一方で、女性同士が会話するシーンは無かったし、女性3人が主人公の「The Other Woman」も彼女たちが話すのは男のことばかりなのでテストは不合格、といった感じ。 もちろんこのテストだけをもとに、じゃあ「ゼロ・グラビティ」は
映画の雑記 ハロルド・ライミス死去 朝から訃報を聞いて落ち込む。というかもう69歳だったのか。 俺らの世代にとってはやはり「ゴーストバスターズ」のイゴン・スペングラーだよね。ほかのメンバーが奔放なアメリカンという感じだったのに対し、メガネかけて科学に打ち込むさまは日本人の多くが共感できたのではないか。最近は映画監督のイメージが強かったけど、トロントに住んでたときはSCTVの再放送をよく観ておりまして、若かりし彼がスケッチコメディを演じてるのが新鮮でありました。 俺も監督作の多くをチェックしているわけではないし、「紀元1年が、こんなんだったら!?」みたいな微妙な作品も作ってるのだけど、やはり「恋はデジャ・ブ」はホロっとする名作だよね。ビル・マーレーを使いこなせる監督としても貴重だったような(最近はウェス・アンダーソンがいるけど)。個人的にはやはり「アイス・ハーヴェスト」がすごく好きな作品で、故郷を離れたいダメ男を主人公にしたブラックユーモアとノワールのミックスが最高でした。 製作がそろそろ現実味をおびてきた「ゴーストバスターズ3」でも元気な姿を見せてくれると思ってたんだがなあ。合掌。
映画の雑記 「マン・オブ・スティール」鑑賞 「ウォッチメン」のあとはザック・スナイダーの映画は二度と観るまいと誓った身ですが、スーパーマン映画となると話は別で。許せ。 公開したばかりなので感想を簡潔に: ・またダメ映画になるかと思ったけどある程度は楽しめた。でもこれスーパーヒーロー映画というよりSF映画だよな。人類のファースト・コンタクトを描いた内容の。 ・「ダークナイト」が大ヒットしたときにワーナーの重役あたりが「これからのDCコミックスの映画はみんな暗くするからね〜」といったことを言っていて、スーパーマンを暗くしてどうするんだよと思ってたが、本当にそんな感じだった。 ・今回はそれはそれで映画が成り立っているけれど、フランチャイズとして人気を持続させることが出来るのかは微妙な気もする。なんか悪い意味で全力を使い果たしてしまったというか、後にも登場するであろうキャラクターたちをきちんと立たせていないし。おそらく次の映画には出てこないであろうケヴィン・コスナーとラッセル・クロウなどは良い演技を見せているのだが。 ・「プレミアム・ラッシュ」を観てしまうと、マイケル・シャノンの悪役はどうもカラ威張りしているように見えてしま
映画評 2012年の映画トップ10 昨年同様に、観た順に10本選んでみました。順位は特につけません。 「ドライヴ」 サソリのジャケット買っちゃったよ。 「ファミリー・ツリー」 まったりと話が進んでいるようで、家族の絆をしっかり描いている点が秀逸。 「CHRONICLE」 少年マンガに出てくるような超能力バトルがしっかり撮れた作品。 「アベンジャーズ」 純粋な娯楽という点ではこれが抜きん出ていた。いろいろツボをちゃんと抑えた大作。 「アイアン・スカイ」 粗削りではあるんだけど、低予算で風刺と特撮をきちんとまとめたことに敬意を表して。 「キャビン」 ホラーの定番を見事にスプーフした傑作。これ観ちゃうとB級ホラーが普通に観られなくなるかも。 「ムーンライズ・キングダム」 あまりにも箱庭的にまとまりすぎてる気もするが、W・アンダーソンの1つの頂点ですな。 「THE BAY」 まさかバリー・レヴィンソンがファウンドフッテージものをやるとは。パニックに襲われる町を手堅く描いている。 「007 スカイフォール」 オールドファンに気をつかいつつ、新たな幕開けを迎えることに成功した秀作。 「Beasts of The
映画の雑記 ゴールングローブ考 日本時間で明日の今頃にはゴールデングローブ賞の結果が発表され始めてるのかな。アカデミー賞よりも気楽な感じでテレビと映画のひとたちが一緒になって祝い合うという意味では決して嫌いな賞ではないのですが、受賞者を決定するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)って調べれば調べるほどウサンくさい団体であるような気がするので、その気になる点についていくつか書いてみる: ・そもそもHFPAの創立の理由が、ハリウッドのスターたちと懇意になりたい記者たちが「ねえねえ、賞をあげるから仲良くしてよ」という考えから生まれたもので、その時点でハリウッドとズブズブの仲であったわけだ。そして授賞式がディック・クラーク・プロダクションにより派手なショーにされてNBCで放送されることにより、その知名度と影響力は大きく上がっていく。 ・『外国人』映画記者協会といいつつも、HFPAのメンバーになる条件の1つに「南カリフォルニアに住んでること」というのがある。そりゃハリウッドに近いところに住んでれば便利だろうけど、国際性を強調してるような名前の意味が無いのでは。また公式サイトのメンバー表を見ると「Jean E. Cum
映画評 今年観た映画トップ10 去年ほど明確な順位付けができそうにないので、良かった映画を日付順に10本挙げていく: 「DOGTOOTH」 実はこれを年間ベストに推したい気持ちもあるんだけどね。でも単なるキワモノ好きのように思われるので。ギリシャ映画は今年も注目しよう。 「127時間」 ラストのシガー・ロスの曲がかかるシーンがとても素晴らしいです。 「恋とニュースのつくり方」 普通だったら選ばないような出来の作品ですが、震災後にモヤモヤしていたしていたとき観に行ったらいい気分転換になったので、感謝の念を込めて。 「ブラック・スワン」 アロノフスキーの作品としては「レクイエム」と「レスラー」の延長線上にあるような感じで決して期待してたほどではなかったのですが、それでも出来の良い映画であることは間違いない。 「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」 今年のアメコミ映画のなかではこれがいちばん好き。マシュー・ヴォーンやるじゃん。 「ミッション: 8ミニッツ」 純粋に楽しめるSF映画。邦題が残念なところではある。 「スーパー!」 繰り返して言うが、目の前で行列に割り込んだ奴を撲殺する光景は素晴らしい。 「