Kingink

映画評

「DOGTOOTH」鑑賞

あちこちで高い評価を得ているギリシャの映画。 話の舞台となるのは人里離れたところにある屋敷で、そこでは3人の若者たち(娘2人と息子1人)が両親によって外界と隔離され、塀の外へは一歩も出ることができずに一家だけで暮らしていた。屋敷を出ることができるのは父親だけで、息子の性欲の対処のために父親の会社で働く警備員の女性が娼婦として連れてこられるほかは、子供たちは塀の外の世界のことをまったく知らされずに育てられていたのだ。さらに両親に都合の悪いような言葉はすべて意味を違えて教え込まれ、例えば「海」は革製の椅子で、「ゾンビ」は黄色い花、というように。また彼らは架空の第4の兄弟がいることを教えられ、彼は罰として怖い外界へ追放されたことを告げられる。それでも年をとるにつれて外界への興味を抱く子供たちに対して、父親は「犬歯(ドッグトゥース)が抜け落ちる頃には外に行く準備ができるはずだ」と伝えるのだが…というような内容の物語。 とにかくものすごくシュールな展開が続く映画で、両親がなぜ子供たちをそのように扱うのかという説明は一切なし。両親にすべてを管轄された世界における子供たちの様子を淡々と描いてい
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映画評

「CATFISH」鑑賞

いまの時点でこの映画について書くことはすべてネタバレになりそうな気がするので、以下は白文字で書きます: ニューヨークで写真家をやっている青年ヤニフのところに、アビーという6歳の少女が彼の写真をもとにして描いた絵がある日送られてくる。それがきっかけでヤニフとアビーはフェイスブックを通じた交流を行うようになり、さらにアビーの母のアンジェラや姉のミーガンとも仲良くなり、特にミーガンとは遠距離恋愛めいた仲になるヤニフ。彼はアビーの一家との交流を描いたドキュメンタリーを作ろうと、兄たちとともに出来事を撮影していくのだが、ミュージシャンだと自称していたミーガンの曲が他人のものであることに気付く。これで彼女やアンジェラの言うことに疑惑を抱いたヤニフたちは、ミシガンにある彼女たちの家を訪れることにするのだが、そこで彼らを待っていたものは…というようなドキュメンタリー。音楽をディーヴォのマーク・マザーズバーが担当してた。 アートに関するドキュメンタリーっぽく始まって、中盤はサスペンスかホラーか?と思わせときながら、最後はSNSサービス時代の人間関係についてのドラマで終わるという、なかなか一筋縄では
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海外テレビ番組

「BEING HUMAN」(アメリカ版)鑑賞

SYFYチャンネルの新作で、BBCの同名作品のリメーク。 舞台がアメリカになったこと以外はほとんどイギリス版と同じ設定で、吸血鬼と狼男と幽霊の3人が一軒家に同居して、自分たちの忌まわしい能力にも関わらず普通の暮らしをしようとするものの、いろいろ災いが起きて…という内容。吸血鬼と狼男が病院で働いていることとか、吸血鬼の仲間たちが警察に潜り込んでいるところなんかもイギリス版と同じ。狼男を演じるのは「スーパーマン・リターンズ」でジミー・オルセンを演じてた役者か。 イギリス版はドラメディ扱いされてるわりにはあまりコメディっぽさは感じなかったものの、主人公たちが凡庸に暮らそうとする点が強調されてたのに対し、このリメイク版はもっとシリアスな雰囲気で耽美的な描写もあって、「バフィ」や「エンジェル」を観ているような感じ。最近の吸血鬼が出てくるドラマはみんな「トワイライト」に多かれ少なかれ影響されてる気がするなあ。 悪い作品ではないけど大変素晴らしい出来というわけでもないので、どのくらい人気が出るかは不明。日本で放送されるとしたらイギリス版とアメリカ版はどっちがいいですかね?
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海外テレビ番組

「LIGHTS OUT」鑑賞

ボクシングの世界を舞台にした、FXの新作ドラマ。プロデューサーにフィリップ・ノイスが名を連ねている。 ヘビー級のチャンピオンだったパトリック・”ライツ”・ライリーは数年前の微妙な判定の引き分け試合をもって引退し、妻とともに3人の娘を育てる一方で弟とボクシングジムを経営していた。しかしジムの経済状況は悪化するばかりで、自身のMRI検査ではパンチドランカーの兆候が見つかってしまう。生活費を稼ぐために借金取りの稼業にまで手を出す羽目になったライツだが、弟の画策により現役復帰をすることになる…というような話。 FXのドラマということで全体的なクオリティは高く、ボクシングの試合のシーンなんかもよく撮れている。「ザ・ワイヤー」の役者が何人か出ているのもいいな。ただし40代のボクサーの話というのがどこまで長続きできるのかというのが疑問ではある。尤も第1話の視聴率は低かったようなのでそもそも長続きしないかもしれないけど。 製作者の意図はアメリカの不況を反映した作品にしたいらしいんだが、主人公は金がないと言いつつもデカい家に住んで娘たちを私立の学校に通わせてるし、ボクシングジムの設備もずいぶん立
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海外テレビ番組

「SHAMELESS」鑑賞

ショウタイムの新作ドラマ。イギリスで8シーズンも続いている人気シリーズのリメイクらしいが、俺はそんなドラマがあったことを知らなかったよ。 シカゴの郊外を舞台に、始終飲んだくれて仕事もせずに生活保護で暮らし、妻にも逃げられたオヤジのフランク・ギャラガーと、彼の6人の子供たち(娘2人息子4人)が貧しいながらも愉快に暮らして行こうとする姿を描いた内容になっていて、第1話では長女にボーイフレンドができたり、次男がゲイであることが知られるなんて展開が起きていた。 名優ウィリアム・H・メイシーがフランクを演じるほか、ジョーン・キューザックが出ているなどキャスティングはなかなか豪華。長女のフィオナを演じるのがエミー・ロッサムでそのボーイフレンド役がジャスティン・チャットウィンって…「DRAGONBALL EVOLUTION」のブルマと悟空じゃないかよ!日本人には不安を抱かせる配役ではあるが、ここではきちんとしたシリアスな演技を見せてくれるぞ。2人のセックス・シーンもあるので、「悟空とブルマがXXX」などと脳内で変換したい方はどうぞ。 第1話ということもあり話の展開が少し詰め込まれすぎている感
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海外テレビ番組

「OFF THE MAP」鑑賞

ABCの新作ドラマで、「グレイズ・アナトミー」のプロデューサーによるジャングル版「グレイズ・アナトミー」。 ちょっと暗い過去を持つ3人の若き医師見習いたちが、新天地を求めて南米の僻地にある医療施設にやってくるものの、そこはろくな医療設備や薬も揃っておらず、即興での手術が求められるような大変な場所だった。おまけに現地の住民との意思疎通もうまくいかず苦労するばかり。それでも彼女たちはそこでの経験を通じて成長していくのだった…というような話。 「グレイズ」同様に、一見すると医療ドラマのようだけど実はメロドラマでしたという作品。ワイルドなイケメン医師(シャツの着替えシーンあり)を筆頭に、彼の相棒である賢い黒人医師や母親的存在の女性医師、ちょっとビッチっぽい美人医師といったありがちな面子が揃っていて、彼らと3人の医師見習い(メリル・ストリープの娘もいる)のくんずほぐれつな人間関係が延々と描かれて行くであろうことは想像に難くない。 大自然の描写は美しいし(ただし撮影場所は南米でなくハワイらしい)、それなりに医療行為のシーンもあって、輸血用の血液が無いからココナツの液で代用したり、患者を思い
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海外テレビ番組

「Bob's Burgers」鑑賞

フォックスの新作アニメ・シリーズ。米iTunesストアでは「ファミリー・ガイ」のエピソードと抱き合わせという珍しい形で第1話が無料提供されてたんだけど、そこまでしないと観てもらえないと考えてるのか? 遊園地の近くでバーガー屋さん(隣は火葬場)を経営するボブの一家を主人公にしたコメディで、マヌケだけど気のいいボブを筆頭に、口うるさい妻のリンダや性格の暗い娘のティナ、いたずら好きの息子ジーン、活発な娘のルイーズたちが、客の不入りや当局の衛生検査などにもめげずに店をやりくりしていく姿を描いた内容になっている。 会話のテンポとかは結構よくて、意外と楽しめるところがあったりしたんだけど、いかんせん「シンプソンズ」や「ファミリー・ガイ」、あるいは「サウスパーク」が既に通った道をたどっているだけという感想は否めず。なんでフォックスのアニメ作品の家族構成はこうも似てるんだろう?あと幼児虐待や人肉食といったブラックなジョークも出てくるんだが、それで笑いをとりに行こうとするのって芸がないんじゃないの。 コメディ・セントラルやアダルト・スイムみたいなところだったらある程度人気がでたかもしれないが、地
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海外テレビ番組

「EPISODES」鑑賞

「ジョナ・ヘックス」のプロデューサーの1人として大金を損したであろうマット・ルブランクが本人役で出演するコメディ。アメリカとイギリスの合作になるのかな?「フレンズ」のプロデューサーも関わってるみたい。 イギリスで人気番組のプロデューサーをしているショーンとビバリーの夫妻は、その人気番組をアメリカでリメイクしないかと誘われ、意気揚々とハリウッドへやってくる。しかし彼らの要望は能天気なスタジオの重役にことごとく却下され、主人公にもイギリス版と同じ役者を起用せず、マット・ルブランクを使うように命じられてしまう…というような話。 いちおうルブランクが主人公のはずなんだけど、第1話では殆ど出演してなかったな。でもリチャード・グリフィスがゲスト出演してたぞ。イギリスとアメリカのカルチャーギャップやショウビズ界の裏側を描いた内容や、ラフトラックがなくて気まずい雰囲気のシーンで笑いをとろうとする手法とかは、ここ数年のテレビ番組で何度も観たなあ…といった感じで目新しさは無い。テレビ業界の話という点では「EXTRAS」に近いものがあるかな。マット・ルブランクってこういうちょっとヒネった作品じゃなくて
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映画評

「THE AMERICAN」鑑賞

アントン・コービンが監督した、ジョージ・クルーニー主演の映画。 プロの殺し屋で武器職人でもあるジャックはスウェーデンで何者かに命を狙われたことでイタリアに逃亡し、知人の手を借りてカステル・デル・モンテという小さな村に潜伏することになる。そこで彼はライフル銃の製作にとりかかるほか、クララという娼婦と恋仲になる。しかし彼には危険が迫っていた…というような話。 サスペンスなんだかアクションなんだかメロドラマなんだか、いまいち何をやりたかったのかよく分からない作品。いちおう銃撃戦とかカーチェイスがあるんだけどアクション映画というわけでもないし、ユーロピアンなアート映画としては世俗的すぎるというか何というか。どうもストーリーが起伏に乏しく、ダラついた感じがするんだよな。加えて音楽はヘルベルト・グレーネマイヤーという人気歌手が始めて映画音楽を担当したものらしいが、どうも扇情的というか大げさな感じがして好きになれなかったよ。 ストーリーには原作があるらしいけど、良心の呵責に苛められる殺し屋とか、心優しい娼婦なんてのは他の映画で山ほど目にしているので新鮮さはなし。仏頂面で黙々と仕事をする主人公
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映画評

「EASY A」鑑賞

巷で評判が良いようなので観てみた。主人公のオリーブは男性経験のない地味な女子高生だったが、親友に見栄を張って「私、こないだ男の人とヤっちゃったのよ!」とウソをついたらその話が学校中に広まり、すぐに彼女は腰軽女として見なされてしまう。最初はそれに困惑していたオリーブも、逆にその立場を利用してゲイやデブの同級生たちとも「ヤってあげた」という噂を流すことにより、彼をカッコ良く見させるという行いに出る。しまいには授業で習っていたホーソーンの「緋文字」の主人公よろしく赤い「A」の字を胸につけて学校に行くのだが…というような話。 観ていて何がいちばん気になったかというと、ストーリーや演出とかではなくて、主演のエマ・ストーンが声にドスが効いているということでして、ハスキーボイスなんてものじゃなく、クラシック映画のヴァンプ女優のような非常にどっしりとした声をしてるんだよな。おまけに顔つきもヴァンプ女優っぽいので「男とヤったの」なんて言われても「ウソでしょ?」ではなく「何人と?」と聞いてしまいそうな雰囲気があるんだよな。演技自体はかわいらしいので決してミスキャストというわけではないんだけど、あの声は
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海外テレビ番組

「House of Anubis」鑑賞

日本では惜しくもチャンネルが終了してしまったニコロデオンの久々の実写ドラマ。ベルギーとオランダの合作ドラマのリメイクだそうな。 主人公のニーナはアメリカからイギリスの全寮制学校にやってきたティーンの女の子で、彼女はそこでアヌビス・ハウスという寮に入れられる。そこでは非常に厳格な寮長がいるにも関わらず生徒たちは陽気に生活していたが、ある女生徒が忽然と姿を消してしまう事件が起きる。その女生徒の失踪と入れ違いで彼女の使っていた部屋にやって来たニーナは、彼女の親友にあらぬ疑いをかけられてしまう。さらにニーナは自分のことを知っているという老婆に出会い、謎めいたアミュレットを渡される…というようなミステリー仕立ての番組。 全寮制の学校のミステリーという点ではこないだの「TOWER PREP」に良く似てる印象を受けるけど、ニコロデオン作品なのでもっと対象年齢が低い感じ。演出や役者の演技もソープオペラ並みのクオリティだし。ジュブナイル小説の映像化みたいなものか。それと当然ながら主人公以外の登場人物はみんなイギリス訛りの英語をしゃべってるんだけど、それってアメリカの視聴者の受けはどうなんだろう?
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雑記

謹賀新年

明けましておめでとうございます。 なんか1年が経つのって本当にあっという間でございますね。昨年は何かいいことあったかなあ…出張も含めて3回海外に行ったことかなあ。さすがに30代後半になってくるといろいろツブしが効かなくなってくるわけで、自分のいままでの人生のなかで得てきたリソースをどうにかやりくりして生きて行くことになるのかしらん。 自分の場合、恋人も友人もおらず頼れる人が非常に少ないため自分自身でいろいろやってかないといけないわけですが、どこかのタイミングで心がポッキリ折れるようなことがあるんじゃないかという不安は常にあるんだよな。仕事も今年が正念場で、年末はどのような状況になってるのかてんで分からないし。まあ自分だけでなく俺らの世代の多くは、落ちたら這い出せない大きな黒い穴が背後にポッカリ空いていて、それに落ちたくないために冷や汗かいて前に進んでるような状況なんじゃないだろうか。 何にせよ状況を改善できるかどうかは結局のところ自分の行いにかかっているわけで、今年は過去のことにこだわらず、人にやさしく、もっと愉快に過ごしていきたいなと思う次第です。よってこのブログの文章も「ウ
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映画の雑記

今年観た映画ベスト5

本当はベスト10にしようかとも思ったけど、実はけっこう重要な映画を観てないのがバレそうで。 第5位「第9地区」 年初に観たからこの順位かも。最近観てればもう1つくらい上かな。きちんと考えて作られた、社会派でもあり娯楽作でもある優れた映画。南アフリカという一見リソースが無さそうな土地のリソースをフルに使い切った手腕には脱帽せざるを得ない。 第4位「インセプション」 「ダークナイト」に比べると話を広げすぎている感が無くもないが、それでもこれだけ野心的なコンセプトで、あれだけの製作費をかけ、ちゃんとヒットに結びつけているところがすごい。ここまで独創的な大作ってのはそう目に出来るものじゃありませんぜ。 第3位「Scott Pilgrim Vs. The World」 ゲームの要素を取り込んだ映画というのは普通イヤミな出来になりそうなものだけど、この映画ではそれがすべて成功している。ポップ・カルチャー的な映画という点では「キックアス」なんてこれの足下にも及ばない。 第2位「ゴースト・ライター」 サスペンスを熟知した監督が本領発揮するとどうなるかという作品。話に引き込まれる冒頭からアッと驚
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アメコミ

「The Complete Ballad of Halo Jones」読了

アラン・ムーアが「2000AD」誌のために執筆していたSFコミック「The Ballad of Halo Jones」の全話を収録した単行本で、アーティストはイアン・ギブソン。「2000AD」でのムーアの作品のなかではいちばん有名で評価が高いものじゃないかな。以前に単行本化されたときはムーアの前書きが付いていたらしいけど、今回は未収録。ただしムーアのスクリプトが数ページほど紹介されている。 ストーリーは西暦4900年代の遠い未来を舞台に、閉塞的な地球を嫌って宇宙へ飛び出すものの、環境の変化と時代の流れに翻弄されてしまう少女ヘイロー・ジョーンズの姿を描いた内容になっていて、ディストピアの未来における少女の物語という点ではフランク・ミラー&デイブ・ギボンズの「マーサ・ワシントン」シリーズに似ているかな。ただしあちらよりももっとスペースオペラの要素が強いけど。かといって宇宙を股にかけた冒険譚になっているわけでもなく、主人公は貧しいが故にまっとうな職につくことができず、あちこちでつらい目に合うという、なかなか社会派の作品になっている。それとイギリスでは男性向けの作品が多かった「2000AD
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映画評

「ジョナ・ヘックス」鑑賞

今年度最低の一本との呼び名も高い作品だが、本当にヒドい出来だったよ。 まず驚かされるのが、主人公の設定が原作のコミックと全然違うこと。ジョナ・ヘックスが顔に傷を負う過程も異なってるし、原作ではあんな死者を蘇らせるような能力は持ってないぞ。原作を知らない人のために設定を少し変えるのならまだしも、まったく別物にしてどうするんだよ。 コミック版のヘックスってクセがあるようで実はかなり汎用性のあるキャラクターで、初出誌の「Weird Western Tales」の名に恥じずにガンマンやインディアンはおろかゾンビや怪物と戦ったり、中国人と結婚したり、殺されて剥製にされたり、さらには核戦争後の未来に飛ばされて「マッド・マックス」みたいなことをやったりと(いやホントに)、どんなシチュエーションでも通用するところがあるんだけど、それでもこの映画のヘックスの姿にはかなり違和感を憶えましたね。 話の設定以外のところもみんなボロボロで、カラコレは変だしストーリーは雑だし、ピストルに撃たれた人が2メートルくらい吹っ飛ぶし、やたらと物が燃え上がるし、何でも派手にすればいいってものじゃないのよ。いちばん凄
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海外テレビ番組

「Doctor Who: "A Christmas Carol"」鑑賞

11代目ドクター初のクリスマス・スペシャル.ここ数年のクリスマス・スペシャルって前後のシリーズの伏線を引きずっててどうも陰気な印象があったんだけど、これは純粋に楽しめる素晴らしいエピソードだった。 話のプロットはエイミーとローリーが新婚旅行で乗り込んだ宇宙船がトラブルに遭い、近くの惑星に着陸する必要が出てきたものの、その惑星(なぜか住民はビクトリア王朝のような暮らしをしている)には気候を操れるガンコな老人がいて、彼は宇宙船の着陸を認めようとしないのだった…というようなもの。 題名が「クリスマス・キャロル」だし、ガンコな老人が出てくるとなれば話の結末は決まってるようなものですが、老人を改心させようとするドクターの奮闘が非常に巧く描かれていた。ターディスで過去に戻って「過去のクリスマスの霊」として少年時代の老人を説得しようとしたり、逆に未来を見せたりするとか。このようにディケンズの「クリスマス・キャロル」を絶妙にアレンジしているばかりでなく、ホロリとさせられるラブストーリーも織り込み、もはや職人芸の域に達した脚本であったよ。 さらに脚本だけでなく話のテンポが非常に秀逸で、過去にいた
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映画評

「トロン:レガシー」鑑賞

以下いちおうネタバレ注意。あまり期待しないで観たので、まあこんなものかなという感じ。雰囲気が似てるなと思ったのが「スター・ウォーズ:エピソード2」で、CGは見事なんだけどストーリーが弱いところが同じかと。若造とヒロインにオッサンという主人公たちの組み合わせも一緒だし。 俺は世代的にオリジナルの「トロン」をテレビで(初放送時に?)観た人でして、その今まで観たこともない異世界の描写に衝撃を受けた覚えがあるのですが、あちらはプログラムの顔が変色していたり、バイクが直角に曲がったりするところでセンス・オブ・ワンダーが十分に満喫できたんだよな。それに対して今回の「レガシー」はプログラムが結構普通の人間っぽくなっていて、話が進むにつれて「光るコスプレをした人たち」にしか見えなくなってしまったよ。何でプログラムがブタの丸焼きを食べてるんだか。バイクも直角に曲がらなくなってたし。あとMCP出して欲しかったよMCP。 CGは確かに凄いし各デザインも非常に凝ってるんだが、肝心のストーリーがダメダメなので全体的に薄っぺらい印象を受けてしまう。そもそも「アイソー」って一体どういう存在で、何が特別だったの
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アメコミ

「PLANETARY vol.4: Spacetime Archaeology」読了

ウォーレン・エリス&ジョン・カサディの傑作コミック「プラネタリー」の最新単行本にして最終巻。刊行の歴史を見れば分かるように、最終話の#27が出るのが非常に遅れたので、前回から5年ぶりの単行本になるのか。 全体的な展開としては従来の「地球の奇妙な歴史を調査する」という話が減り、プラネタリーの宿敵である「THE FOUR」との対決に向けて盛り上がっていくところに重点が置かれている。また「THE FOUR」がファンタスティック・フォーの奇怪なパスティーシュであるのを始め、さまざまなコミックやパルプ小説の登場人物をモデルにしたキャラクターが出てくるのが「プラネタリー」の最大の特徴だったんだけど、今回はローン・レンジャーとザ・シャドウに似たキャラクターが出てくる程度で、多元宇宙やデジタル物理学(のようなもの)、ミクロコスモスといった理論に焦点をあてた、よりSF色の強い内容になっている。 ウォーレン・エリスの作品ってアイデアは抜群な一方で話が進むとすぐにダレるイメージが強かったんだが(「トランスメトロポリタン」とか)、この「プラネタリー」では年に数話というスケジュールが役立ったのかどの話も読
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映画評

「The Kids Are All Right」鑑賞

キャスト的にあまり興味なかったんでスルーしてたんだけど、皆が褒めてるもんで。でもあまり面白くなかったかな。邦題は「キッズ・オールライト」になるの? レズビアンのカップルであるニックとジュールズは精子銀行からの精子で妊娠して2人の子供を産み、家族4人で仲良く暮らしていた。しかし子供たちがその精子の提供者であるポールという男性を探し出したことで、4人の生活にポールが関わってくることになり…というプロット。 ストーリーの最大の特徴はもちろんカップルがレズビアンだという点だが、意外とそこはあっさりと描かれていて、差別される描写とかはないし、子供たちも結構普通にそのことを受け止めていたりする。だから内容的には普通のファミリードラマに近いかな。それでも何となく監督(レズビアン)のメッセージみたいなものがセリフのあちこちに感じられて、教育映画を見せられてるような気になってしまったよ。出てくるキャラクターがみんな真面目で、「遊び」のようなものが無いのでストーリーにもクセがなく、どうも無味乾燥な内容になってしまったような。この題材でジョン・ウォーターズが監督してたら相当面白いものが作れていただろう
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映画評

「メニルモンタン」鑑賞

Dimitri Kirsanoff - Menilmontant (1925) ロジャー・イバートが「ポーリン・ケイルが最も好きだった映画」として紹介していた、フランスの1925年のサイレント映画。40分弱の作品なのでメシを食いながら気楽に観ようとしたら、その出来の素晴らしさに仰天させられてしまったよ。 いきなり農村で少女姉妹の両親が惨殺されるシーンから始まってインパクトは抜群なんだけど、実はそのシーンは話とあまり関係がなくて、身寄りをなくした2人の姉妹がパリのメニルモンタンにやってきてけなげに暮らすところからが本編。美人の妹はある男性とねんごろな仲になってついに体を許してしまうが、それを妬んだ姉によって男性を寝取られてしまう。それを知ってショックを受ける妹だったが、彼女はすでに男性の子供を身ごもっていた。姉のところに戻るわけにもいかず、生まれた赤子を抱えて妹は通りをさまようことに…というような話。 ストーリー自体は凡庸なメロドラマのように聞こえるかもしれないが、演出と編集がとにかく素晴らしいのですよ。サイレントであるうえに字幕を一切使わず、二重露光などといった当時としては斬新な
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映画評

「YOUTH IN REVOLT」鑑賞

こないだ「スコット・ピルグリム」観たばかりなのでマイケル・セラ主演の映画をまた観るのはどうかと思ったんだけど、米iTunesストアで値引き販売されてたので。 カルト人気のある小説?が原作の作品で、主人公のニックは内気なティーンで当然ながら童貞。両親が離婚したので母親とその恋人のもとで暮らしていたが、避暑地に行ったときにそこに住むシーニという女の子と出会って恋に落ちた彼は、どうにかしてシーニと一緒にいようと画策し、さらに内気な自分とは違ったフランソワ・ディリンジャーという反抗的な人格をつくって周囲の困難に立ち向かおうとするのだが…というような話。 なんか可も不可もないコメディだなあといった感じ。別に悪くはないんだけど、かといって記憶に残るようなシーンもないというか。ちょっと下ネタの多い、普通のボーイ・ミーツ・ガールもののコメディといったところか。女の子とエッチしようとして女子寮に潜入し、見つかって裸で逃げ出すなんていうガチな展開もあるし。車での移動シーンが突然人形アニメになるところは「普通じゃない」を連想したけど、あっちも微妙なコメディ映画でしたね。最大の特徴であるフランソワが出て
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海外テレビ番組

アメリカ版「トップ・ギア」鑑賞

いまさら言う必要もないがイギリスの自動車紹介番組「トップ・ギア」は大変素晴らしい番組で、車にまったく興味のないペーパー・ドライバーである俺のような人間でも十分に楽しめるつくりになっているわけですが、これはそのアメリカ版。すでにロシア版とかオーストラリア版とかは存在するんだっけ? 以前にもNBCがアメリカ版「トップ・ギア」の製作を試みたことがあったけど、イギリス版のホストであるジェレミー・クラークソンがパイロット版を観て「アメリカ人は車のことが分かっとらん!」と怒って企画をボツにしたことがあるんだよな。そして新たに登場したものはヒストリーチャンネル製作のもので、オリジナル譲りの車の美しいショットが披露されるほか、謎の覆面ドライバー「ザ・スティグ」もちゃんと登場しているぞ。 ただね、3人のホストが普通のカーマニアの気のいい人たちといった感じで、オリジナルにあった相当な毒気が抜けてるのですよ。本国のはホスト3人の絶妙な罵り合いとか、毎シーズン1回は倫理委員会で問題になるような暴言の数々が非常に楽しいんだけどね。それに比べると今度のやつは単なる自動車紹介番組の域を出ていないのが残念。
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海外テレビ番組

「STORAGE WARS」鑑賞

A&Eの新しいリアリティー番組。いつもならリアリティー番組は観ないのですが、これはオンライン記事とかで話題になってたので。 カリフォルニアには貸し倉庫がたくさんあるんだけど、どうもレンタル料が3ヶ月支払われなかった場合は倉庫の中の物を没収してオークションにかけてよいという法律があるらしくて、そこに埋もれたお宝を求めてオークションにやってくるバイヤーたちを追った内容になっている。これらのオークションは通常のものと異なり、現金払いのうえ、バイヤーは倉庫内に立ち入ることが許されず、5分間だけ入り口から倉庫を覗いて中身を吟味できるという厳しい条件が課せられている。おかげで倉庫内にうず高く積まれた生活用品のなかにオルガンのペダルを発見したバイヤーが「あのペダルは高価なハモンド・オルガンのものに違いない!」と察して倉庫の品をまるごと落札したものの、オルガンは安物だったのでガックリしていたら、オルガンの横にあったバッグから野球選手の価値あるトレカが大量に出てきてラッキー!なんて運まかせの展開が起きたりするのだ。 もちろん運まかせで何十年もバイヤーをやってるのではなく、彼らもそれなりの鑑識眼を備
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雑記

ブログ復旧

サーバーのハードディスクとおよびバックアップがイカれてしまったようで2日ほどブログがダウンしてたのですが、無事復旧しました。ただし完全に復旧できず、9月〜11月のエントリ分が消えてるようです。テキストだけでもGoogleのキャッシュとかから復元できないか試みてみますが、自分でも何を書いたか憶えてないからなあ。コメントは明らかに復旧できそうにないので、書き込みされた方すみません。
映画評

「Exit Through The Gift Shop」鑑賞

神出鬼没のストリート・アーティスト、バンクシーを扱ったドキュメンタリー…かと思いきや、なかなか一筋縄ではいかない作品であったよ。以下ネタバレ注意! 作品の中心人物となるのはバンクシーではなく、LAで洋服屋を営んでいるティエリー・ グエッタという人物。あらゆるものをビデオ撮影したがる癖のあった彼は、従兄弟がストリート・アーティストをしていたことからストリート・アートの世界に興味をもち、やがてシェパード・フェイリー(オバマの「HOPE」ポスターで有名な人)といった著名なアーティストとも知り合いになり、彼らの行動を撮影していくようになる。そしてついに彼はイギリスの謎のアーティストであるバンクシーにも紹介され、彼のパフォーマンスに関連して警察に捕まったときも口を割らなかったことからバンクシーに信頼され、イギリスに招かれて彼の行動を撮影するようになった。さらにティエリーは彼らを撮影するだけでは飽き足らず、自らもアーティストとして活動するようになり、最初は自分のステッカーを作って貼る程度だったのが、ストリート・アートが世間的にもビジネス的にも認知されるにつれて彼のパフォーマンスは派手なものにな
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