映画評

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「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」鑑賞

まだ公開されたばかりなので感想をざっと。でもいちおうネタバレ注意。 ・カメラワークも違うしワイプもないし、明らかに従来の「スター・ウォーズ」とは一線を画したスタイルをとっているが、それはそれで割り切っちゃってありだと思う。タイトルクロールは残しておいて欲しかったと思うけど。ウィルヘルム・スクリームも無かったよね? ・ストームトルーパーのボディーアーマーはハリボテか。銃にやられるのはまだしも、打撃にも弱いのでは着けてる意味がないだろうに。 ・デス・スターってハイパースペース・ジャンプできるのか。なら「エピソード4」でヤヴィン4を射程に入れるのにあれだけ時間がかかったのは何だったのだろう。 ・つうか帝国軍よお、惑星全体を囲めるバリアを開発できるなら、「エピソード6」のシールド発生装置もさらにそれで保護すればよかったんじゃね? ・キャストはフェリシティ・ジョーンズが「インフェルノ」以上に無表情なのが気になったが、まあ可も不可もなし。イギリス英語を話す登場人物が多いなかでディエゴ・ルナがメキシコ訛りの英語を話していて、どこの世界の話かと。あと中国市場へのアピールというのを置いておい
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「Hunt for the Wilderpeople」鑑賞

「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」のタイカ・ワイティティ監督作品。 舞台となるのはニュージーランドの山奥。身寄りがなく素行不良で孤児院を転々としてきた少年リッキーは、愛想のいいベラと無口なヘクの夫婦が住む農場へ引き取られる。そこでもすぐ逃走を試みるリッキーだったが、寛大で優しいベラに対して徐々に心を開いていくようになる。しかしそんなベラが急死してしまい、リッキーはベラと違ってカタブツなヘクと二人で暮らすことになってしまう。だがベラが亡くなったことで児童福祉の機関がリッキーを孤児院に連れ戻そうとしたため、それを嫌がったリッキーは山奥へと逃げて迷子になってしまう。山に精通したヘクは容易に彼を見つけるものの、ヘクが足を負傷したことでふたりは山奥でしばらく暮らすことに。そうとも知らずに児童福祉の担当者はヘクがリッキーを誘拐したと思い込み、いつのまにかリッキーとヘクは追われる身になってしまう。そして逃避行を続ける二人のあいだには奇妙な友情が芽生え…というあらすじ。 バリー・クランプというニュージーランドでは有名な作家の小説を原作にしているらしいですが、話がチャプター分けされてたり、淡々
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「Kubo and the Two Strings」鑑賞

CGアニメ全盛のこの世においてストップモーション・アニメをコツコツを作り続けるライカ社の新作。今回は社長のトラビス・ナイトが自ら監督を手掛けた意欲作になっている。 舞台となるのは侍がいた時代の日本。人智を超えた存在である「月の王」の娘は、幼子である「クボ」を抱え、冷酷な父親と自分の妹たちのもとから海を渡って逃げて人里へとやってきた。それから月日がたち、少年となったクボは三味線を弾いて折り紙を自在に操るという能力を持ち、村で勇敢な侍ハンゾウの物語を弾き語るという暮らしを過ごしていた。しかしある日、日没後に外出してはいけないという母親の戒めを破ってしまったクボは、魔女のごとき格好をした母親の妹ふたりにさらわれそうになる。クボの窮地を母親が身を挺して救うものの、その影響でクボは遠く離れた謎の土地へと飛ばされてしまう。そこで彼のお守りが生身になったというメスザルに救われたクボは、かつてはハンゾウの部下の侍だったが呪いによって人型の虫にされたというクワガタとも出会い、月の王を倒せるという3つの神器(刀と鎧と兜)を探すための旅に出る。しかし彼らのもとには月の王の魔の手が忍び寄っており…というあ
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「スター・トレック BEYOND」鑑賞

公開したばかりなので感想をざっと。いちおうネタバレ注意。 ・前作は例によってJJエイブラムスの余計な旧シリーズへのオマージュがあって「これ前にも観たよね?」的な感が拭えなかったが、今回は完全にオリジナルなストーリーなので飽きずに楽しむ事ができましたよ。ラストは結局また艦を降りて肉弾戦になるあたり、またかよ!という感じではありましたが。 ・つうか予告編でもわかる通りエンタープライズ号は初っ端から大破してクルーは惑星上に不時着するわけで、宇宙船同士のバトルのようなものは殆どなし。敵の集団は「ギャラクティカ」みたいな無人ドローンだと思ってたけど、あれみんな有人なのか?あれだけ大勢のクルーが不毛な惑星で暮らしてたのか?宇宙船が出てこない一方で地上のアクションは多くて、バイクがしっかり出てくるあたりジャスティン・リンの作品だなあと。 ・脚本はサイモン・ペッグが共同執筆していて、まあ基本的には悪くないかと。地上に着いたクルーがいくつかのグループに分かれるあたり、個人的に最高作の「スター・トレックIV」を彷彿とさせてくれましたよ。その一方でジェイラの存在がエクス・マキナすぎるだろうとか、悪役
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機内で観た映画2016(後半)

またヨーロッパへ出張に行っていたので、飛行機のなかで観た映画の感想をざっと: ・「ズートピア」:周囲で絶賛されてるほどの出来だとは思わなかったけど(田舎に帰るあたりで話がダレる)、差別と偏見というテーマを巧みにストーリーに盛り込んだのはやはり見事ですね。それにしても「ここは歌を歌えばすべてが解決するような世界じゃないんだぞ。諦めろ(let it go)」は画期的なセリフだった。こういう自社作品のパロディーってあまりディズニーで見たことなかったんで。 ・「ファインディング・ドリー」:「ズートピア」には劣るけどこっちも良かったですよ。前作ではコメディリリーフだったドリーの記憶障害をきちんと掘り下げ、さらに7本足のタコや近眼のジンベイザメ(ジンベイザメって歌うっけ?)といった障害持ちもわんさか出てきて、これも寛容性をテーマにした巧みなストーリーになっている。その一方で明確にキチガイの鳥やアザラシは笑いの対象になっていて、まあどこで線を引けばいいのかは難しいところである。最後のカーチェイスはちょっとやりすぎかと。 ・「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」:手品のトリックなんても
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「Doomed: The Untold Story of Roger Corman's the Fantastic Four」鑑賞

劇場公開どころかビデオ発売もされておらず、流出した低画質の海賊版しか出回っていないのに根強い人気を誇る、ロジャー・コーマン製作の「ファンタスティック・フォー」(1994)の裏側に迫るドキュメンタリー。この映画の詳しい感想については以前に述べたのでこちらを参照してください。 1992年の9月頃にドイツのニュー・コンスタンティン・フィルムのプロデューサーからコーマンに「ファンタスティック・フォー」の劇場版を100万ドルの低予算で製作する話が持ち掛けられ、コーマンがコストを折半する形で製作に合意したことから話は始まる。どうもトロマ(!)のロイド・カウフマンのところにも話が持ち掛けられていたことをカウフマン本人が明かしているのだが、さすがにFFという有名フランチャイズを低予算で映画化はできないということで手を引いていたらしい。 年末までに撮影をしなければならないということで急ピッチで製作が進められ、脚本が書かれてキャスティングが行われていく。このときオーディションを受けた俳優のなかにはマーク・ラファロもいたらしくて、これに起用されてたらのちにハルクを演じることは無かっただろうなあ。スタッ
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「HIDDEN」鑑賞

「ヒドゥン」ではないよ。今をときめく「ストレンジャー・シングス」(俺は未見)のザ・ダファー・ブラザーズによるサスペンス。 舞台は何らかの出来事によって壊滅的な被害を受けた町。被害を受ける前に地下シェルターに逃げ込んだ少女ゾーイとその両親は、地上にいる「何者か」から隠れ、身を潜めて300日が経とうとしていた。しかしシェルターで事故があったことから、彼女たちの存在が「何者か」に明らかになってしまい…というあらすじ。 貧者の「10 クローバーフィールド・レーン」、と言ったら失礼でしょうか。でもプロットはよく似てるな。あちらはシェルターの中の人間たちが疑心暗鬼になるサスペンスが話の中心だったけど、こちらは家族が団結してるので一家の黙々としたサバイバルが話の要になっている。そのせいか話の展開が遅くて、ネズミ退治にも時間をかけている次第。画面もやたら暗くて、「レーン」に比べると地味な印象は否めない。 ゾーイたちがシェルターに入るまでの出来事はフラッシュバックで徐々に語られていって、終盤に意外な事実が明かされるのだが、そういう意味では主人公たちは「信用できない語り手」になるのかな。それなりに
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「SWISS ARMY MAN」鑑賞

そのあまりにも素っ頓狂な内容から、今年のサンダンス映画祭で賛否が真っ二つに分かれた作品。何も知らないほうが楽しめると思うので、以降はネタバレ注意。 乗っていた船が難破したことで無人島にひとり残されたハンクは絶望して首吊り自殺を試みるが、海岸に打ち上げられた男性の遺体を発見する。腹にガスがたまっているせいか無限に放屁を続けるその死体をいじくっていたハンクは、やがてその猛烈な放屁を使ってウォータースキーのごとく水上を走り、別の海岸へと漂着することに成功する。そして彼はその不思議な死体をマニーと名付け、背中に抱えたまま人里を求めて森林をさまようことにするが、死体だったはずのマニーに生気が戻ってきて…というあらすじ。 題名は「スイス軍の男」ではなく「万能ナイフのような人」を意味しており、死体のマニーは放屁で水上を走れるだけでなく口から生水を出したり、手がハンマーのようになったり、火花を発したり、チンコがコンパスになったりと、至れり尽くせりの万能ボディ。 しかしさすがに死体を相手にハンクが喋るだけの内容では厳しいわけで、意外と早い段階でマニーに生気が戻ってきて、生きるとは何か、恋とは何か
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「THE NEON DEMON」鑑賞

ニコラス・ウィンディング・レフンの新作。タイトルにしっかりと「NWR」のロゴを入れてくるあたり、なんか自分をブランド化しようとしてるのかなあ。 両親を亡くし若干16歳でジョージアからロサンゼルスにやってきたジェシーは、モデル業で生計を立てようとして初のフォトセッションでメーク係のルビーと友人になる。彼女の美貌は皆の注目するところとなり、年を19歳と偽ってモデル・エージェンシーに登録した彼女は、著名な写真家に抜擢され、さらに他のモデルたちを差し置いて有名なファッションデザイナーのお気に入りとなる。しかしそんな彼女の急な成功を、周囲のベテラン・モデルたちは妬むようになり…というあらすじ。 映像はきらびやかで綺麗なおねーさんたちもたくさん出てくるけど、エログロ描写のあるスリラーですからね。デートとかで観に行かないほうがいいんじゃないかと。映像は「オンリー・ゴッド」同様に派手なネオン調のライトがふんだんに使われていて美しいのだけど、ストーリーは華麗なモデル業界の裏における女性たちの確執という、かなり使い古されたものであることは否めない。主人公が写真家に「服を脱げ」と言われる展開など、どこ
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「The Nice Guys」鑑賞

凸凹コンビが活躍するバディ・アクション・ムービー(「アイアンマン3」を含む)を書いてキャリアを築きあげたシェーン・ブラックが贈る、新たなバディ・アクション・ムービー。 舞台は1977年のロサンゼルス。サエない私立探偵のホーランド・マーチは謎の事故死を遂げたポルノ女優について調べているうちにアメリアという女性について知る事になるが、アメリアによって雇われた用心棒のジャクソン・ヒーリーによってボコボコにされてしまう。しかしその後ヒーリーがアメリアを探す別の男たちに襲われたことから、ヒーリーはマーチと手を組んで、行方をくらましたアメリアを探すことになる。そしてアメリアがポルノまがいの映画に出演していたことを知った二人は、その映画の関係者がみんな開始を遂げていることに気付き…といったあらすじ。 ライアン・ゴズリング演じるマーチはとことん才能がない快楽主義者で、大事なところでヘマばかりしていて、酒とタバコに目がないタイプ。対するヒーリーは体型こそでっぷりしてるものの(ラッセル・クロウが意図的に増量したらしい)ストイックな男で、厭世的な人物。クレジットこそクロウが主役なものの、おいしいところ
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「シン・ゴジラ」鑑賞

ツイッターのTL上の評判がとても良かったのと、みんな当面はネタバレをするまい、という雰囲気がひしひしと感じられたため、ならばネタバレされる前に観てしまえ、ということで劇場に行ってきました。ギャレス・エドワーズ版を除けば、「ゴジラ」を観るのって1984年版以来となります。 それでね、個人的にはまったくダメだったのですよ。 ストーリー的には悪くないんですよ。ゴジラが現れて暴れるというコンセプト自体は非常にシンプルながら、東日本大震災と原発事故の出来事をうまく取り入れて、怪獣映画にブレンドしている手腕はとても良かったと思う。ただあのときって、直接の被害を受けなかったとしても人々のあいだには重々しい不安感があり、福島の状況に対する無力感があり、ネット上では有象無象の見解(というかデマ)が飛び交ってたじゃないですか。それに対してこの映画ではゴジラが襲撃してない間はごく普通の日々が続いてるような描写がされていて、なんか違うんじゃないのとは思いましたが。 そんで自分にとって何がダメだったかというと、やはり演出。ちなみにおれ「エヴァンゲリオン」は観ていて(テレ東のものではなくてWOWOWでやっ
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「高慢と偏見とゾンビ」鑑賞

「ジェーン・オースティンの小説にゾンビが加わった!」という斬新(だった)設定が大受けした2009年のマッシュアップ小説を映画化したもの。 小説のヒットを受けて当然のごとくすぐさま映画化権が買われ、当初はナタリー・ポートマンが主演だのデビッド・O・ラッセルが監督だのと威勢のいいニュースが出てきていたが、なんかいろいろあるうちに製作が遅れスタッフも離れていき、今年になってやっとこさ製作されたということらしい。なんか一発芸のようなネタを何年も引きずりまわした結果、気の抜けたものになってしまった印象は否めない。アサイラム社ならこんな作品3ヶ月で作ってるぞ。やはり原作が下手にヒットしてしまうと製作陣も力を入れすぎてしまうのかなあ。 なおジェーン・オースティンって、90年代に「オサレな女子のための文学書。登場人物みんなの年収が書かれていて面白いね、ハハハ」みたいに扱われて流行ってたという印象がありまして、まあ個人的には大大大大嫌いな作家であるわけですね。ろくに読んでないけど。よって原作も大学の授業で数章読んだくらいで内容はよく知らないのですが、ツンデレ女とダーシー君が結びついて終わるんでしょ?
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「Sex & Drugs & Rock & Roll」鑑賞

前から興味のあった、イギリスのミュージシャンであるイアン・デューリーの2010年の伝記映画。 少年時代にプールでポリオにかかって左半身が麻痺したデューリーは障害児向けの学校で寮生活を送るものの同級生や先生に虐待され、当然のごとくひねくれた大人に成長。結婚して子供ができても家族のことなどそっちのけでバンド活動に専念し、若い愛人ができて別居したはずが妻と子供を招いて4人で暮らす奇妙な生活を送り、そんな環境で育った息子のバクスター(彼自身もミュージシャンなんですね)も当然のごとくひねくれた少年に成長。そんな息子と父との交流を軸にデューリーの人生が描かれていく。 ステージ上での語りと回想として話が始まり、過去の回想と現在がクロスカッティングされてストーリーが進んで行くために時系列がこんがらがっていて、褪せた色調やコラージュが使用された画面づくりは往年のイギリスのアートシネマといった感じ。ニコラス・ローグの作品に似ているのかな?監督のマット・ホワイトクロスって知らない人だったけど、ストーン・ローゼスにデモテープを渡そうとする若者たちの映画「SPIKE ISLAND」なんてのも撮ってるのです
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「バットマン:キリングジョーク」鑑賞

・実のところ、あまり観る気がしなかった作品である。原作はバットマンのコミックのなかでも1、2を争うくらいに有名な、そして優れた作品であるが、個人的にあれはもう当初のコミックのままで完璧だと考えていて、ブライアン・ボランドがのちに色を塗りなおしたバージョンも邪道だと思うくらいなので、アニメ化などもってのほかなのですね。しかしブルース・ティムがプロデューサーで、ケヴィン・コンロイとマーク・ハミルがそれぞれバットマンとジョーカーの声をあてるという、「Batman: The Animated Series」の黄金のメンツが戻ってくるとなれば鑑賞せずにはいられなかったんだよ! ・原作を書いたのはアラン・ムーアだが例によってクレジットに名前は一切登場せず、脚本を「100 Bullets」のブライアン・アザレロが担当している。40数ページの原作を長編アニメにするのは難しかったのか、前半3分の1くらいはオリジナルストーリーになっており、若くて頭の切れるマフィアの男を捕まえようとするバットガールの話に時間が割かれている。マフィアの一家と若き女性の物語という点では「100 Bullets」に似ていると
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「April and the Extraordinary World」鑑賞

ジャック・タルディのコミックを原作にした、フランス・ベルギー・カナダ合作のアニメーション映画。観たのは英語吹替版。 話は普仏戦争が忍び寄っていた1870年のフランスから始まる。戦争にあたり無敵の兵士を欲していたナポレオン3世は、科学者のグスターヴ・フランクリンに内密で傷ついた細胞を修復させる特効薬の開発を命じていたが、ラボでの爆発によりナポレオン3世もグスターヴも命を落としてしまう。国を継いだナポレオン4世は平和主義者だったので戦争は回避されたものの、それから60年のあいだ、世界各地で著名な科学者(化学者)が誘拐されるという事件が起きる。おかげで世界の科学的発展はストップして電力の発見も起きず、石炭と木炭によるスチームエンジンの噴煙により大気は汚染されていた。誘拐されずに残った科学者たちは政府に強制連行されて政府のための研究を強いられていたが、グスターヴの息子プロスパーは息子夫婦と孫娘のエイプリルとともに身を隠し、グスターヴの特効薬の完成を目指していた。しかしピゾーニ警視率いる警察部隊が彼らの研究所を強襲し、一家は離れ離れになったばかりか、エイプリルの両親は何者かに誘拐されてしまう
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「ハードコア・ヘンリー」鑑賞

ティムール・ベクマンベトフ製作の、ほぼロシアで撮影されたSFアクション。以降はネタバレ注意な。 物語は一人の男が科学者のラボで目覚めるところから始まる。過去の記憶がない彼の前には女性科学者のエステルが立っており、彼の名前はヘンリーであること、彼女は彼の妻であること、そしてヘンリーは瀕死の重傷を負ってラボに連れ込まれたことなどを語る。失われた片腕や片足にサイバネティックスの義手・義足をつけられ、発声のためのモジュールをつけてもらおうとするヘンリー。しかし厨二病のジュリアン・アサンジみたいな大富豪のエイカンが現れてラボを襲撃し、ヘンリーはエステルとともに脱出するものの、すぐさまエイカンの部下に妻を奪われてしまう。ヘンリーも危機一髪のところを謎の男ジミーに助けられ、エステラを救い出すためにジミーが伝える任務をこなしていくのだが…というあらすじ。 作品の最大の特徴としては、全編を通じて主人公のPOV(視点ショット)でストーリーが進んで行くというもの。そういうつくりの映像作品といえば早くも1947年に「湖中の女」があったし、最近はやりのファウンドフッテージものもその一種だが、この作品は映画
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「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」鑑賞

10年ぶりくらいにシネマシャンテで観たよ。シネコンの座席に慣れてしまうとあそこの横幅はきついものがあったが、年配のお客さんで満席になってる光景は良かったですね。 ダルトン・トランボや赤狩り時代のハリウッドについてはそれなりに知ってるつもりだったが、それでもヘレン・ミレン演じるヘッダ・ホッパーのこととか知らなくて、いろいろ新しい発見がありましたね。その一方でこの人たちの経歴はどういうものなんだろう?と思ってウィキペディア片手に観たくなる衝動もありましたが。 ジェイ・ローチの初の非コメディ映画という説明もあるようだけど、あの人は最近HBOで「Recount」や「Game Change」といった実話のTVムービーをよく撮っているので、それの延長線にある作品と思って構わないだろう。 TVムービーよりは(おそらく)予算がふんだんに使えたのか、豪華なキャストがいろいろ出てまして、彼(彼女)らの演技によって手堅い作りの作品になっているなあと。ヘレン・ミレンや主演のブライアン・クランストンが相変わらず安定した演技を見せているほか、ルイ・CKやエル・ファニング、ダイアン・レイン、マイケル・スタル
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「グリーン・ルーム」鑑賞

こないだ不慮の事故で亡くなったアントン・イェルチン出演のサスペンス。題名の「グリーン・ルーム」ってバンドとかの「楽屋」のことな。日本ではなぜか来年2月とはるか先に公開らしいですが、これあまり前知識なしに観た方がいいと思うので、以下はネタバレ注意な。 4人組パンク・バンドの「The Ain't Rights」はレーベルとまっとうな契約もしてない無名バンドで、バンを運転して地方でライブを行って日銭を稼いでいた。そして彼らはポートランドの森の中にあるバーでのライブを紹介されるが、そこはスキンヘッドのネオナチたちが集うおっかない場所であった。バンドのメンバーたちは身の危険を感じつつもライブをこなし、金を受け取って帰ろうとしたところである事件を目撃してしまう。その事件を目撃した彼らをネオナチたちは帰すことができず、バンドのメンバーたちは仕方なしに楽屋に籠城することになるのだが、彼らを引きずり出すためのネオナチたちの攻勢が始まる…というあらすじ。 パンクスvsネオナチの戦い、というと政治思想のぶつかり合いのように聞こえるけどそんな要素は一切なくて、ゾンビのごとく攻めてくるスキンヘッドたちに抵
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「Everybody Wants Some !!」鑑賞

邦題は「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」でリチャード・リンクレーターの新作。 リンクレーターといえばコメディからドラマからSFまで幅広いジャンルを手がけることでアン・リーやダニー・ボイルに匹敵するような監督ですが、個人的にはやはり2作目の「バッド・チューニング (Dazed and Confused)」が最高傑作だと思うのですね。70年代のテキサスの1日を舞台に、パーティーに参加しようとするティーンたちの姿を描いたあの作品は本当に大好きで、エアロスミス嫌いな俺でも「スイート・エモーション」で始まるあのオープニングは映画史上に残るものだと信じて憚らないのです。そして今作はその「バッド・チューニング」の「精神的な続編」という意図でつくられたわけで、そりゃ期待するでしょ。また主人公が大学にやってくる、という意味では「6才のボクが、大人になるまで。」の続きでもあるらしいぞ。 時代設定は1980年代で、野球のピッチャーとして奨学金をもらった新人のジェイクがテキサスの大学へやってくるところから始まる。彼は野球部の他のメンバーたちと同じ寮に住むことになり、そこでは皆が
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「インデペンデンス・デイ: リサージェンス」鑑賞

昨年は「ロッキー」や「スター・ウォーズ」の続編が作られて、今年は「Xファイル」が再開したりと、いったい今は何年なんだというフランチャイズ展開が続いているわけですが、これも20年ぶりの続編ですからね。おれ前作は大学生のときに観たけど、もっと若い人は劇場で観てないんじゃないだろうか。まあ前作がビデオやテレビ放映で根強い人気を保ってたということですかね。 前作も公開時にはすでに、頭カラッポにしても見られるハリウッド的ブロックバスターという評判を得ていたわけだが、今回もそのまんま。本国では当然ながら批評家陣の受けは悪く、興行成績もイマイチだったのであまり期待せずに観に行ったのですが、思ったよりかは楽しめた。B級インベイジョン映画として観る分には悪くない出来かと。ネタバレしないように感想をざっと: ・1996年が舞台だった前作は地球の当時の技術で、圧倒的な軍事力を誇る宇宙人に対抗するという醍醐味があったわけだが、今回は宇宙人のテクノロジーを地球人側が組み込んで月面に基地を構えていたり、さらにエクスマキナ的な存在が登場したりと、ちょっとチートな武力バランスになっている。まあ普通のSFアクショ
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「ミストレス・アメリカ」鑑賞

ノア・バームバックの新作。もう一方の新作「ヤング・アダルト・ニューヨーク」は日本でも劇場公開されるのに、こっちはVODスルーだってさ。なんだこの差は。 ニューヨークのバーナード大学に入学したトレーシーは大学生活に馴染めず、人気のある文芸サークルへの入部も認められずに悶々とした日々を送っていた。そこで母親が再婚する予定の相手の娘であるブルックに連絡して二人は出会うことに。ニューヨーカーらしく奔放な生き方をしているブルックにトレーシーはすぐに憧れるが、ブルックが開店する予定だったレストランへの出資がうまく集まらず、ブルックはコネチカットに住む裕福な元カレとその妻を頼ることにする。そしてトレーシーの元カレとそのガールフレンドが運転する車に乗って、4人はコネチカットに向かうが…というあらすじ。 前半はニューヨークでの思春期ドラマっぽくて、後半はコネチカットの家でのドタバタ劇みたいになって、若干話の整合性がとれていないかな。とはいえコネチカットでの会話劇はウディ・アレンっぽくって面白かった。若い女の子や監督の恋人がキャスティングされてるのもアレンっぽいというのかな。大人数でのドタバタ劇って
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「MIDNIGHT SPECIAL」鑑賞

ジェフ・ニコルズの新作。これ何も知らないまま観るのがベストだと思うので、以下はネタバレに注意。 舞台となるのはテキサス郊外。目にゴーグルをかけた8歳の少年が、二人の男が運転する車に乗って真夜中を疾走していた。男のうち一人は少年の父親で、カルト教団にいた少年を奪い返し、友人であるもう一人の男性とともに教団から逃れようとしていたのだった。この少年の名前はアルトンといい、神秘的なメッセージを受信するなどといった不思議な能力を持っていたため、教団では神の子のような扱いを受けていた。さらにアルトンがアメリカ政府の極秘の暗号電波をも受信したことから政府が彼の存在に気付き、彼らもアルトンを追い始める。教団と政府に追われるなか、父と子はアルトンが告げた場所へと向かうのだが…というあらすじ。 親と子の不思議なお告げに関する物語、という意味では監督の前々作「テイク・シェルター」に通じるものがあるかな。政府が迫り来るなかでの逃避行は「E.T.」の後半を彷彿とさせるが、個人的には70年代のSF映画っぽい雰囲気も感じました。アルトンが夜空から◯◯を落とすシーンとかゾクゾクするよ。その一方でアルトンの能力が
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「X-MEN:アポカリプス」鑑賞

アメリカで見てきた。27日公開でも東海岸が27日になってれば西海岸では26日に封切りされるの?日本公開は8月なのでネタバレしないように感想をざっと: ・本国では批評家の評判が悪くて、なかには「ファイナル・ディシジョン以下」という評もあったので覚悟しながら観たけど、何のことはなく普通に楽しめる作品であったよ。 ・そりゃミュータントが狩られるなか、政治的不安を背景にエグゼビアとマグニートとミスティークの思想を絡め、さらに過去と未来の姿を描いた傑作だった前作に比べれば出来は劣るよ。大人が主人公だったあちらに比べて、こっちは少年少女が主体の映画だもの。だから変に期待せずに気楽に観ればいいんじゃないですか。 ・悪い点を先に言っておくと、やはり悪役にアポカリプスを持ってきたところ。コミックでも図体デカくて威張ってる割にはいまいち何をしたいのかよく分からない奴なのだが、今回も石の下敷きになって何千年も無力だったのが突然目覚めて世界に新しい秩序をもたらそうとするあたり、なんか迷惑なオッサンだなという感じは否めない。ミュータントであるXメンたちに脅威を与える存在でないと悪役としての魅力は半減して
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機内で観た映画2016

アメリカ出張に行ってたので、飛行機のなかで観た映画の感想をざっと: 「カンフー・パンダ3」:最強の敵がやってきて、最初は主人公が苦戦していたものの、意外にも奥義を習得してやっつける、というパターンを三たび繰り返しているだけでは…ロールプレイングゲームとかもそうだけど主人公が「選ばれし者」だという設定っておれ嫌いなんだよな。アニメーションの出来はよくてストーリーテリングも手馴れているだけに、もっと新しいことやってほしかった。自分の子供3人をしっかり声優に起用させてるところにアンジェリーナ・ジョリーの親バカっぷりが伺える。 「アーロと少年」:ピクサー作品、もといディズニーアニメにしては珍しく登場する動物が微妙にグロくて、小動物は肉食動物にムシャムシャ喰われるし、酒?に酔って気色悪い幻覚を見たり、さらには放尿シーンがあったりと、ちょっとだけ大人向けの作りになってるのですが、じゃあ話が面白いかというとそうでもなく。迷子の帰郷って「ファインディング・ニモ」がずっと上手くやってしまったからなあ。そもそも首長竜に農耕をさせるというコンセプトがよく分からんのよね。 「Concussion」:アメ
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「ハイ・ライズ」鑑賞

J.G.バラードの1975年の小説を映像化したもの。 舞台となるのはロンドン郊外に建てられた40階建ての高級タワーマンション。スーパーマーケットや学校、スイミングプールなどを内部に完備したその建物の25階に、主人公の医師ロバート・ラングは新しく引っ越してくる。奇しくもマンションの各階は住人の社会的地位を反映しており、無骨なテレビカメラマンのリチャード・ワイルダーたちは低い階に住み、富裕層の住人たちは高い階に住み、そして最上階のペントハウスにはマンションの設計者であるアンソニー・ロイヤルが住んでいた。当初こそ住人たちは秩序良く生活を営んでいたものの、やがて頻発する停電などによって鬱憤がたまっていき、マンションが1つの隔離された世界となって混沌の渦へと巻き込まれるのであった…というあらすじ。 おれ原作を読んだのはもう20年くらい前(こんど復刊されるみたいね)なので詳細はあまり覚えてないものの、ラングが廃墟と化したマンションで犬の肉を食いながらそれまでの経緯を振り返る冒頭から最後まで、原作にはかなり忠実な内容になっていたと思う。監督のベン・ウィートリーの作品を観るのはこれが初めてですが
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