映画評

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「While We're Young」鑑賞

ノア・バームバックの新作。主演がベン・スティラーで音楽がジェームズ・マーフィーということで、2つ前の作品「Greenberg」に通じるものがあるかな? 44歳のジョッシュは大成できないドキュメンタリー作家で、難解なドキュメンタリーを何年にも渡って撮影しているものの終わりが見えず、資金も底をつきかけていた。そんなとき講師をしている大学で、授業を公聴していたジェイミーという25歳の若者と知り合う。自分の作品のファンだという彼にジョッシュは好感を抱き、さらにジェイミーとその妻のダービーのクールな生活(イカした服装をまとい、家具や料理を手作りし、広いアパートに住んでLPレコードを何枚も持っている)に憧れたジョッシュは妻のコーネリアを巻き込んで夫婦同士の付き合いを始める。やがてジョッシュはジェイミーが撮影するというドキュメンタリーの手助けもするようになるのだが、自分と違って万事がうまくいっている彼の生活を妬むようになり…というあらすじ。 要するにジェネレーションギャップを題材にしたもので、自分より成功している若者が現れたらどう対応すべきか?というのが大きなテーマであり、冒頭に引用されてるイ
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「007 スペクター」鑑賞

・公開したばかりなので簡単な感想をざっと。でもネタバレ少しあるかも。 ・前作でQやマニーペニーなどが復活したことでその兆しはあったが、今回は続いてスペクターやら猫やらマオカラーの悪党などが復活していて、かつて「カジノ・ロワヤル」で縁を切ったはずの過去の設定がいろいろ戻っております。これはミニラを捨てたはずのゴジラシリーズにいつのまにかゴジラジュニアが登場していたのと同様に、フランチャイズムービーの宿命なのだろうか。 ・加えて列車の中でのヘンチマンとの格闘とか、過去の作品へのオマージュがいろいろ入ってるし、ダニエル・クレイグの過去3作への言及が多分にされるなど、かなり昔を意識した内容になっている。でもシリーズ第20作ということで過去のネタをいろいろ詰めこみすぎて肥大しまくってた「ダイ・アナザー・デイ」よりかはずっとスマートにオマージュを捧げられているかと。 ・でも「慰めの報酬」では「何でも知っててすげーんだぜ!」と吹聴されてた「クォンタム」が、「スペクターの下部組織だよ」と一言で片付けられていたのはガックリきたなあ。あと何で指輪を分析すると組織の関係者がわかるんだ? ・「ボンド
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「Trainwreck」鑑賞

日本では知名度ゼロですが、アメリカの女性コメディアンにエイミー・シューマーという人がおりまして、コメディ・セントラルのスケッチ番組「Inside Amy Schumer」がエミー賞やピーボディ賞を受賞するなど、いろいろ高い評価を得ている人なのですよ。そんな彼女が主演した、ジャド・アパトー監督のコメディ映画。脚本はシューマーによるものだが、コメディ映画なのに2時間超えてるあたりはアパトー作品だなあ。 主人公のエイミーは、幼いときに両親が離婚した影響で「一夫一婦主義は成り立たない!」と信じ込んで育ち、妹は結婚したにもかかわらず、自分はカジュアルなボーイフレンドを持ちつつも行きずりの男と気ままに寝る奔放な生活を送っていた。そしてニューヨークの雑誌社に努める彼女は、スポーツ選手の医師について記事を書くように命じられ、バスケ選手を主に扱うアーロンという医師に出会い、やがて二人は恋に落ちるのだが、エイミーは彼と結婚するほどコミットできず…というようなあらすじ。 あまり明確なプロットはなくて、エイミーの父親や妹夫婦との会話などを交えながら、エイミーとアーロンの関係がルーズに描かれていくといった
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「Mr. Holmes」鑑賞

イアン・マッケランが老齢のシャーロック・ホームズを演じた作品。監督はビル・コンドン。 舞台は1947年。ワトソンとは死に別れ、93歳になったホームズはサセックスに引退して養蜂を営んでいた(ここらへんはコナン・ドイルの原作どおり)。健康に良いという山椒を得るため、そして文通相手のウメザキと会うために日本の広島まで長旅をした彼は、マンロー女史が世話をするサセックスの家へと帰って来る。そこでマンロー女史の息子のロジャーと仲良くなった彼は、彼にせがまれて昔の事件について語るようになり、やがて自分が引退するきっかけとなった事件について回想することとなる…というようなあらすじ。 いちおう原作小説があるらしいけど、ドイルではなく別の作家によるもの。サセックスの生活に絡めて、引退のきっかけとなった事件、および日本におけるウメザキとの出会いがフラッシュバックで語られていくが、老齢のホームズの記憶力が不確かなものになっており、彼自身が「信頼できない語り手」となっている。ただしミステリー映画というほどではなく、晩年のホームズの姿が淡々と描かれるドラマなので、推理小説ファンには不満が残るかも。 76歳
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「ファイナルガールズ 惨劇のシナリオ」鑑賞

先週末にアメリカで公開された、スラッシャー映画のパロディ。日本では12月にDVDスルー予定だとか。原題は「Final Girls」だが今年は「Final Girl」という良く似た題名の映画もあるので間違えないように。 少女マックスの母親はカルト人気を誇るホラー映画「血まみれのキャンプ場」に20年前に出演したものの、それによってタイプキャストされて、その後はろくな役につけないでいた。そんな母親を励ますマックスだったが、彼女のミスから交通事故で母親を死なせてしまう。それから3年、母の死から立ち直れないマックスは親友のガーティーたちに誘われて、ボーイフレンド未満の友人クリスと、「血まみれのキャンプ場」およびその続編のリバイバル上映に足を運ぶ。スクリーンに映った母の姿を観て気分が優れなくなるマックスだったが、誰かがこぼした酒に引火して映画館は炎に包まれてしまう。逃げ場を探したマックスたちはスクリーンを裂いてステージ奥に向かおうとするものの、彼らが到着したのは何と映画の中だった。呆気にとられるなか、母親(が演じる役)に再開するマックス。しかし彼女たちの滞在するキャンプ場にはマスクをかぶった連
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「ファンタスティック・フォー」鑑賞

ご存知の通り本国では酷評されて興行的にも惨敗した作品であり、そんなにツマらないのかと恐る恐る観にいったわけですが、観賞中に席を蹴って帰りたくなるような内容ではなかった。とはいえ面白いのかと聞かれるとやはりツマらないと言わざるを得ないのですが。 脚本はリー&カービーのものでなくマーク・ミラーによるアルティメイト版のオリジン話を比較的忠実にフォローしていて、この映画と前後してミラーがフォックスのコンサルタントに就任したことを考えると必然的なことだったのかも。改善の余地はいくらでもありそうな脚本だが、そこまで悪いというわけではない。 問題はやはり演出面で、とにかく各所における「溜め」がないのだ。だから人を殴るシーンもすごくあっけないし、決めゼリフを言うところもカッコ良さがなくて、全体的にとてもメリハリが無い作品になってしまっている。まるで監督が自分の撮ったものに自身がなくて、とっとと次のシーンに行きたがっているような印象を受けてしまったよ。 公開されなかったロジャー・コーマン版のFFだって、(予算の関係で)作中ずーっと炎上しなかったヒューマン・トーチが最後にやっと炎につつまれて飛行す
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機内で観た映画2015

ヨーロッパへ数日の出張に行っていたので、飛行機のなかで観た映画の感想をざっと: 「SPY」:メリッサ・マッカーシー主演のスパイ・コメディ。マシュー・ヴォーンの「キングスマン」にも劣らぬスパイ映画への愛情を込めてポール・フェイグが監督しており、思ってたよりもずっと面白かった。よくある主人公が愚鈍で無能なコメディと違い、実戦の経験は無いものの優秀なエージェントだというのがいいんだよな。ミランダ・ハートやピーター・セラフィノウィッツといった脇を固めるキャストも良いし、ジェイソン・ステイサムとジュード・ロウのコメディ演技も面白い。これ日本で劇場公開しないんだっけ? ・「SLOW WEST」:アートシネマっぽいウェスタン。マイケル・ファスベンダー演じる無骨なガンマンはカッコ良いのだが、彼と一緒に旅する純朴な青年の言動が青っちょろくてイライラする。ラストの銃撃戦もいまいちスカッとしないので観ていて不満が残る内容。 ・「カリフォルニア・ダウン」:揺れる機内で観るとまさかの4DX体験!地震の科学的信憑性(内地の地震であんな派手な津波が起きるのかよ、とか)よりも、ロック様とカーラ・グギノの娘が真っ
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「アントマン」鑑賞

いま公開中なのでネタバレせずに感想を簡潔に: ・良い映画。エドガー・ライトのファンとしては、彼が監督やってたらどうなってただろうとか、彼の脚本はどこまで使われてるんだろうかと考えずにはいられないのですが、ここはペイトン・リードの功績を素直に讃えるべきでしょう。でもザ・キュアーをサントラに起用するのはイギリス人のアイデアだと思う。 ・ライトはマーベル(ディズニー)が口をはさんでくるのに嫌気がさして監督を降板したわけだが、「アベ2」に比べれば他のマーベル作品との繋がりは希薄だったと思う。まあ関係者もいろいろ出演してるけどね。良くも悪くもマーベル映画というよりディズニー映画みたいなノリだったけど、コンティニュイティーに縛られないマーベル映画がたまにはあっても良いと思う。「シビル・ウォー」でマーベル・ユニバースにズブズブはまることになるんだろうけど。 ・スーパーヒーロー映画はオリジン話が無いほうが面白い(「ダークナイト」や「スパイダーマン2」とか)と良く言われるけど、これは「アイアンマン」と並んで主人公の特訓が描かれていて面白かった。ただイエロージャケットのスーツ奪還をヤマ場に持ってき
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「トレジャーハンター・クミコ」鑑賞

iTunesストアで安かったので何とはなしに視聴。WOWOWで今週やるみたいですが。 コーエン兄弟の映画「ファーゴ」に出てくる、雪の中に隠された大金が実在すると信じ込み、単身ミネソタに渡って死亡したという日本人女性の物語をフィクション化したもの。しかしそもそもクミコの話というのが都市伝説のようなもので、ファーゴが好きだったという日本人女性が彼の地で自殺したことについて、「彼女は大金を探していた」という尾ひれがついてしまったものらしい。 主人公のクミコは社長のお茶汲みをしているしがないOLで、会社の同僚たちとも打ち解けず、実家の母親には早く結婚をしろと小言を言われる毎日を過ごしている女性。アパートではウサギを飼っているもののエサは丸投げだし、学生時代の友人にお茶に呼ばれても脱兎のごとく逃げ出してしまう、まあいろいろ問題を抱えた人なのだが、そんな彼女の唯一の趣味というか日課が、家でカップラーメンをすすりながらコーエン兄弟の「ファーゴ」を鑑賞すること(DVDの時代にすりきれたVHSテープで観ている)。そして例の大金を隠すシーンでひらめいた彼女は、画面をもとに宝の地図を書き上げ(なぜか布
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「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」鑑賞

まだ劇場公開中なので感想をざっと。 ・前作はアニメ畑のブラッド・バードに初の実写監督を任せ、その賭けが当たって傑作が生まれたわけだが、今回はトム君とズブズブの関係であるクリストファー・マッカリーが脚本・監督を担当したことでスターに甘い作品ができてしまうのではと危惧していたものの、前作ほどではないにしろ娯楽精神に満ちて楽しめる作品になっていた。 ・今年は奇しくもこれと「スペクター」「キングスマン」「コードネーム UNCLE」と4つも諜報機関ものの映画が公開されるのだが、本家007作品がドラマを重視したハイブローな方向にシフトしていったのに対し、「キングスマン」はローブローなところを、「UNCLE」はレトロ風味なところを、そして本作はアクションを重視したものということになるのかしらん。 ・冒頭から中国の製作会社がクレジットされてることに驚くが、今後も中国出資の作品は増えてくるのかな?まあこのシリーズは3作目で既に中国ロケとかやってましたが。 ・世界各地をまたにかけた大活劇のようで、前作のブルジュ・ハリファのような決定的なシーンに欠けているため、話にメリハリが足りない気もする。バイ
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「ベルファスト71」鑑賞

カソリックとプロテスタント系の住民の衝突(いわゆる「The Troubles」)が激化していた1971年の北アイルランドはベルファストを舞台にしたサスペンス。 若くしてイギリス陸軍に入隊したゲイリーは、初の勤務地としてベルファストに派遣される。そこでイギリスに抵抗しているカソリック系の住民の抑圧にあたるのだが、経験の浅い上長が部隊を率いていたこともあり、住人たちとの小競り合いのなかでゲイリーは部隊に置き去りにされ、さらにもう一人の兵士が住民によって射殺されてしまう。こうして身の危険を察したゲイリーは必死に逃亡を続けるのだが、彼を狙う者たちが追いかけてきて…というストーリー。 まあ北アイルランドが舞台の「ブラックホーク・ダウン」みたいなもの?戦地における兵士の必死のサバイバルを描いているのだが、「ブラックホーク」同様に、主人公を狙う住人たちが冷酷な野蛮人みたいに描写されてるのがどうも気になるのよな。彼らはゴミ缶のフタを打ち鳴らし、殺人も厭わない人間として映し出されるわけだが、彼らの土地であったところにズカズカ入植してきたのはイギリス人であるわけだし、この扱いにはどうも腑に落ちないと
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「IT FOLLOWS」鑑賞

200万ドルというごく低予算ながら高い評価を得たホラー。日本でも配給会社が決まってるので劇場公開かDVD発売すると思うが、これ話のプロットがそのままネタバレにつながるので、前知識なしで作品を楽しみたい人は以下の文章を読むのをお控えください。 いいね? ジェイはデトロイトに住む多感な女子大生で、少し謎めいたヒューという男性とデートするようになっていた。やがてジェイとヒューは彼の車のなかでセックスをするものの、クロロホルムによって彼女は昏睡させられてしまう。目覚めた彼女に、自分の「呪い」について説明するヒュー。それはセックスによって移る(拡散ではなく引き継がれる)ものであり、 ・呪いがかかっている人物には、「それ」が静かに追いかけてくる。 ・「それ」は誰かしらの人間の姿をしている(知人のときもある)が、その姿は呪われている人物にしか見えない。 ・「それ」につかまった人は死んでしまう。 ・呪われた人が「それ」によって殺された場合、「それ」はその1つ前に呪いがかかっていた人を再び追いかける。 というもの。呪いを移したことを詫びつつ、ジェイにひたすら逃げるように伝えて姿を消すヒュー。そ
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「ターミネーター:新起動/ジェニシス」鑑賞

ネタバレにならないように感想をざっと: ・「新起動」といいつつも初代「ターミネーター」(あとちょっと「T2」)のストーリーをかなり踏まえた内容になっていて、あれ観てないと話がよく分からないかも。そこらへん不親切といえば不親切。 ・タイムトラベルもので何本も続編を作れば当然ながら時代設定が破綻してくるわけで、複数の時間軸が存在するのなら過去に戻って歴史を修正する意味がないんじゃね?改変されるのは自分がいるのとは別の時間軸になるということで。まあそれにツッコむのは野暮でしょうが。 ・ジョン・コナーの正体とかをトレーラー(しかも本国の)でしっかりとバラしてくれたおかげで、話の後半まではそれなりに予定調和で話が進む。これに関連したわけではないだろうが、未来の展開を知っているキャラクターが多いのため、なんか話の展開がちょっと安直なところがあるんだよな。 ・外側の皮膚は人間と同様に老けるんだそうな。あーそうですか。 ・エミリア・クラークが場面によってはリンダ・ハミルトンに似てるように見えるのは意外だった。一方でジェイ・コートニーのアクション顔はニコラス・ケイジに似てきた。 ・「ドクタ
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「トゥモローランド」鑑賞

公開中なのでネタバレせずに感想をざっと: ・田舎のティーンが不思議な事件に遭遇するSF映画、と言う意味で全体的な雰囲気は80年代のスピルバーグ作品のようであった。意図したものではないだろうけど、「SUPER 8」なんかよりもずっと似ていたと思う。 ・でもスピルバーグ作品に比べて人の吹き飛び方とか、ロボットがボコボコにされるさまは結構えげつない描写がされていて、あれはアニメーター出身の監督だからですかね。映像を観ながら「アニメだったらどう描写してたかな…」とつい考えてしまうのは偏見かな。 ・ストーリー自体は面白いものの、脚本に粗さが目立つのが残念。ビデオ撮りしてる冒頭から「はぁ?」となるし、「この先どうなるんだろう」というワクワク感よりも「いま何が起きてるんだろう」という五里霧中な印象を観客に与えてしまうというか。もう2回くらい脚本をリライトしてもバチはあたらなかったと思う。 ・でもグッズ店の店主の名前が「ヒューゴー・ガーンズバック」だったり、店でのバトルの音楽が「スター・ウォーズ」のパスティーシュであったりと、SFに対するオマージュが散りばめられていて、監督の愛情が伝わってく
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「Kingsman: The Secret Service」鑑賞

グラント・モリソンに恨みを買われてるマーク・ミラーと、アラン・ムーアに恨みを買われてるデイブ・ギボンズによるコミック(いや、別にこの言い方に他意はない)が原作の映画な。日本では「キングスマン」の題で例によってずっと遅れて9月公開とのことなので、ネタバレにならないよう感想をざっと: ・話の流れは原作に結構忠実なんだけど、労働者階級と上流階級のギャップよりも、監督のマシュー・ヴォーンによる昔のスパイ映画へのオマージュが前面に押し出された出来になっている。劇中でもスパイ映画について言及されたりしてるのだが、リアル路線を追求した今の007やジェイソン・ボーンものへの反動のような、秘密兵器と豪華なファッションが満載の作品となっていた。とはいえ結局はハッキング合戦になるのが今のスパイ映画の限界なのか。 ・原作では主人公がもっと筋金入りのチャヴ(イギリスのDQN)だったような憶えがあるが、こちらは比較的素直な青年といった感じ。上流階級出身の仲間たちとの対比も控え目かな。彼が雇われる秘密組織「キングスマン」は紳士たちが揃ったエリート組織であり、悪の組織の首領も底辺の人々を抹殺しようとするエリート
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「EX MACHINA」鑑賞

ちょっと前だけど飛行機の中で観て面白かった作品なので感想を簡単に。機内用の映像のため女性の裸とかにボカシが入ってたけど、話の内容は修正されてないはず。 検索エンジンの会社で働く若きプログラマーのケイレブが社内の抽選で無作為に選ばれ、会社の社長が住む山の奥地の別荘に招かれるところから話は始まる。そこでケイレブはエキセントリックな社長のネイサンに、人工知能を搭載したエイヴァと呼ばれるヒューマノイドと会話を毎日行ない、彼女の人工知能が本物であるかを試すように伝えられる。最初は真面目にテストを行なっていたケイレブだったが、やがてエイヴァに感情移入するようになっていき…というプロット。 ポスターとかではいまいち内容が分かりにくいが、意外と正統なSFサスペンスになっている。人工知能を備えたロボットの反乱、というと陳腐だけど、エイヴァとケイレブとネイサンの思惑が錯綜し、最後まで飽きさせない展開が続いていく。 監督のアレックス・ガーランドは「ザ・ビーチ」の原作とか書いた小説家でこれが初監督作品となるが、反射を効果的に使った映像が非常に美しいのですよ。あれは撮影監督の手腕が大きいのかな。哲学につ
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「Kung Fury」鑑賞

その80年代テイスト丸出しのトレーラーが大きな話題を呼んだアクション・コメディ短編。キックスターターで出資を募ってから完成が望まれていたが、この度ついに無料で公開されたのだよ。 舞台は1985年のマイアミ。悪がはびこり警官は平気で射殺され、さらにはアーケード・マシンが凶悪ロボットに変形して人を襲うなか、雷撃に打たれてコブラに咬まれたことで驚異的なカンフー能力を身につけた一匹狼の刑事カン・フューリーは一人で悪と戦っていたが、なぜか1940年代からやってきた悪のカンフー総統ヒットラー(「カン・フューラー」!)に上司を殺害されてしまう。上司の仇を討つため、天才ハッカーであるハッカーマンの力を借りてカン・フューリーはタイムマシンを使って1940年代を目指すものの、計器の故障によりはるか昔の恐竜が闊歩する時代に飛ばされてしまい…という展開。 とにかくシンセ音楽がバンバン鳴り響き、VHSのノイズが画面に走るなか、滑稽無糖なアクションで悪を倒すカン・フューリーがカッコいいのだよ!なんで警察の相棒がトリケラトプスなんだとか、恐竜時代に戻った意味ってあまりないんじゃないとかツッコミどころは当然山の
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「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」鑑賞

これもアメリカで観てしまったよ。当然ながら以下はネタバレ注意: ・現地での大まかな評判は「悪くはないんだけど、前作ほど良くはない」というものだったが、確かにそんな感じ。前作は個々のヒーローが団結して行く流れが快かったのに対し、今回はチームが崩壊の危機を迎えてお互いに戦ったりするわけで、観ててあまりカタルシスが感じられないのよな。後半になってから危機を乗り越えて一緒に戦う展開は良いんだけどね。 ・当然ながら今後のマーベル作品への伏線がいろいろ貼られているのだが、これも以前はワクワクさせてくれるものだったのに、だんだんそっちが重要になってストーリーを圧迫しているような感じ。監督のジョス・ウィードンがマーベルのプレッシャーに耐えられずこれ限りで降板したのもよく分かる。 ・SHIELDの状態などはTVシリーズの流れを受けてるようなのだけど、そこまでチェックしてる時間はないのよ。映画だけでなくTVともユニバースをシェアさせるのって今後はどんどん整合性がとれなくなってくるんじゃないのか。 ・クイックシルバーは「フューチャー&パスト」のほうが良い。まああっちはきっちり見せ場が与えられていた
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「マッドマックス 怒りのデス・ロード」鑑賞

アメリカへ出張したので観てきたのだよ。プロットらしきものはあまり無いんだけどいちおうネタバレ注意な。 ・皆が期待してる「ヒャッハー!」なアクションはもちろんあるよ。というか最初から最後までそればかりなんだけど、観て驚いたのはこれすごく女性を中心に添えた作品だということ。 ・話の実質的な主人公はマックスというよりもシャーリーズ・セロン演じるフュリオサだし、彼女を頼ってイモータン・ジョーのもとから脱出する5人の女性は最初こそレイプの犠牲者であり、か弱い存在なのだけど、グロテスクな貞操帯を断ち切って自由になったあとは自由を求めて行動し、しまいには戦いの流れを大きく変えるような存在になっていく。 ・女性の一人が身を挺してマックスを守るシーンなんて観てて涙がでましたよ。「トランスフォーマー3」では突っ立ってるだけだったクチビルオバケ(名前忘れた)がキャストに加わると発表されたときは何の冗談かと思ったが、彼女も他の女性も素晴らしい縁起をしてるではないですか。 ・主人公の男性と恋に落ちるために女性が一人だけ用意されてる最近のアクション映画をあざ嗤うかのように、この作品はベクデル・テストを易
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「Black Angel」鑑賞

1980年に「帝国の逆襲」がイギリスで公開される際に併映されたという短編。 「スター・ウォーズ」のセットデザインや「エイリアン」「ライフ・オブ・ブライアン」のアートデザインを手がけていたロジャー・クリスチャンが、ジョージ・ルーカスに依頼されてスコットランドで撮影したものだとか(撮影監督はテリー・ギリアムとよく組んでいるロジャー・プラット)。その後ネガが紛失して長らく幻の映画扱いされていたものが、30年ぶりくらいにネガが発見され、映画祭で披露されたあとにこうしてyoutubeで公開されることになったのだとか。詳細については監督自らが冒頭でいろいろ語ってるんで参照ください。 内容は数年ぶりに故郷に帰ってきた中世の騎士が、戦争と疫病によって荒廃した城を見て落胆する。しかし彼は黒い天使に仕えるという女性に出会い…というもので、タルコフスキーに受けたいうことなので水のイメージなどはそういう感じなのかしらん。良く言えば抽象的、悪く言えば難解な内容で、チャンバラはあるものの血湧き肉踊る騎士の活躍などを期待してはいけないよ。 一番の見所はスコットランドの大自然で、険しい山々や激しい滝などの光景
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「DEAR WHITE PEOPLE」鑑賞

昨年のサンダンスでちょっと話題になったコメディ。 舞台となるのは名門校のウィンチェスター大学。そこの生徒たちは大半が白人で、黒人の生徒たちは1つの学生寮に集まって生活していた。そしてカレッジ・ラジオの番組「Dear White People」のDJとして、人種について煽ったコメントをして話題を呼んでいたサマンサは、学部長の息子であるトロイを選挙で破って学生寮の寮長に就任する。そんな彼女にライバル心を抱くユーチューバー(のようなもの)のココや、大学新聞のために記事を書くことになったライオネルといった生徒たちも話に絡んでいき、やがて理事長の息子である白人のカートが、黒人をテーマにしたハロウィーンパーティーを計画したことで物事は加熱していき…というような内容。 低予算映画ゆえか、知ってる役者はデニス・ヘイスバートくらいか。あとライオネル役のタイラー・ジェームズ・スミスって「Everybody Hates Chirs」で子供時代のクリス・ロックを演じてた人か。いつの間にか大きくなったのう。 アメリカの映画やテレビ番組をいろいろ観ていても、あちらの大学のフラタニティとか学生寮の仕組みって
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「WORLD OF TOMORROW」鑑賞
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「WORLD OF TOMORROW」鑑賞

今年のサンダンスで短編賞を獲得した、ドン・ハーツフェルトによる短編アニメーション。 少女のエミリーは、ある日テレビ電話でメッセージを受け取る。それは遠い未来のエミリーからのもので、クローン技術および記憶の移植による長寿(というか生まれかわり)が確立された世界における、エミリーの第三世代のクローンだと大人の彼女は名乗った。さらに技術の進歩により過去へメッセージを送るだけでなく、危険が伴うもののタイムトラベルも可能になったことで、未来のエミリーは少女のエミリーを未来へと呼び寄せる。無邪気にふるまうエミリーに対し、自分の人生、および未来の世界について語る大人のエミリー。そして彼女が少女のエミリーを呼び寄せたのには、1つ大きな理由があった…というストーリー。 僅か16分の短編ながら、クローンやタイムトラベル、月世界のロボット、記憶の移植、異生物との恋、過去へのノスタルジアなどといったSF的な要素がこってり詰め込まれていて、それでいて難解ににはならず、ユーモアとペーソスが混じった詩的な作品になっている。 おれハーツフェルトの作品を見るのってこれが初めてなのですが、昨年「シンプソンズ」の冒頭の斬新
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「Force Majeure」鑑賞

昨年高い評価を受けたスウェーデンの映画。東京国際映画祭でも「ツーリスト」という題で公開されてたのか。 山奥のスキーリゾートへ一家でやって来た父親と母親、そして二人の子供たち。スキーを楽しんだ彼らがホテルのテラスで昼食をとっていると、山の向こうで計画的な雪崩が起こされる。しかし雪崩は想定以上にホテルへ近づいてきて、客たちはパニックに。結局はすこし雪をかぶっただけで済んだものの、そのとき父親は一人で逃げ出してしまっていた。自分と子供たちを置いて逃げた彼を軽蔑する母親と、逃げたわけではないと弁明する父親。二人のいさかいは翌日も続き、周囲の人たちも巻き込むことに…という内容。 プロットは「ロンリエスト・プラネット」(未見)っぽいのかもしれないけど、リゾート地におけるパパさんの不遇を描いたブラックコメディ、という点では「エスケイプ・フロム・トゥモロー」を連想したよ。男性の威厳がショボンと萎えさせられるような展開が巧みに出てきます。個人的にはダメ男には共感せざるを得ないので父親の行為は十分理解できるのだけど、女性が観るとそこらへんは結構違うのかも。ラストの展開もちょっと考えさせられたな。
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「インヒアレント・ヴァイス」鑑賞

トマス・ピンチョンの同名小説(邦題は「LAヴァイス」)を原作にした、ポール・トーマス・アンダーソンの新作。 おれピンチョンの小説って高校の時から好きで読んでるのですが、「メイスン&ディクソン」の冗長さに冒頭で挫折し、あれよりも長い「逆光」も当然ながら読んでおらず、長年彼の著作からは遠ざかっていたものの、今回の映画化にあたって原作を読んでみたのですよ。ピンチョンの小説にしては結構分かりやすい内容のものだったと思う。とはいえ話がちょっと進むたびに登場人物がどんどん増えてくるし、探偵小説のようで話があらぬ方向に進むなど、決して映像化しやすいような作品ではないけどね。 映画のプロットは原作に忠実で、舞台は1970年のカリフォルニア。ヒッピーまがいの私立探偵であるドック・スポーテッロのもとに昔の彼女が現れ、彼女のいまの愛人である不動産業の大物の失踪について調べて欲しいと依頼する。さらに別の案件も抱えたドックは調査にあたった店で何者かに殴られて昏倒。目覚めたら警察に囲まれており、しかも横に何者かの死体があって…というプロット。 でも普通の探偵ものではないからね、事件のまっとうな解決などを求
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「Wrestling Isn't Wrestling」鑑賞

最近は映画製作者というよりもメディア・パーソナリティみたいになってきたマックス・ランディスによる新たな短編。彼のWWE愛を延々と綴ったもので、特に長年にわたって第一線で活躍し、WWEの幹部にまで登り詰めたトリプルHの立身伝のような内容になっている。 最初は貴族ギミックで登場したものの大成せず、ショーン・マイケルズなんかと組んだりD-ジェネレーションXを結成して名を成していくものの、やがて若手に立場を脅かされるようになって…といったストーリーはいちおうあるが、まあ全部ブック(シナリオ)で仕組まれてるわけだし…WWEの常としてまっとうな結末は存在せず、24分もあるうちの後半はかなりグデグデなのだが、「プロレスは本物じゃないって?プロレスはレスリング以外の全てのものさ!」と言い切るラストがファンボーイっぽいな。 男性レスラーをみんな女優が演じて、逆にチャイナみたいな女性レスラーを男性が演じてるのだが、当然ながら似てないのでナレーションなしでは誰が誰か分からず。また前の「The Death and Return of Superman」ほどではないのものの有名人がチョイ役で出ていて、マコ
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