映画評

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「Cosmopolis」鑑賞

デヴィッド・クローネンバーグが、「危険なメソッド」の直後にしれっと作ってしまった、ドン・デリーロの小説「コズモポリス」の映画版。 舞台となるのはニューヨークのマンハッタン。大統領が来ているということで街には厳戒な警備が敷かれ、富裕層に対するデモも暴徒化し、交通網は麻痺状態に陥っていた。そんななかでも28歳にして資産運用会社の社長で億万長者であるエリック・パッカーは馴染みの店で散髪をしてもらうことを突然決意し、巨大なリムジンに乗って街を横断することとなる。遅々として進まないリムジンの中で彼はさまざまな人々に出会うのだが、やがて何者かが彼の命を狙っているという情報が入り…というプロット。 なんかリムジンの進行とストーリーの進み具合が見事にシンクロしてまして、要するに車も話もひたすらチンタラ進むなか、主人公が出会った人たちと無機質な会話を延々と繰り広げるという展開が続く。それでも話は車にあわせていちおう進んでいるわけで、リムジンを降りてからの残り30分の展開は話がどこにも行かなくなっててかなりしんどかったよ。 主人公が出会うのは彼と結婚したばかりの令嬢や、彼の愛人、ジョギング中のママ
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「THE BAY」鑑賞

いまアメリカで公開中のファウンドフッテージもののホラー。何について書いてもネタバレになってしまう気がするので、ここから先を読むのはお気をつけください。 舞台となるのはメリーランド州のクラリッジという人口6000ほどの小さな港町で、2009年の出来事。町は7月4日の独立記念日を迎えて賑わい、多くの人たちが浜辺へと繰り出していた。しかし水に入っていた人たちの多くに、皮膚の炎症が起きるという事態が発生する。最初は水中のバクテリアに対するアレルギーかと思われていたが、患者の数は増加し、さらには嘔吐などを繰り返す人々も続出。やがて苦悶のうちに絶命する人もあらわれ、町は一夜にしてこの世の地獄と化す…というようなプロット。 (ここから先は本当にネタバレなので白文字にします)町の住民たちを襲ったのは、実はバクテリアではなく突然変異した寄生虫のワラジムシ(ウオノエ)。もともと魚に寄生する生物だったのが、町の養鶏場から垂れ流されたステロイドだらけの鶏糞や、放射能汚染などの影響で凶暴化して人を襲うようになったのだ。おまけに幼虫の段階で人の体内に入り込み、急成長して肉を食い破って出てくるというおぞましさ
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「MOONRISE KINGDOM」鑑賞

ウェス・アンダーソンの新作だよ。 舞台となるのは1965年、ニューイングランド地方にある小さな島ニューペンザンス。そこにボーイスカウトの一員としてサマーキャンプにやってきた12歳の少年サムは、島に住む少女スージーと出会って2人は恋に落ちる。そして1年のあいだ2人は文通を続け、つぎの夏に駆け落ちをすることを決意する。こうしてサムはキャンプを、スージーは家を抜け出して両者は落ち合い、山のなかでキャンプ暮らしをしようとするものの、彼らがいなくなったことに気づいたスカウト長や島の警察官、スージーの両親たちが後を追いかけてくることに。さらには巨大な嵐が島を直撃し…というストーリー。 前作「ファンタスティック Mr.FOX」は人形アニメだったので1つの転機になるかな?と思いきや、今回も実にアンダーソン的な作品でございました。メガネ君の初恋というテーマは「天才マックスの世界」を連想させるし、どこか心に陰のある大人たちがいろいろ出てくる点は「ロイヤル・テネンバウムス」に通じるものがあるかな。あの特徴ある色遣いも使われていて実にアンダーソン的。とはいえ今回はなんと16ミリで撮影されていたり、サント
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「The Cabin in the Woods」鑑賞

「アベンジャーズ」で今をときめくジョス・ウィードンが脚本と製作を担当した作品で、監督は「クローバーフィールド」の脚本家のドリュー・ゴダード。2009年に撮影したのがいろいろあって公開が今年まで公開が遅れたらしい。 大学生のダナとその友人のジュールズ、およびその仲間たち計5人の男女が、田舎の山奥にある山小屋へキャンプに行くところから話は始まる。森のなかの山小屋に到着した彼らは湖で泳いだりと楽しいひとときを過ごすものの、やがて周りで奇妙な現象が起きることに気づく。そして彼らは何者かに監視されていたのだった…というようなプロット。 これ以上の設定をバラすと話がいっぺんにつまらなくなるので細かい説明は省くが、要するにホラー映画をとてもメタな視点から語った異色作になっている。典型的なティーン向けホラーを脱構築しているというか。メタな様子があるホラー映画というと「スクリーム」が以前にあったが、あれよりもさらに奇妙なプロットのツイストが加わっている感じ。また同じティーンの主人公たちでも、ケヴィン・ウィリアムソンよりもジョス・ウィードンの作品のほうが活発でいいですね。今回の5人はやはり「スクービ
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「THE GOSPEL OF US」鑑賞

「ザ・サンドマンの表紙の人」ことデイヴ・マッキーンが監督した映画。ただし彼が細かい演出などをしたわけでなく、ウェールズ出身のマイケル・シーンが同郷の詩人オーウェン・シアーズの小説をもとにした劇をウェールズの町ポート・タルボットで3日にわたって開催した光景を撮影したものらしい。 ベースとなるのはキリストの受難劇で、シーンが演じるのは「教師」と呼ばれるボロをまとった男性。海で洗礼を受けた彼はサンドウィッチを皆に分け与え、テロリストを説得したりして人々に慕われる存在になるものの、やがて警察に連行されて公開裁判にかけられ、頭に有刺鉄線の冠をかぶせられて磔にされることに…というのがものすごく大ざっぱな話の流れ。決して明確なストーリーがあるわけではなく、抽象的なシーンが連なっているような感じか。 ストーリーにおいて聖書の登場人物はすべて現代的になり、ローマ兵は高圧的な警察部隊になり、主人公を裁くのはスーツを着た地元の政治家であり、さらに神は高台から見下ろす工事現場のオッサン、という姿で登場していた。 そして劇といっても町全体が参加した大きなイベントのようなもので、シーン以外の役者はおそらく
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「ザ・レイド」鑑賞

あまり良く知られてないインドネシア映画「ザ・タイガーキッド~旅立ちの鉄拳~」の監督(ウェールズ人)&主演(東南アジアの格闘技シラットの達人)のコンビによる新たなアクション映画。 ストーリーは極めて単純で、ジャカルタの麻薬王とその部下たちが住むスラム街のビルに、彼らの撲滅を計画した機動隊の一隊が奇襲を試みるものの、鉄壁の守りを誇るゴロツキたちの前に彼らのことがバレてしまい、逆に狩られる身になってしまう。そして機動隊の隊員は1人また1人と殺されていき、どうにか生き残った主人公とその仲間たちはビルからの決死の脱出を図るのだが…というようなプロット。 最初の30分くらいは機動隊とゴロツキどもの銃撃戦がメインで、血と肉が飛び散るFPSゲームばりのアサルトライフルによるガンファイトが繰り広げられるぞ。そして機動隊員の数が減り、彼らの弾薬が尽きたところでゴロツキたちも都合よく銃を使わなくなるんだが、そこから先は主人公を中心としたシラットによる肉弾戦が続き、壁を破り床を突き抜けるバトルが堪能できる。当然ながらワイヤーアクションなどは皆無だし、カンフー映画に比べて技がコンパクト(肘打ち・ヒザ蹴りが
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「プロメテウス」鑑賞

先行上映で鑑賞。ネタバレにならない程度に感想を挙げていくと: ・監督の意向でプロモーションでは曖昧にされてるけど、「エイリアン」(当然第一作ね)の完全なプリクエルです。あれを先に観ておくことを強くお勧めします。 ・科学考証とか登場人物の動機とかはツッコミどころが山ほどあるんだけど、細けーことは気にすんなよ!大金がつぎ込まれたであろう驚異のビジュアルと、先の読めない、殆ど行きあたりばったりなストーリー展開を黙って楽しみましょう。 ・話の前半はセンス・オブ・ワンダー溢れるハードなSF映画といった感じで、遺跡を捜索する描写はゾクゾクさせてくれる。後半になると当然ながらヌルヌル、ヌメヌメした展開になるのですが、前半のノリでデニケン的な映画になったとしてもそれはそれで面白かったかも。 ・ガイ・ピアースに老けメイクを施すよりも、老人の役者を雇ったほうが安上がりだったろうに。あとパトリック・ウィルソンが30秒くらい出演してた。 ・スペース・ジョッキーのホログラム映像などは、3Dで観る価値あるかな。ホタルイカとかゲソを食いながら観るとさらに臨場感がアップするでしょう(特に女性)。 ・スティーブン・
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「ダークナイト ライジング」鑑賞

一部で言われてるほど悪い映画ではない。というか普通に優れた映画なのだが、必然的にあの傑作「ダークナイト」と比べられてしまうのが損なところか。あっちは悪役の動機やオリジンを説明する必要がなかったし、後味の悪い終わり方も「次があるから」で済ませることができたが、こちらは話をきちんと畳まないといけないわけで、そうなると万人を満足させることはまず無理だったのでは。とりあえずネタバレ気味の雑感をいくつか: ・ベインは話し方が異様にカッコ悪い。なぜパブで一杯やってるオヤジのような話し方をするのかと思ったら、アイリッシュ・トラベラーの拳闘家をモデルにしてたのか。なんか知的なストラテジストのようには聞こえないのよね。そもそも彼の組織は変なアクセントで話す人が多いような。 ・3時間近い長尺でありながら、「増長した主人公が痛い目にあう」とか「時限装置付きの爆弾は(悪役が望むようには)爆発しない」といったクリーシェに多くの時間を割いてしまったのが残念。映画で「驚異の新エネルギー」みたいなものが出てくると必ず悪用されるよね。 ・前作のラストでバットマンは警察に追われる身となったわけだから、今回のクライ
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「金陵十三釵」鑑賞

英題「The Flowers Of War」。南京事件を扱ったチャン・イーモウ監督の作品で、主役はハリウッドスターのクリスチャン・ベール。題材が題材だけに日本では当分公開されないだろうからネタバレ気味に書いていく。 舞台は1937年の南京。上海を占領した日本軍は南京にも侵攻し、街の陥落は目前であった。その争乱のなかで逃げまどう少女のシュウはジョンというアメリカ人に出会い、彼女の暮らす修道院へと一緒に逃げ帰る。実はジョンは葬儀屋であり、最近他界した司祭の葬儀を行う依頼を受けて修道院を目指していたのだという。しかし戦乱が激しくなるなかでジョンや修道院の少女たちは建物のなかに篭城せざるをえなくなり、さらには売春宿から避難してきた娼婦たちも修道院にやってきて地下室に棲みつくことに。そしてついに日本軍の兵士たちも修道院にやってきて…というようなストーリー。ちなみに争乱の犠牲者は20万人という説明が冒頭でされてます。 中国映画史上において空前の製作費がつぎ込まれたという大作だが、要するにプロパガンダ映画なので日本人兵士の描写はけっこうエグいですよ。銃撃もろくに当たらず小隊が1狙撃兵に手玉にと
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「BEING ELMO: A PUPPETEER'S JOURNEY 」鑑賞

前からちょっと観たかった、「セサミストリート」のエルモのパペッティアであるケヴィン・クラッシュを扱ったドキュメンタリー。 ボルチモアの郊外に生まれ育ったケヴィンは、幼少のときに観た子供向け番組、特に「セサミストリート」に心を奪われ、自分でもパペットをつくって近所の子供たちのためにショーを開催するようになる。高校生になってもパペットに対する情熱は消えず、おかげで同級生たちにイジメられたりもするのだが、やがて地元のテレビ番組に出演するようになる。さらにジム・ヘンソンのためにパペットを作っていたカーミット・ラブの工房に出入りしてパペット作りの極意を学ぶようになり、やがてヘンソンその人とも知り合いになって「セサミストリート」への参加を要請される…というようなストーリー。 クラッシュ(Clash)という名前に加えて大柄な外見のケヴィンはまるでセサミというよりWWFの人のような感じなのですが、そんな彼がファルセットでエルモの声を発する姿はなかなかインパクトがあるぞ。もちろん彼はエルモやそれ以外のパペットの声だけでなく振り付け(操作)なども自分で担当していて、外国版のセサミのパペッティアたちを
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「アメイジング・スパイダーマン」鑑賞

うーん。オタクが丹念に作り上げた曲を、イケメンのにーちゃんたちがやってきて「後はまかせとけ!」といった調子でそれをカバーしたような感じというか、きらびやかさはあるものの、どうも情熱が感じられないんだよな。 監督のマーク・ウェッブがどれだけスパイダーマンに詳しいのか知らないけど、サム・ライミはウィレム・デフォーにスパイダーマンの魅力を電話で2時間と語り続けたという筋金入りのファンであるわけで、原作へのリスペクトが前シリーズでは如実に感じられたわけです。それに対して今回のはライミ版から無理して離れようとしている印象があって、おかげでスパイダーマン作品として外せない点が外されてるというか。アンクル・ベンが「With great power ...」のセリフも言わずにあっけなく死んでしまったのは拍子抜けしたなあ。 アクション・シーンも比較的凡庸。個人的に思うにリザードってバットマンでいうとツーフェイスくらいの敵役で、単独で映画を抱えられるほどのキャラクターではないと思うのですよ。顔のデザインも平面的でキバも生えてないし、学校の廊下でチマチマ戦われてもねえ。とはいえディラン・ベイカー版のリ
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「ゴッド・ブレス・アメリカ」鑑賞

「WORLD'S GREATEST DAD」のボブキャット・ゴールドスウェイトによる新作。 フランクはしがない中年のサラリーマンで、妻子とも別れてひとり寂しく暮らしていた。毎晩のように放送されるゴミのような番組やニュースに嫌悪感を抱きつつもテレビを眺める凡庸な生活を送っていたのだが、ある日ハラスメントの容疑をかけられて職場を解雇されたうえに頭に脳腫瘍が見つかるという災難に見舞われてしまう。これによって自殺を考えるフランクだが、いっそ死ぬ前にテレビで見かけた生意気なクソガキを殺してから死のうと考え、彼女の通う高校に向かう…というストーリー。 フランクの所業に惚れ込んだロキシーというサイコな女子高生が彼に加わり、2人がアメリカ各地をまわりながら殺戮を繰り返していく内容になっていて、2人の裁きをうけるのはリアリティー番組に出てくるアホなティーンや、ティーパーティーのデモ参加者、ニュース局の保守コメンテーターなどなど。とはいえフランクは極端なリベラルとかアナーキストというわけではなく、単に世の中のゴミっぷりに当惑してるごく普通の中年として描かれている。ここらへんは監督の世間に対する考えが
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「SOUND OF NOISE」鑑賞

AintItCoolのデブ君などが絶賛していたスウェーデン・フランス合作の映画。 アマデウスは著名な音楽家を輩出してきた家系の出身で、弟も人気ある指揮者だったが、自身は音楽のセンスが全くなく、音感が無いどころか音符も読めない一家の異端児であり、音楽を嫌って刑事として働いていた。そんな彼のところに前代未聞の事件が飛び込んでくる。街に流れる音楽の凡庸さに飽き飽きした6人のミュージシャンが、この世の中をブチ壊せ!といった意向で音楽にまつわる4つの破壊計画を計画(作曲)し、それを実行に移してきたのだ。まず彼らは病院に潜入し、手術室で派手な音楽パフォーマンスを繰り広げる。その現場から犯人たちがミュージシャンであることを察したアマデウスは、図らずも音楽にまつわる調査に関わることになり…というようなストーリー。 ミュージシャンの6人は基本的にみんなドラマーなので、身の回りのものをポコポコと叩いて音楽を生み出していくさまはブルーマン・グループかアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのよう。医療機器や銀行の備品、工事現場の重機などを使って音楽パフォーマンスを繰り広げるさまが非常に面白いぞ。 これ
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「アイアン・スカイ」鑑賞

フィンランドで「スター・レック」を作った人たちが、また資金集めから始めて長年コツコツと作業して完成させたSFコメディ。前作はクリエイティブ・コモンズ下のアマチュア・ムービーといった感が強かったけど(ただし出来はとてもいい)、今回はフィンランドとドイツとオーストラリアの合作という扱いだし、オーストラリアやニューヨークなどでもロケをしていて大作になったなあという印象を受ける。でも良い意味でアマチュア感覚が残ってるけどね。 舞台は2018年。アポロ計画以来となるアメリカの宇宙船が月の裏側に着陸すると、そこにはなんと第二次世界大戦の際にナチスの残党が秘密基地を作り上げていた。彼らは宇宙飛行士を捕獲し、彼が持っていた携帯電話の技術がナチスの巨大宇宙船「神々の黄昏」号の完成に必要不可欠であることを発見する。そしてこの技術を入手するために、総統の命を受けてナチス高官のアドラーは小型宇宙船でニューヨークに潜入するのだが…というようなストーリー。 話のあらすじはアサイラム社のC級ムービーみたいに聞こえるかもしれないが、アメリカに対する皮肉がいっぱい詰まった意外にクレバーな風刺映画になっていたよ。ア
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「RED TAILS」鑑賞

ジョー・キューバート御大のポスターはかっこいいね。最近引退説がいろいろ出てきてるジョージ・ルーカスが自腹を切って製作した戦争映画。 「タスキーギ・エアメン」の名で知られる、黒人のみで編成されたアメリカ陸軍航空隊第332戦闘機隊の活躍を描いたもので、そこのパイロットたちは優秀な腕を誇っていたものの、軍内部の偏見により前線での活躍の場を与えられず、中古機を与えられてイタリアで後方支援をしていた。しかし幹部たちの上層部へのアピールが認められ、ドイツ軍との初めての空中戦でも成果を出したことから、最新鋭の戦闘機P-51ムスタングを与えられる。そして彼らは機体の尾翼を赤く塗ったことで「レッド・テイルズ」の通称で知られるようになり、ベルリンへの爆撃機の援護にあたるのだった…というようなストーリー。 いちおうクレジット上ではテレンス・ハワードとキューバ・グッディング・Jr.が主役扱いだけど、彼らはお偉いさんの役で地上から戦闘を見守ってるだけで、その部下のパイロットたちの活躍と葛藤に焦点が当てられている。トリスタン・ワイルズやアンドレ・ローヨなど「ザ・ワイヤー」の役者が多く出演してるぞ。 それで
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「アベンジャーズ」鑑賞

今週いっぱいアメリカに行ってたので、無理矢理時間つくって観てきたのだよ。 いやーもう最高。娯楽映画の極致ですな。ジョス・ウィードンって今までテレビの人という印象が強かったのだけど、劇場映画もここまできちんと作れてしまう人だったのですね。ドンパチ中心の映画とはいえ各キャラクターのストーリーもきちんとツボをおさえ、テンポの良いセリフまわしに絶妙なユーモアを交え、2時間半の長尺がまったく中だるみしない出来になっている。他のヒーローたちに比べて社長(アイアンマン)が活躍しすぎじゃないのとか、やっぱり物を言わない敵って魅力ないよねといったツッコミどころも探せば出てくるものの、そんなものが殆ど気にならないような傑作になっているぞ。ネタバレにならない程度に気に入ったところいくつか挙げると: ・「カミナリが怖いのか」「この後の展開が嫌でね」 ・「そこの人、『ギャラガ』で遊んでるね?バレてるよ」 ・"Puny God!" ・突然登場するハリー・ディーン・スタントン! ・アイアンマン・マークVIIの装着シーンは何度でも観れる。 興行的大ヒットによりさっそく続編の製作が決まったようですが、果たして第
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「CHRONICLE」鑑賞

ジョン・ランディスの息子が脚本を書いた低予算SF映画。以後ネタバレ注意。 アンドリューは暴力をふるう父と病弱な母をもったひ弱な少年で、学校でも周囲にバカにされていじめられ、ビデオカメラでそんな日常を撮影することだけに生きがいを感じていた。ある日彼は従兄弟のマットに連れられて行ったパーティー会場の外で、地面の奥深くにまで空いた謎の穴を発見し、マットおよび同級生のスティーブと穴の奥まで行った彼は青く光る奇妙な物体を見つけるが、そのあとの記憶を失ってしまう。気付くとアンドリューたち3人は穴の外におり、自分たちがテレキネシス(念動能力)を身につけたことを知る。最初はこの能力をイタズラ程度で使っていた3人だったが、やがてその力の使い方をマスターするうちに彼らの行動はエスカレートしていき…というようなストーリー。 アンドリューのビデオカメラの映像記録、といういわゆる「ファウンド・フッテージ」のスタイルがとられており、個人的にこのスタイルってあまり好きではないんだけど、別のカメラの映像を混ぜ合わせたり、カメラを念力で宙に浮かせることで第3者の視点のようにさせる手法は巧みだったな。 マットがあ
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「BRONSON」鑑賞

こないだの「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフンがその1つ前に監督した作品。 実在の人物で「イギリスで最も凶暴な囚人」といて知られるマイケル・ピーターソンの半生を描いたもの。子供の頃から悪ガキだったマイケルは教師や警官にも平気でたてつき、結婚してからも悪さを繰り返してついには郵便局強盗で7年の懲役をくらうことに。刑務所のなかでも看守たちにケンカを売り続け、精神病棟に入れられたりしたものの、やがて出所することに。シャバでは裏社会のボクシングの拳闘家として小銭を稼ぎ「チャールズ・ブロンソン」というリングネームを名乗ることになるが、すぐに宝石強盗で逮捕され、それからずっと刑務所で暴れることに…というような内容。 実際のブロンソンは刑務所で何回も看守たちを人質にとって騒ぎを起こし、刑務所を100回以上移転してるような筋金入りのワルなわけだが、その一方で殺人は1度も犯したことがない人物であり、劇中ではユーモアに満ちた人物として好意的に描かれている。 ブロンソンを演じるのはトム・ハーディで、彼のモノローグで話が進んでいくこともあり、彼の一人芝居のような映画になっている。既に「WAR
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「ヘイワイヤー」鑑賞

スティーブン・ソダーバーグの新作で、脚本は彼と何度か組んでるレム・ドブス。 マロリーはアメリカ政府に雇われた私企業の特殊エージェントで、バルセロナに監禁されている中国の要人を救出するというミッションに成功したのち、新たな指令を受けてダブリンに向かうものの、そこで仲間のエージェントの裏切りに遭う。自分がワナにはめられたことを知ったマロリーは単身ダブリンを抜け出し、アメリカに戻って彼女の元上司に復讐を誓うのだった…というようなストーリー。プロット自体は比較的シンプルなんだけど、登場人物が多いことやフラッシュバック形式で話が語られることから、ちょっと物語を追うのがしんどいところがあるかも。 主人公のマロリーを演じるのは現役の総合格闘家であるジーナ・カラーノで、これまでの演技経験は殆ど無し。ソダーバーグがたまたまテレビで彼女の試合を見て惚れ込んだらしいが、そんな彼女を主役に起用し、さらにマイケル・ダグラスにユアン・マクレガーにマイケル・ファスベンダーにチャニング・テイタムにアントニオ・バンデラスなどといった、やたら豪華な男優たちを脇役に揃えてしまうところがソダーバーグの凄いところか。そし
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「SHAME -シェイム-」鑑賞

何となく田山花袋の「少女病」を連想してしまったよ。特に地下鉄のシーンとか。これ主人公がニューヨークのオサレなアパートメントに住んでいる高級取りのイケメンをスタイリッシュに撮っているから成り立っている作品であるわけで、これが埼玉の格安賃貸に住むブサメンの色情狂とメンヘラの妹という設定だったらまた違った話になってたんだろうね。個人的にはそっちも観てみたかった気がするが。 同じ監督&主演の前作「ハンガー」が密室劇に近かったのに比べ、こっちはニューヨークでの屋外ロケなども行ってずいぶん映画としてこなれてきたな、という感じ。セックス依存症という微妙なテーマを、美しい映像によって美化することも卑下こともせずきちんと描いているのは巧いな。特に鏡を効果的に使った映像が見事で、ここらへんはやはり芸術家が監督やってるのことはあるね。 そして普通の生活を装うとするものの自分の渇望を抑えきれず、奈落の底に落ちていく主人公をマイケル・ファスベンダーが文字通り体を張って熱演している。こないだの「A Dangerous Method」のときも書いたように、彼って受け身というか周囲に翻弄されるタイプの役が多いの
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「Into the Abyss」鑑賞

こないだ「世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶」が日本でも公開されたヴェルナー・ヘルツォークの新作ドキュメンタリー。 アメリカの死刑囚をテーマにしたもので、舞台となるのは(当然ながら)テキサス。2001年にマイケル・ペリーとジェイソン・バーケットという2人のティーンエイジャーは、ある女性の家にあった赤いカマロを盗むためにその女性を殺害する。さらに帰宅した女性の息子とその友人も殺害し、遺体を湖や森の中に廃棄するのだが、数日後に警察と銃撃戦をした末に逮捕され、ペリーは死刑を、バーケットは終身刑を言い渡される。そして2010年に死刑執行を数日後に控えたペリーにヘルツォークは面会し、さらに彼の友人や被害者の遺族、当時を知る警官などにも会って事件と死刑の重さを浮き彫りにしていく。 まだ30歳にもならず童顔のペリーは「僕はクリスチャンだから死んだら天国に行けるんだ」と語り、彼もバーケットも自分たちの罪を明確には認めていないわけだが、事件の真相を明かすというよりも当時いったい何が起きたのかが映画のなかで詳しく語られていく。1つ驚くのは加害者と被害者の周囲における不運というか恵まれない状
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「A Dangerous Method」鑑賞

デヴィッド・クローネンバーグの新作。これ国内配給は決まってるんだっけ? 舞台は1900年代初頭のチューリッヒ。ロシアの令嬢のザビーナ・シュピールラインがヒステリーの症状のため精神病院に入れられたとき、そこの医師であったカール・ユングはジークムント・フロイトが提唱していた「お話し療法」を彼女に試み、ザビーナの話を聞くことで彼女の疾患の原因が幼少時の父親からの虐待によることを知る。その後にユングはフロイトと面会し、2人のあいだには師弟関係が生まれるものの、すべての要因を性的なものに求める権威主義的なフロイトと、神話などの超自然的なものにも興味を抱くユングのあいだにはやがて亀裂が生じていく。さらに妻子のいるユングがザビーナと不倫関係になり、ザビーナ自身が精神科医になることを目指したために、私生活と仕事の両面でザビーナとユング、そしてフロイトの3人の人生は絡まりあってゆく…というようなプロット。 登場人物はみな実在した人たちで、彼らをもとにした演劇の作家をそのまま脚本家としても起用したためかセリフがやたら多い印象を受ける。アカデミックな人たちの会話なので決して説明口調っぽくは聞こえないも
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「コーマン帝国」鑑賞

ハリウッドのメジャー・スタジオとは無縁に50年代から映画を製作し続け、エログロのエクスプロイテーション作品を作る一方でコッポラやスコセッシといった監督たちに映画業界へのきっかけを与えたB級映画の帝王ことロジャー・コーマン大先生の集大成的ドキュメンタリー。(厳密に言うと正しい意味での「B級映画」は一本も作ってないんだけどね。まあいいか) あと数日で86歳という年齢ながらも未だに現役で撮影現場に顔を見せ、オフィスで編集作業に目を光らせるコーマン先生の経歴を、本人や家族および彼の門下生たちのインタビューを重ねて語っていく内容になっていて、マーティン・スコセッシやロバート・デニーロ、ピーター・フォンダ、ロン・ハワード、ピーター・ボグダノヴィッチ、ジョー・ダンテ、パム・グリアー、ジョナサン・デミなどといった錚々たる面子が登場するぞ。いちばん多くを語るのがジェック・ニコルソンで、デビッド・キャラダインとかポール・バーテルといった鬼籍に入られた人たちのインタビュー映像も出てくる。ジェームズ・キャメロンが出てこないのは予想してたが、フランシス・フォード・コッポラが出てこなかったのは少し意外だった。
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「ヒューゴの不思議な発明」鑑賞

これ大変素晴らしい映画ではないですか。まさかスコセッシが人生のこの時点においてこんな作品を作ってしまうとは。 フィクションのなかに史実を丹念に織り込み、少年の物語でありながらも年老いた男の人生の情熱を語ってしまう巧みさ。すべての人には存在意義があるという観念のもと、映画にしかないというハッピーエンディングが現実にも訪れ、すべての愛が成就する見事さ。どこまでは原作に基づいているのかは知らないけど、子供の頃は喘息のため外に出られず、窓から外界を眺めていたというスコセッシの、映画に対する愛情なしではこんな作品は作られなかったであろう。 3Dによる撮影はものすごく画期的というわけではなかったが、それでも最近のとりあえず3Dで撮ったような映画よりも画面構成などが細かく練り込まれ、3Dで観ても損はなかったと思う。サシャ・バロン・コーエンの顔のアップとかにも効果的に3Dが使われているのが良かったな。ただその反面CGが多用されていくつかチャチに見えてしまう光景があったのも確かで、おもちゃのネズミとか博物館の火事とかはもうちょっとリアルに描いても良かったかもしれない。あと映画史でいち早くギミック撮
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「ファミリー・ツリー」鑑賞

アレクサンダー・ペインの7年ぶりの監督作品。 主人公のマットはハワイに済む弁護士で1800年代からずっと一族に引き継がれてきた膨大な土地の相続人でもあったが、法律によってその土地を売却する必要に見舞われていた。そんなとき妻のエリザベスがボート事故により回復する見込みのない昏睡状態に陥ってしまう。やがて彼女が死を迎えることを2人の娘に伝えるマットだったが、実はエリザベスが不倫をしていたことを知り…というようなストーリー。 妻の死をベースにしながら、娘たちや親族との和解や妻の不倫相手探しなどがハワイの大自然をバックに描かれ、とてもいい感じ。急な話の展開や派手な出来事などがあるわけでもなく、ただ話が進んでいくだけなのに2時間弱の長尺でもまったく飽きさせない。ここらへんはアレクサンダー・ペインの巧いとこだよね。逆に今までの彼の作品がダメだった人はこれも好きになれないかも。 主演のジョージ・クルーニーも非常に良い演技を見せてくれて、仕事第一だったために妻や娘たちの面倒を見ることができず、今になって必死に家族をまとめようとするダメ男を、ユーモアとペーソスをもって絶妙に演じきっている。まあク
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