映画評 機内で見た映画 週末から昨日まで海外出張に行ってたので、機内で観た映画の感想をざっと。眠かったんで行き帰りで合計4本しか観てないです。 「カーズ2」 車のディテールなんかは大変美しいと思うんだけどね。やはりストーリーの凡庸さが気になる。ドリームワークスやフォックスの作品だったら許容できたかもしれないが、ピクサーにはそれ以上のものを求めてしまうわけで。スパイアクションに友情の話とかを絡めても何だかなあ、といった感じ。これからピクサーは続編をいろいろ作ってくようだけど、ちょっと不安にさせられるな。 「ブルー 初めての空へ」 それでこっちはフォックスのCGアニメ。人間のデザインが「くもりときどきミートボール」に似てない?飛ぶことを学ぶ鳥の物語なのに肝心の飛翔シーンに躍動感が無いのはどういうことよ。製作者は「ヒックとドラゴン」を100回見直しなさい。ストーリーもおざなりで、いつものブルースカイ作品といったところか。とはいえ日本では全国公開されないのは勿体ないと思う。 「CEDAR RAPIDS」 コメディとして観ると笑えるところとかはあんまり無いんだけど、田舎の保険業界の裏側とか中年の挫折感を描いたドラ
映画評 「グリーン・ランタン」鑑賞 字幕版3Dにて。3Dの意味なし。というか字幕のエッジが赤くなる現象がたまに起きてたんだけど、あれ何だろう? いろいろ金かけてるはずなのに残念な出来の映画であったよ。必然的に主人公のオリジンを描いた内容になってるんだが、GLのオリジンなら傑作「エメラルド・ドーン」とか最近のジェフ・ジョンズのやつとか「ニュー・フロンティアー」とかコミックからいくらでも引っ張ってこれるはずなのに、どうも凡庸なものになってしまっている。imdbによるといちおうジョンズがコンサルタントとして関わったり「エメラルド・ドーン」も参考にされたらしいけど、本当かなあ?どうも80年代の特撮映画を観ているというか、あまりコミックに詳しくない人が脚本を書いているような印象を受けたけどね。 出演者はライアン・レイノルズが思ったよりもそんなに悪くなくて、いちばん演技が巧いのは当然ながらピーター・サースガード。完全なミスキャストはキャロル・フェリス役のブレイク・ライブリーで、コミックだと自由奔放に空を飛び回るハル・ジョーダンを地上から見守る大人びた社長令嬢という設定がよかったのに、戦闘機を乗り回す小娘なんかにしてどうするんだ
映画評 「ライフ いのちをつなぐ物語」鑑賞 なんか公式サイトがとても読みづらいですね、この映画。 何を期待していいのか分からずとりあえず観に行って、とりあえず予想していたものを観せられた、といった感じ。極地のアザラシの親子やアフリカの象の群れ、地面の昆虫や大空の鳥たちといった世界中の動物の映像を紹介し、彼らが生き延びるためにどのような行動をしているのかを描いたドキュメンタリーで、映像はBBCだけあって大変に美しい。氷の下を泳ぐアザラシとか、アリの巣の内部なんてどうやって撮影したのか不思議なくらい。ただし以前にどこかで観たことのある映像も使われてたな。 それと「いのち」という漠然としたくくりの下でいろんな動物の映像が次々と紹介されるだけなので、85分という短い尺ながらも終盤は結構飽きるかも。そういう点ではもっと細かいテーマでくくったBBCアースのテレビ番組の方が観てためになるかもしれない。 松親子によるナレーションは可も不可もなし。「祈る」とか「情熱」といった言葉が用いられてたが、これってどこまでオリジナルのナレーションに忠実なんだろう?動物たちの生き様を観ていると擬人化してわれわれ人間の生活と重ね合わせたくなる衝動はどう
映画評 「カンフー・パンダ2」鑑賞 吹替え版を2Dで。吹替えって別に嫌いではないのですが、プロの声優ではない芸能人、特に今回のようなジャニタレに主役やらせる傾向は大嫌いでして、芸能人って続編が出る頃には人気が無くなってたり、今回みたいに不祥事を起こしたりするから起用は避けるべきだと切に願うのです。とはいえ山口達也の吹替えは思ってたよりも良かったけどね。 アニメーションの出来は非常に素晴らしくて、特に花火の描写などはとても美しい限り。しかしやはりストーリーが弱いなあ。欠点は前作とまったく同じで、予言で「選ばれし者が来る!」とか「あなたは○○に倒される!」と言われると最後には当然その通りになってしまうので、話の展開が読めてしまうんだよな。ご存知のように映画やゲームの世界では予言がみんな当たってしまうわけですが、それってネタバレを話のなかでやってしまうようなものかと。 そして結局のところこの予言の成就に向けて話が進んでいくため、どうもストーリーが予定調和気味な感じは否めない。去年の「ヒックとドラゴン」はあれだけストーリーが王道の展開を見せながらも主人公の成長を丁寧に描くことで大傑作となっていたのに、今回は主人公がいつまで
映画評 「スーパー!」鑑賞 うむ。やはり「キック・アス」よりこちらだよな。 まず驚くのがキャストがやけに豪華なことで、神の声に啓示を受けてスーパーヒーロー稼業に目覚めるクリスチャンの主人公を演じるレイン・ウィルソン(でも実生活ではバハーイー教徒)は監督のジェームズ・ガンの元嫁と「THE OFFICE」で共演してるのでそこから起用されたのだろうし、たぶんギャラも高くなかったんだろうが、脇を固めるのがエレン・ペイジにケヴィン・ベーコン、リヴ・タイラー、ネイサン・フィリオンといった主役級の俳優ばかり。これって監督のトロマ人脈とは関係ないよな?あとはアンドレ・ローヨとかリンダ・カーデリーニといった俺好みの役者も出ています。後者は1シーンしか出てなかったけどね。しかしケヴィン・ベーコンはいつの間にか悪役が似合うようになったなあ。 話の流れをおおまかに3つに分けるとすると、最初は主人公がスーパーヒーローとなっていろんな人を痛めつけていくサイコぶりが良かったのですが、第二幕になってエレン・ペイジ扮するサイドキックのより過激なサイコぶりに主人公が圧倒されてしゅるしゅると凡人に戻っていく展開にはちょっと難を感じたよ。彼女のキ
映画評 「PAUL」鑑賞 邦題はもう決まってるんだっけ?劇場公開版より6分長いというUnratedバージョンを観たのですが、当然ながらどこがどう長いのかは分からず。 憧れのコミコン会場に来ていたイギリス人のオタク友達であるグレアムとクライブは、キャンピングカーを借りてエリア51とかロズウェルといったUFOオタクの聖地めぐりに出るのですが、途中で政府から逃げてきたというエイリアンのポールと遭遇。さらに泊まったモーテルではルースというキリスト教原理主義者の女性とも出会って4人の珍道中が続くのですが、そんな彼らを政府のエージェントやルースの父親が追いかけてきて…というようなお話。 SF的なテイストが多分にあるとはいえ、基本的には男3人のブロマンス・ロードムービーといった感じ。そこらへんは同じ監督(グレッグ・モットーラ)の「デイトリッパー」とか「スーパーバッド」に通じるものがあるかな。また脚本をサイモン・ペグとニック・フロストという主演のイギリス人2人が書いていることから、アメリカ南部の閉鎖性とかキリスト教原理主義を風刺した内容にもなっているが、日本の観客には分かりにくい部分があるかも。また「スター・ウォーズ」を
映画評 「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 」鑑賞 実は前2作をまっとうに観てませんでして、マイケル・ベイの映画を観るのって「パール・ハーバー」以来になるのです。 観てて実感したのは、マイケル・ベイって根本的に「溜め」が作れない人だなということ。せいぜいアクションシーンにスローモーションをかけるくらいで、話の流れに緩急がつけられないから話が盛り上がるべきところで盛り上がらず、ただただ同じペースで話が進んでしまうんだよな。悪役のディセプティコンが「オートボットどもを地球から追い出せ!」と命じ、人類がそれにすぐ従ってオートボットを追放する一連の流れもさらっと描かれてるから違和感を感じてしまうし、このためオートボットが戻ってきたときも抑揚感がまるで感じられないのですよ。重要なキャラクターが裏切るシーンなんかもきちんとした前振り的な演出がされてないから、ものすごく唐突な印象があったし。こんな演出でもアクションシーンはまだ観てて飽きないところがあるものの、人間同士のドラマのシーンになったりすると目も当てられない状態になっていて、みんな大声で叫ぶだけで感情の盛り上がりなどが徹底的に欠けておりました。 そんな演出がされている出演者たちですが、主
映画評 「ランゴ」鑑賞 実はゴア・ヴァービンスキーの映画観るのってこれが初めてだったりする。彼が監督してジョニー・デップが主役の声を演じたCGアニメ。 演技好きなペットのカメレオンが、飼い主の車から放り出されて砂漠をさまよっているうちに動物たちの暮らす町に辿り着く。そこで彼は自らを「ランゴ」と名乗り、持ち前のハッタリと運の良さに助けられて町の保安官に任命され、町の貴重な水の蓄えを盗んだ連中を追跡するのだが…というような話。 最初はリアルに人間が出てくるものの、いつの間にか動物たちが人間のように暮らす町が出てくるわけだが、そういう細かいところにいちいち突っ込んでられないほど話が奇妙というかぶっ飛んだ映画だったよ。主人公のランゴの性格からして何かヤバいくらいに天然だし、話の展開も荒唐無稽。プロット自体はシンプルなのでストーリーが破綻しないで済んでいるものの、ピクサーやドリームワークスのアニメとは明らかに違った出来のものになっている。あの2社の作品のルーツがディズニー作品にあるとしたら、こっちのはもっとブラックなルーニー・チューンズやハンナ・バーベラ、あるいはもしかしたらラルフ・バクシの作品にあるんじゃないか
映画評 「Grant Morrison: Talking With Gods」鑑賞 スーパーヒーローの歴史と存在意義を説いた著作「Supergods」がこないだ刊行され、9月のDCコミックスのリブートでは中心的役割を務め、ハリウッド映画の脚本も執筆中ということで最近絶好調のコミック・ライターであるグラント・モリソンに関するドキュメンタリー。 彼の生い立ちとコミック業界での経歴を追った内容になっていて、反戦活動家の父親のもとで冷戦の脅威を感じながらグラスゴーで育ち、その恐れを吹き飛ばす存在としてのスーパーヒーローに出会った幼少時代から話は始まる(ここらへんの経験は、こんどやっとペーパーバック化される「FLEX MENTALLO」に反映されてるらしい)。そしてアートスクールを落第になったあとにライターを目指し、それと同時にサイケデリック・バンドで活動し、「2000AD」などで執筆したあとにDCコミックスにスカウトされて「アーカム・アサイラム」で大ヒットを飛ばし、それからさまざまなコミックを手がけていった経歴が説明されていく。 また彼の趣味であるケイオス・マジックにも多くの言及がされ、カトマンズで神秘体験をした話とか、いかにコミックの出来事と現実の生活がシンクロされて
映画評 「SOURCE CODE」鑑賞 (以下いちおうネタバレ注意) 「月に囚われた男」で注目されたダンカン・ジョーンズの第2作。日本では「ミッション: 8ミニッツ」というどうも残念な題で10月末に公開されるらしいね。今回の脚本はジョーンズによるものではないが、「もう1人の自分」というテーマは前作に通じるものがあるな。 シカゴ行きの列車が、何者かが仕掛けた爆弾によって爆破され乗客が全員死亡するというテロが発生。さらに犯人は6時間後に核爆弾によるテロを予告する。この緊急事態に対して政府は、死者の記憶を8分間だけ遡って現場の状況を探れるというシステム「ソース・コード」を起動し、空軍パイロットのコルター・スティーヴンスが「過去」へと送り込まれる。限られた時間のなかでスティーヴンスはテロの犯人を捜そうとするのだが、やがて意外な事実が明らかになっていく…というような話。 事故発生の8分前までなら何度でも戻ることができるので、犯人探しに失敗したスティーヴンスはもう1度戻って新たな手がかりを探し、それをもとにもう1度戻って…といったプロットになっているものの、懸念してたほど同じシーンが延々と繰り返されることはなかった。意外と早い時点
映画評 「マイティ・ソー」鑑賞 2Dで観た。原作のソーはキャラクターデザインが大好きな一方で、あのウサンくさい古典英語を話すところがどうしても好きになれなかったのですが、今回はまっとうな(?)英語を話していてひと安心。「Xメン」もそうだったけど、コミック版の口調とかアクセントを排除したのは正解だったな。 ストーリーはファンタジーと現代的なアクションをうまくまとめた出来になっていて、肉親同士の葛藤なんかはケネス・ブラナ—がシェークスピアをベースにしてきっちり描いた、といった感じでしょうか。ロキはもっと狡猾な生活にしても良かったと思うけどね。彼は肉弾戦を好むタイプではないので最後のバトルの相手にはちと力不足かと。というかデストロイヤー弱くない?原作だとムジョルニアを切断するという離れ業をやってたのに。 俳優陣はクリス・ヘムズワースの演技をまっとうに観たのはこれが始めてだが、豪快かつ純朴なソーをうまく演じている。ナタリー・ポートマンは相変わらず無邪気で幸薄そうな女性の役が似合うなあと。また浅野忠信はあの英語力ではハリウッドでは大成できないだろう。そして俺はステラン・スカルスガルドをずっとピーター・ストーメアだと思って
映画評 「A Lonely Place For Dying」鑑賞 スラッシュドットの記事で知った、現在寄付を募りながら製作されているというインディーズ映画の第1パート。公式サイトから無料でダウンロードできるよ。5パート揃って完成、ということらしい。 内容は政治サスペンスになっていて、KGBを裏切ったエージェントのニコライは、ワシントン・ポストの編集長に頼んでメキシコの収容所跡で記者と会おうとするのだが、CIAのエージェントがそこに現れて…というような話なんだが、正直なところ話がよく分からなかったよ。非常に政治的なシチュエーションのど真ん中から話を始める手法は分からんでもないのだが、観る人の興味をつかむのには成功していないような? ワシントン・ポストの編集長役でジェームズ・クロムウェルがちょっと出演しているほかは、出演者はみんな無名の人たち。廃墟となった収容所で撮影したり、凝ったアングルを使ったりとそれなりに努力してるのは感じられるんだが、どうも素人っぽさが残ってしまったような。引きのショットばかりのせいか、映画というよりもゲームの合間に挿入されるムービーを観ているようであった。あと編集が拙いところがあって、電話で話すシーンでいちいち話している側
映画評 「スーパー8」鑑賞 俺がJ・J・エイブラムスの作品をどうしても好きになれない理由として、彼自身はすごく才能があってアイデアも豊富な人なんだろうけど、それが災いしてあまりにも手堅くきちんとした作品を作ってしまう点があって、要するにちょっと出来の悪いところがあったとしても「俺はこの映画を撮りたかったんだ!」というような情熱というか才気の爆発みたいなものが感じられないんだよな。そんな意味ではこの「スーパー8」はエイブラムスが撮るべきして撮った作品かと。だって作品の目的が「いかにスピルバーグ的な映画を撮れるか」なわけだから、スピルバーグの作品をきちんと勉強して律儀にオマージュを捧げれば立派なものは作れるだろうけど、どうしてもそれは「よく出来た模造品」であり、本物ではないという感が拭えなかったよ。 もちろん以前にもスピルバーグ的な映画を作った監督はいたわけだが、例えばジョー・ダンテ(あとたぶんゼメキス)なんかは自身の作家性が滲みだしていたのに対し、この作品はスピルバーグのスタイルを追うことだけに終始していたような(尤もエイブラムスの作家性が何なのか俺には分からないのだが)。よって結局のところ「どこかで観たことあ
映画評 「世界侵略:ロサンゼルス決戦」鑑賞 とてもひどいダメ映画。アメリカで酷評されたので覚悟して観たけど、予想をはるかに下回る出来だった。とりあえず観ててダメだと思った点をいろいろ挙げていく。ネタバレがあるかもしれないがどうでもいい: ・話に起伏がない。というかストーリーが殆どない。たまにちょっと静かなシーンがあってもお決まりの展開(死に行く肉親とか)が披露されるだけで、あとは最初から最後までドンパチが続くだけ。 ・キャラクターが全く立ってない。主人公にちょっとだけバックグラウンドがあるだけで、あとは誰もが一緒に見える。軍隊だからみんな同じ服装なのでさらに見分けがつかない。かといって戦闘のプロかというとそうでもなくて、攻撃されるとみんなパニックに陥ってるのは情けない。 ・エイリアンがカッコ悪い。普通なら「相手はどんな格好してるんだろう?」といった好奇心を抱かせてくれるはずだが、この作品はエイリアンの解剖シーンがありながらもエイリアンの外見がよく分からないというお粗末さ。おまけに彼らが用いる兵器や乗り物も地球のものに良く似ていて面白みなし。 ・役者がみんな叫びっぱなし。演技なんかが入る余地なし。ずっと大声で叫んでるだけ。
映画評 「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」鑑賞 マシュー・ヴォーンは「キック・アス」が個人的にダメだったのでちょっと不安だったんだが、これは純粋な娯楽作品として楽しめた。60年代の007映画のパスティーシュ的なノリが良かったのかな。ただしアメコミに関する結構な知識を求められる内容になってると思うので(まさかアザゼルが出てくるとは思わなかった)、原作を知らない人には意味不明のところがあるかもしれない。 前の3部作よりも良いという意見も見かけるけど、プロフェッサーXとマグニートーとの関係に限って言えば、やはりパトリック・スチュワートとイアン・マッケランというベテラン俳優同士の対決のほうが優れていたかな。ジェームズ・マカヴォイはチビで童顔なのが災いして、指導者というよりも部活のマネージャーのように見えてしまうのが難点か。でも両者のイデオロギー違いが明確になり袂を分かつ流れはうまく描かれていたと思う。尤もこの映画にイデオロギーなどをあまり期待してはいけないわけで、「差別は良くない!」と言っときつつも黒人キャラは全く活躍しないし。あとアメリカ政府はレイ・ワイズにマイケル・アイアンサイドにオリバー・プラットといった俺好みの俳優を揃えておきな
映画評 「RUBBER」鑑賞 殺人タイヤの襲撃!というぶっとんだコンセプトのおかげで日本でも(一部で)話題になっていた作品。フランス人監督のカンタン・ドゥピューってミスター・オワゾという名義で活動してるミュージシャンらしいが、知らんなあ。 舞台となるのはアメリカの砂漠地帯で、意識を持った古タイヤがむっくりと起き上がるところから話は始まる。このタイヤ(クレジットではロバートという名前が付いている)は出会ったものを片っ端から破壊していくような気が荒い奴なのですが、いかんせんオンボロのタイヤであるために空き瓶も踏みつぶせない。しかしロバート君には秘密兵器があって、全身を震わせて意識(?)を集中させることで念動力を使うことができ、これで小動物や人間の頭を「スキャナーズ」よろしくボーンと爆発させることができるのでした。この能力をもってロバート君はモーテルや近くの町で惨劇を繰り広げていくのでした…というのが主なストーリー。 これだけ聞くと変なB級ホラーのように思えるかもしれないが、話にはもう1つメタフィジカルなコメディの要素があって、映画の冒頭から町の保安官が車のトランクから出てきて「『ET』のエイリアンはなぜ茶色なんだ
映画評 「探偵<スルース>」鑑賞 以前から観たかったローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの密室劇。何故か日本やアメリカでは長らくDVDが絶版になっており、イギリス版を買おうかと考えていたらなんとYouTubeに全編がアップされていた。これも日頃の行いのおかげ、ということにしておこう。 郊外の大邸宅に住む老推理作家(オリヴィエ)のもとに美容室を営む青年(ケイン)が招かれる。実は作家の妻と青年は不倫関係にあり、それを知っていた作家は青年を陥れるために自宅の宝石の盗難詐欺の話をもちかけるのだが…というようなストーリー。もともとは舞台芝居で、話の展開から察するに3幕ものかな? ミステリー仕掛けなのでいろいろドンデン返しなどもあったりするのだけど、あまり謎解きの要素などは強くなくて、邦題にあるような「探偵」も出てこなかったりする。オリヴィエとケインの巧妙かつ辛辣な会話を楽しむ作品といったところか。女性問題からはじまった対決が、いつの間にか階級闘争につながっていくあたりがイギリス映画らしいですね。最初はオリヴィエに手玉にとられていたケインが、徐々に彼に復讐していく流れが巧い。いまでは賢い老人を演じることが多いケインだが、
映画評 「Cave of Forgotten Dreams」鑑賞 ヴェルナー・ヘルツォークが3D映画を作った!ということで話題になった作品。でも俺が観に行った映画館では2D上映だったよ。 フランスのショーヴェ洞窟を扱ったドキュメンタリーで、そこで発見された3万年以上前の壁画についての解説がずっと行われていく。落盤により入り口が長い間封鎖されていた洞窟のはるか奥の壁に浮かび上がる壁画の数々はどれもが神秘的で、現代人が見ても一目で馬や牛などが分かるその画力には感嘆を禁じえない。動物の動きを表すために8本の足が描かれた絵があるとか、特定の個人の手形が洞窟のあちこちに見受けられるとか、絵によっては5000年の間をおいて描かれてるものもあるとか、近年の調査によって明らかになった驚異の事実がいろいろ語られていく。それとこの洞窟に対するさまざま研究の成果や、保存に対する取り組みなどの解説もされるんだが、一般客向けに公開してるわけでもないのに様々な技術を導入して調査をしているフランス政府は偉いよな。 ただし従来のヘルツォークの優れたドキュメンタリーでは、「グリズリー・マン」のように大いなる自然とそれに対する人間の対比が効果的に描かれていたのに比べ、今回は人間が
映画評 映画四本 出張帰りの飛行機のなかでは映画を4つ観たのだよ: 「ガリバー旅行記」 ジャック・ブラックは嫌いじゃないんだけどね。こういう凡作でありきたりな役ばかり演じてるとそろそろ飽きられるんじゃないかと。意中の人がアマンダ・ピートだってのもいいかげん無理があるよな。せっかく脇役にクリス・オダウドとかキャサリン・テイトとか使ってんのにこの出来とは勿体ない。特に後者は殆どセリフがなかったような。あとジェイソン・シーゲルはもうちょっと痩せたほうがいいと思う。 「ファースター 怒りの銃弾」 むかし銀行強盗をしたあとに襲撃され、兄を殺され金を奪われたザ・ロック様が、出所後に自分を襲撃した連中に復讐していくアクション。でも主人公はあまり復讐心に燃えてなくて困惑した顔で人を殺してるし、復讐される側もみんな「あーついにこの時がきたかー。」といった感じで半ば諦めてて、まっとうなバトルは展開されない。というか主人公、刺し殺したはずの相手が蘇生したので病院まで行ってさらに撃ち殺すというのはなんか情けないぞ。これに定年間近の警部とか動機不明の殺し屋とかが加わり、伏線もないまま腹の立つような展開が待つラストを迎えていた
映画評 映画三本 いま出張でアメリカに来てるわけですが、行きの飛行機の中で観た映画の感想をざっと: 「THE MECHANIC」 オリジナルは未見。なんかものすごく平凡なアクション映画。ジェイソン・ステイサムってもっと幅の広い演技ができる人なんじゃないかと思うんだけどね。殺し屋がボンクラを弟子として育てるんだけど、ボンクラはやはりボンクラでしかなかった、というような話。殺し屋の主人公が毒殺を好むのがカッコ悪いといえばカッコ悪いな。 「THE COMPANY MEN」 これって監督はジョン・ウェルズだったのか。長年勤めた会社をクビになった男たちの悲哀を描いているのはいいんだけど、いままでゴルフ三昧だったブルジョアが職を失って肉体労働をするようになり、素朴にお金を稼ぐことの喜びを知る、というような演出はちょっとクサい。人がどんどんクビになっていく一方で企業のトップが金持ちになっていく状況への言及とかはあるものの、社会批判の色が薄いのが個人的には残念。あとクリス・クーパーのキャラクターの扱いが尻切れトンボになってない? 「NEXT THREE DAYS」 殺人の容疑で収監されてしまった奥さんを救うため、
映画評 「英国王のスピーチ」鑑賞 遅ればせながら。なんかとても無難な映画だなあという感じ。「事実に基づいた物語」「英国皇室のドラマ」「ハンディキャップに打ち勝つ主人公」といういかにもアカデミー賞向けの題材に、エグいキャンペーンを行うことで知られるワインシュタイン・カンパニーが加わればオスカー映画のいっちょあがり〜といったところか。 世界で最も演技が巧い役者だと思うジェフリー・ラッシュとコリン・ファースのやりとりが面白いことに救われて、彼らの会話シーンが大半という構成にも関わらず中だるみしない出来になっているものの、どうも話の展開にメリハリが無いような?主人公の吃音症のもとになった幼少時のトラウマ的経験についても会話のなかでさらっと説明されるだけだし、戦争を目前にして国民に訴えかける義務をもった彼の決意とか、彼の症状の改善に向けたブレイクスルー的発見みたいなものもあまり描かれていなくて、比較的淡白な内容になっていたような。 特に兄のエドワード8世は後にナチスと組んで王位の奪還を画策したほどの稀代のボンクラであることは周知の事実であるわけで、兄との確執をもっと深く描いても良かったような気がする。また献身的な妻を演じる
映画評 「Fight For Your Right Revisited」鑑賞 言わずと知れたビースティ・ボーイズの新譜にあわせて作られた短編映画。監督はメンバーの1人であるアダム・ヤウク。 ストーリーはあって無いようなもので、イライジャ・ウッドとダニー・マクブライドとセス・ローゲンが演じるビースティ・ボーイズがビール飲みながらニューヨークの路上で乱痴気騒ぎを広げているうちに、ウィル・フェレルとジャック・ブラックとジョン・C・ライリー演じる未来の彼らと遭遇し、ダンス・バトルを繰り広げるというもの。いつの間にか小便のかけ合いになってしまう展開がアレですが。 とにかく出演者が豪華で、上記の6人のほかにウィル・アーネットやテッド・ダンソン、キルステン・ダンスト、スーザン・サランドンなどといった有名俳優がわんさかとカメオ出演している。たぶん近くのスタジオで撮影している人たちに片っ端から声をかけたんだろう。知ってる顔がどれだけいるかを数えながら観るのもいいかも。カウベルを叩くウィル・フェレルなんていう懐かしいネタも入ってるぞ。
映画評 「トゥルー・グリット」鑑賞 やはりコーエン兄弟はコメディでなく真面目な作品を撮ったほうがずっと面白いことを再確認。この時代にこの映画をリメークする意義はよく分からんが、変なギミックも無いストレートなウェスタンで大変楽しめたのでありますよ。「ノーカントリー」のように無慈悲で暗いシーンを描きつつ、会話のあちこちにドライなユーモアを混ぜる手腕も円熟さが感じられますね。父親を亡くして復讐の旅に出た娘が、やがて老保安官のなかに父親像を見いだす過程もさりげなく描かれていて巧いなあと。 演出だけでなく役者の演技もみな素晴らしく、特にジェフ・ブリッジスは「クレイジー・ハート」なんかよりもずっといい演技だったんじゃないの。腹の底から捻り出すような声での演技が実に渋い。話の要となるヘイリー・スタインフェルドも非常に良い。難点があるとすれば親の仇であるジョシュ・ブローリンの役が意外とヘタレであることか。バリー・ペッパー演じる悪役のほうが凄みがあったような。 これだけの作品なのに東京でも公開館が少ないのが惜しい。ウェスタン好きな人には観ることをおすすめします。
映画評 「ブラック・スワン」鑑賞 ダーレン・アロノフスキーって「ファウンテン」や「レスラー」と続いてちょっとは明るい人になったかな?と思ってたのですが(あくまでも以前の作風に比べてだけど)、これは「レクイエム・フォー・ドリーム」の悪夢路線を踏襲する内容になっていた。 独特の雰囲気を持った非常によく出来た作品ではあるんだが、少女マンガを読んだり昼メロを観たあとにどっと疲れが出るのと同じで、観てていろいろしんどいところがある映画であった。「レクイエム」もしんどかったけど、あちらは最強の原作に支えられていたのに対し、こちらはやはり話が少女マンガの域を出ていないような。ドロドロした雰囲気はよく出ているので、そういうのが好きな人にはたまらんでしょうが、そういう人たちってアロノフスキーの映画は観ないよな。 役者はナタリー・ポートマンが文字通り体を張った演技を見せつけていて、アカデミー賞を穫ったのも納得できる。表情が硬いのは役のせいなので仕方ないけど、暗黒面に堕ちたさまをもう少し見たかった気もする。彼女と対照的なキャラを演じるミラ・キュニスは奔放でいい感じ。どの映画でも同じような役を演じている気もするけどね。個人的にいちばん良
映画評 「ザ・ファイター」鑑賞 雑記的な感想をいくつか。マーク・ウォールバーグって他の主演映画を観れば分かるように1人できちんと映画を支えられるほどの技量を持った人ではないけれど、今回はクリスチャン・ベールとメリッサ・レオの怪演がそれを十分に補っていることで楽しめる映画になっている。むしろ役者としてのカリスマのなさが、兄と母のエゴに翻弄される主人公の役に今回はうまくはまっている感じか。 一方のクリスチャン・ベールは以前にも何度も減量して痩せ男を演じているので今回の役作りはそんなに驚くほどでもないが、むしろ後頭部にちゃんとハゲをつくっているところにプロの根性を感じましたよ。ただしあまりにも外見的な役作りのインパクトが強いため、いつ画面に出てきてもそれは「痩せたクリスチャン・ベール」であって「ディッキー・エクランド」には見えないのが残念。彼は実在の人物を演じるのには向いてないタイプなのかもしれない。彼らの母親を演じるメリッサ・レオは、ジョン・ウォーターズの映画に出てきそうな格好で、同じ姿の娘たちを何人も引き連れて歩く姿が圧巻。それに比べるとエイミー・アダムスが至極まっとうな人物に見えてしまうせいか、レオがアカデミー賞