映画評

A collection of 838 posts
「ウォッチメン」鑑賞
映画評

「ウォッチメン」鑑賞

ゴミ。カス。クズ。 この映画を観てるときにずっと考えてたのが「あの作品を映画化する意味はあったのか?」ということなんだけれども、悲しいかなその答えは最後まで見つからなかった。「V・フォー・ヴェンデッタ」もそうだったけど、原作に変に忠実になろうとして、物語の大まかな部分をとりあえずなぞって、ラストをちょっといじくるような映画作りをしてるんだったら映画化する意味なんて無いんですよ(そういう意味では原作とは別物になっていた「リーグ・オブ・レジェンド」は俺はそれなりに評価している。脚本家がジェームズ・ロビンソンだからというのもあるけど)。 致命的なのはやはり3時間弱という尺では原作の濃厚な、徐々に謎が明らかになっていく展開が描けてないことで、それでも登場人物の説明はしないといけないから彼らのオリジン話にばかり時間がとられていて、肝心の現代の話の展開が希薄になっているということ。原作をあれだけ特別な作品にしていた細かい描写が全部抜け落ちてるんだよな。いちおう4時間バージョンも後に公開されるらしいけど、たぶんダメでしょ。そして映像のペースもあの監督お得意のタルいスローモーションが延々と続くけど、ア
1 min read
「バーン・アフター・リーディング」鑑賞
映画評

「バーン・アフター・リーディング」鑑賞

だめー。「レディキラーズ」がなければ俺にとってのコーエン兄弟のワースト作品かも。 彼らに映画作りの何たるかを説く気は当然無いけれど、サスペンスだろうとコメディだろうと観客が感情移入できる登場人物が最低1人はいないといけないと思うのですよ。それがこの映画の登場人物って私利私欲に取り憑かれた軽薄なバカばっかりで、誰がどんな運命に遭おうとも大して気にならないんだよな。国家機密と私生活という点ではジョゼフ・コンラッドの小説「密偵」を連想したけど、あちらは壮大な国家のイデオロギーが登場人物のケチな私欲に合わせてシュルシュルと矮小化されていく皮肉が痛快だったのに対し、この映画には別にイデオロギーなんてないからね。あとCIAが基本的に無能だという描写はブッシュ政権下だったらもっと効果的に見えたかもしれないが、今となっては、ねえ。コーエン兄弟はこの映画と「ノーカントリー」の脚本を同時期に書いていたらしいが、最終的な結果は水と油のごとくきれいに差が出たような感じ。 というわけで前回に続き、自分にとってのコーエン兄弟作品をランキング化してみる: 1、「ミラーズ・クロッシング」 2、「ブラッド・シンプル」
1 min read
映画評

帰国

ああ疲れた。ヒザが痛い。行きと違って帰りは良質の映画を2本観た。 まずは「フロスト/ニクソン」。フランク・ランジェラがニクソンよりもプレジネフに似ているという点に目をつむれば、インタビューにまつわる葛藤がうまく描かれた作品。インタビューがウォーターゲートの核心に迫るにつれ2人の背景が暗くなっていく演出も巧み。でもこれって歴史的背景が異なる日本じゃまずヒットしないだろうね。 そしてアカデミー賞受賞の「スラムドッグ$ミリオネア」。確かに感動的で素晴らしい出来の作品。これはみんなにお薦めします。ダニー・ボイルはその映像美にかなり独特のセンスをもった監督だと思うんだが、この作品でそれが頂点に達したような感じ。これ以上やるとたぶんコテコテになりそうなので、次の作品ではスケールバックするのか、それとも別の方向に行くのかにも期待したい。
映画評

出張中

またおフランスより。 いちおうリゾート地のようなとこなんだが天気は悪かったりする。 行きの飛行機ではゴミ映画を2本観た。まずは「地球が静止する日」で、何の理由でリメイクしたのかまったくもって不明な作品。感情のないエイリアンに仏頂面のキアヌ君を持ってきたのは分からなくもないが、いかんせん表情のない主役というのは観ていて退屈。ジェニファー・コネリーも相変わらずの「困ったママさん」という表情をしてるだけだし。脇役にもジョン・クリーズとかキャシー・ベイツとかカイル・チャンドラーとかいい役者を使っておきながら、みんな芸を殺すような役回りにしているのが最悪。あとオリジナルではあれだけ重量感があったゴートが、今回はサイズがデカくなっているくせにやたら軽く感じられる。ああいうのを観ると、CGが映画をつまらなくしているというのを実感しますね。 で次は日本未公開の「マックス・ペイン」。原作のゲームってよく知らないんだけど、何をやりたいのかまるで分からない作品。スーパーナチュラルなものかと思いきや全然そうでもなくて…。マーキー・マークはキアヌ同様に表情がいつも一緒だし。いくら薬でハイになっているからって
1 min read
「ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション」鑑賞
映画評

「ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション」鑑賞

2003年の映画で現時点でのジョー・ダンテの最新劇場作品(要するにホサれてんのよ)。興行的に大失敗したということでちょっと敬遠してたんだが、何のことはない、目が覚めんばかりに素晴らしい作品だった。 雰囲気的にはあの大傑作「グレムリン2」に似ていて、つまりプロット自体は破綻しているものの代わりにダンテ流の悪ふざけがギッシリ詰められており、彼の作品の常連であるディック・ミラーやロバート・ピカード、さらにはロジャー・コーマンが登場し、数多くのルーニー・テューンズのキャラクターたちと一緒に濃すぎるギャグの大進撃を見せつけてくれる。エイリアンが収容されている「エリア52」において、メタルーナ・ミュータントとトリフィッドとダーレクが肩を並べて襲ってくるなんて映画、他にはありませんぜ?そしてこれらの裏には、B級映画やルーニー・テューンズに対するダンテの愛情がひしひしと感じられる。どうもアニメのキャラクターの態度が冷たい気がした「ロジャー・ラビット」や「スペース・ジャム」に比べ、こちらのバグス・バニーやダフィー・ダックは実に生き生きしているんだよな。 内容はこんな中年オタク向けなのに、ファミリー映画と
1 min read
「WONDER WOMAN」鑑賞
映画評

「WONDER WOMAN」鑑賞

DCコミックスのアニメムービー最新作。ワンダーウーマンって個人的にあまり思い入れのないキャラクターなんだけど、この作品は予想以上に面白かった。 基本的には1つの大きなオリジン・ストーリーになっていて、女神ヒッポリタの統治のもと女性だけのアマゾン族が暮らす平和な島に、ある日アメリカ軍のパイロットのスティーブ・トレヴォーが乗った戦闘機が不時着。彼を本国に帰すためにヒッポリタの娘ダイアナがワンダー・ウーマンとなって一緒にアメリカに渡るものの、男性が支配する世界に彼女はショックを受ける。それと同時期に、島に幽閉されていた戦争の神アレスが脱出に成功し、世界に戦渦をもたらそうとしていた…というような内容。 当然ながら戦闘シーンも多分に展開され、おかげでこの手のアニメには珍しくPG-13のレーティングがついているものの、単なるアクション作品にはならず、フェミニスト的な要素が盛り込まれているのがポイント。女性アメコミ作家としていまいちばん勢いのあるゲイル・シモーンが共同執筆した脚本においては、男性は暴力が好きでトラブルを起こしてばかりの頼りない存在になっており、われわれ男性にとっては耳の痛いセリフもで
1 min read
「Dr. Who and the Daleks」鑑賞
映画評

「Dr. Who and the Daleks」鑑賞

ピーター・カッシングがドクターを演じたことで知られる劇場版「ドクター・フー」の、2つあるうちの1つ。ストーリーはテレビシリーズの第2話(早川書房から小説版が出てたやつ)をもとにしているけど、内容はまるで「ドクター・フー」とは呼べない代物になっていた。 オープニングで流れるのは例のテーマ曲じゃなくてチープなモンド系の音楽だし、なんとドクターはタイムロードとか異星人という設定ではなく、ただの気のいい地球人の発明家という設定になっている。そんな彼の発明したターディスに乗って、孫娘ふたりとその恋人と一緒にドクターは遠い星に行くのですが、そこにはダーレクという不気味な種族がいて…という話なんだけど、セットは大がかりなものの出演者の演技はみんな凡庸だし、ストーリーに起伏がないし、ダーレクはレンズに泥を塗られたくらいで慌てふためくし、何だかなあといった感じ。当時の観客は「ドクター・フー」にこの程度のことしか求めてなかったんだろうか。ピーター・カッシングは好きな俳優だけど、彼にはグランド・モフ・ターキンとかヘルシング教授のような高い頬骨の似合うシリアスな役を期待してしまうのであって、この映画のような好
1 min read
「チャンス」鑑賞
映画評

「チャンス」鑑賞

前から観たいと思っていた作品だけど、期待してたほどのものではなかったかな。 ピーター・セラーズ演じる軽度の知的障害をもった庭師チャンスが、主人が死んだことにより子供の頃から出たことがなかった屋敷を追い出され、初めての外界で多くの人々と出会っていく。その無垢さゆえにチャンスは人々の心情を映し出す鏡のような存在になって、人々は彼の何も意味のない言動に対し勝手に深い意味を見いだして感銘を受けるわけだが、あくまでも彼らはチャンスがただの庭師だということを知らないわけであり、それに対して観客はチャンスの正体を知っているから人々とのやりとりがどうもまどろっこしく感じられるんだよね。フランク・ダラボンの「マジェスティック」を観たときにも感じたが、観客だけが主人公の過去を知っている場合、周囲の登場人物の応対などをちゃんとうまく描かないと、周囲の人々が単なるアホのように見えてしまうんじゃないかと。 なお世間知らずが世間に出た話、という意味ではリンゼイ・アンダーソンの「オー!ラッキーマン」のほうが面白かった。もしかしたら「引きこもりが親の死によって家から出た話」として見ることもできるかもしれない。チャンス
1 min read
「007/慰めの報酬」鑑賞
映画評

「007/慰めの報酬」鑑賞

ダメ。前作で不満に思ったことがそのまま踏襲されている。一番ムカつくのは、悪役がサム・ライミ似の中間管理職のサラリーマン風情な猫背の中年男(当然弱い)だということ。世界征服を企む大富豪や、巨大兵器を建造するキチガイ科学者はどこに行ってしまったんだ!失脚した大統領にとりいって満足してるような偽エコ会社の社長なんか相手にしてどうするんだよ。奴の背後にある組織についてもろくに説明されないし。あとボンド・ガールがボンドとヤらないというのも非常に問題かと。 それとチェイス・シーンが多いのは結構なんですが、編集が粗いうえに競馬だのオペラだののシーンを挿入しているために何が起きているのかがとても分かりにくいことが多々あり。ここらへんは同じイギリス映画の「ホット・ファズ」から学ぶものがあるんじゃないでしょうか。 スクリーンを見ながらずっと、不敵に微笑むコネリー時代のボンドを懐かしんでいました。ボンドがいつまでもウジウジ悩んでるようじゃ、ねえ。
1 min read
「MAN ON WIRE」鑑賞
映画評

「MAN ON WIRE」鑑賞

今回のアカデミー賞ドキュメンタリー部門賞の最有力候補「MAN ON WIRE」を観る。 これは1974年に世界貿易センタービルの2つのタワーのあいだで綱渡りを行ったフランスの軽業師フィリップ・プティの物語で、歯科医の待合室にあった雑誌で完成前の貿易センターの写真を目にした若きフィリップは、その瞬間に自分の夢が何であるかを悟り、貿易センターでの綱渡りを達成するためにひたすら突き進んでいく。金とか名誉とかとはまったく関係なしに、ただ純粋に自分の夢を追いかけて期待に胸をふくらませるフィリップの姿が素晴らしい。とはいえ彼は盲目的に夢を追ったわけではなく、何度もニューヨークに渡っては貿易センターの研究を重ね、時には記者を装ってタワーの屋上で写真を撮ったりして綿密に計画を重ねていく。そして仲間たちとともに貿易センターに侵入し、機材を屋上に運びこみ、ガードマンの監視をくぐり抜けながら弓矢を使ってタワーのあいだにケーブルを張る光景は「オーシャンズ11」も顔負けのスリル映画といった感じ。 こうしてケーブルを張ることができたフィリップは、ついに地上450メートルの空へと足を踏み出し、45分もの長きにわたっ
1 min read
「殺人者はライフルを持っている!」鑑賞
映画評

「殺人者はライフルを持っている!」鑑賞

ピーター・ボグダノヴィッチの監督デビュー作。実はボグダノヴィッチの作品を観るのってこれが初めて。ロジャー・コーマン大先生の指揮のもと、ボリス・カーロフに2〜3日働いてもらい、それにカーロフ主演の「古城の亡霊」のストック映像を組み合わせて映画を1本つくれという実にB級映画的なコンセプトで製作された映画なんだけれども、独自のスタイルを持った素晴らしい出来の作品になっている。低予算映画のお手本みたいな作品。 カーロフ演じる老いたホラー俳優と、家族を射殺した後にライフルで無差別殺人に繰り出す青年の話がうまい具合にセグエしながら描かれ、最後に両者のストーリーが合わさり「本当の恐怖はスクリーン上ではなく現実世界にあった」というラストに持っていくまでの流れが巧みにできている。脚本の手直しをサミュエル・フラーが行ったらしいが、青年のバックグラウンドなどについては殆ど何も説明されてないのにも関わらず、きちんとキャラクターとして成り立っているところも巧い。 ボグダノヴィッチって映画インテリのイメージがあって、今まで何となく敬遠してたんだけど、他の作品も観てみようかな。
1 min read
「Standard Operating Procedure」鑑賞
映画評

「Standard Operating Procedure」鑑賞

新年の気の滅入るドキュメンタリー第2弾。エロール・モリスの最新作で、世界を震撼させたアブグレイブ刑務所での捕虜虐待に関する一連の「証拠写真」の裏に隠された真実を明らかにしていくという内容のもの。 人々がカメラを正面から見つめて独白していくというモリス作品ではおなじみのスタイルをとりながら、実際に虐待容疑で有罪になったリンディ・イングランドなどといったアブグレイブでの当事者たちが、どのように虐待が行われ、どのような状況で写真が撮られたのかを淡々と語っていく。作品自体は決して彼らを糾弾するような内容にはなってなくて、写真を加工してマスコミがいかに情報操作を試みたかを説明している部分もあり、むしろ感覚がマヒして虐待を「悪」として見なすことが出来なくなっていった兵士たちの状況に焦点が当てられている。これに加えて何をもって虐待と見なすのかが極めて曖昧であることが語られ、例えば囚人を窮屈な体勢でベッドにくくりつけ、顔にパンツをはかせる行為は尋問をやりやすくするための「標準手順業務」(Standard Operating Procedure)と見なされるんだそうな。あれが許されるんだったら虐待がエス
1 min read
「LAKE OF FIRE」鑑賞
映画評

「LAKE OF FIRE」鑑賞

めでたい新年には気の滅入るドキュメンタリー映画を観よう、ということで妊娠中絶を扱った作品「LAKE OF FIRE」を観る。これは「アメリカン・ヒストリーX」を監督したトニー・ケイが18年もの期間をかけて自腹で製作したもので、中絶反対派と賛成派両方のインタビューを中心に中絶問題の奥の深さを浮き彫りにしていくもの。 監督自身は今でも中絶について特に確固とした意見を持っていないことを公言しているんだが、俺は「客観的なドキュメンタリー」というものはありえないと思っているので何かしらのオピニオンが含まれているんだろうと疑いつつ観てみたら、確かに特に偏向のない内容になっていた。これはバランスのとれた作りになっているというよりも、中絶というテーマがあまりにも深すぎて、すべての意見が一理あるように聞こえるためなんだろう。作品中に出てくる「中絶に関してはあらゆる意見が正しい」という発言が印象的である。 俺自身もこの作品を観るまで自分は明確にプロチョイスだと考えていたけど、母親の腹から出てくる胎児の断片などといった非常にショッキングな映像を見せられると、やはり子供の命は可能な限り守るべきだと実感した次第
1 min read
「空の大怪獣Q」鑑賞
映画評

「空の大怪獣Q」鑑賞

前から観たかったのよこれ。ニューヨークはマンハッタンの上空に、翼ある蛇ケツアルコアトル(ただし外見はヘビというよりもトカゲ)が現れて人を襲うという作品だけど、「空の大怪獣ラドン」みたいなガチな怪獣映画にはなってなくて、怪獣がその全貌を表すのは最後のクライマックスのときくらい。むしろクライスラー・ビルディングの中に怪獣の巣を発見したさえないゴロツキと、彼から情報を聞き出そうとする刑事たちの姿に焦点をあてた、異色の刑事ドラマになっている。 デビッド・キャラダインをはじめリチャード・ラウンドトゥリーやマイケル・モリアーティといった濃い役者が揃ってるものの、怪獣の姿を小出しにしたことで話の盛り上がりに欠けていて、全体的に間延びした感があるのは否めない。テレ東の昼間にやるのがふさわしい映画といった感じかな。でも最後のビルのてっぺんでの銃撃戦とかは見応えあるけどね。でもあれ下の人たちに銃弾が降り注いで危険だろうに。あと主人公のゴロツキが徹底して軽薄な性格で、共感できない奴になっているのもマイナスだな。 しかし当時の(映画の)警察って逮捕したゴロツキをずいぶん手荒にあつかったり、卵から孵った怪獣のヒ
1 min read
「北極の基地/潜航大作戦」鑑賞
映画評

「北極の基地/潜航大作戦」鑑賞

ハワード・ヒューズのお気に入りだった映画として知られる「Ice Station Zebra」こと「北極の基地/潜航大作戦」(1968)を観る。 雪嵐によって孤立した北極の基地ゼブラから送られて来た救難信号。実はゼブラの付近に人工衛星が墜落しており、それにはアメリカとソ連のミサイル基地などを撮影したフィルムが収められていたのだ。フィルムを入手するためにイギリスのエージェントを乗せたアメリカの原潜が北極に向かうが、ソ連もまたフィルムの入手を目指していた。そして原潜には東側のスパイが潜入しており、凍てつく海の中で原潜は沈没の危機に見舞われる…といったような、冷戦まっただなかの時代の軍事サスペンス。 極寒の基地で何が起きたのか?というようなミステリやスパイ探しのスリル、迫り来るソ連軍などそれなりに面白い要素があちこちに見受けられるばかりに、全体的に間延びした感じがするのが悔やまれる。160分という長尺だが、あと30分は短くできたんじゃないかな。隊員がクレバスに落ちるシーンなんてまるで必要ないのに。主演のロック・ハドソンは貧乏人のグレゴリー・ペックといった感じで味気ないが、アーネスト・ボーグナイ
1 min read
「Star war - The Third Gathers: Backstroke Of The West」鑑賞
映画評

「Star war - The Third Gathers: Backstroke Of The West」鑑賞

ついこないだその存在を知ったんだが、2005年に「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」が公開されたとき、中国では例によって海賊版のDVDが速攻で流出されたわけだが、流出させた方々はご丁寧にもDVDに中文字幕だけでなく英文字幕も追加させておられたそうな。それがなぜか英語のセリフをそのまま転写したものではなく、中国語から翻訳し直した字幕であったために翻訳過程で誤訳・珍訳が続出し、その凄まじいインパクトが西側諸国で話題になったのがこの「Star war - The Third Gathers: Backstroke Of The West」というわけ。ルーカスフィルム作品の海賊版の映像なんて見つけるの難しいかな、と思っていたらyoutubeに全編がアップされていた。すげえ。当然ながら映像は汚いし、スクイーズもかかってますが。タイムコードが表示されていることから察するに、原盤を流出させたのは業界関係者だよな。映画館での撮影を取り締まる以前に、こういう悪徳業者を捕まえるのが先だと思うけど。 そしてその翻訳だけど、題名からしてスゴいことになってるのは見ての通り。中国題は「星際大戰三部曲:西
2 min read
「ダージリン急行」鑑賞
映画評

「ダージリン急行」鑑賞

遅ればせながら。冒頭からビル・マーレイが出てきて、スローモーションの映像にキンクスの音楽がかぶさるところで「ああ、俺はウェス・アンダーソンの映画を観てるんだなあ」という気分になってしまう。 「オニオン」でもネタにされてたけど、この人の作品は良くも悪くもスタイルが確立されてしまいましたね。今回はインドというエキゾチックな土地を舞台にしているけど、オーウェン・ウィルソンや家族間の問題、シュールなコメディ、ブリティッシュ・ロックのサントラなど、今までの作品にあったテーマがそのまま流用されてる感じ。見慣れたものを観て安心するか、新しいことを期待して失望するかで評価が分かれる作品かもしれないな。俺はどちらかというと後者かもしれない。まあ変に大掛かりなセットを組んで失敗した「ライフ・アクアティック」よりかは話がコンパクトにまとまっていて良いけどね。ウィルソンの顔の傷とか父親の形見のトランクなどのメタファーはあまりにもベタで感心できなかったが。 ここまでのアンダーソン作品を、個人的に好きな順に並べるとこんな感じ: 1、天才マックスの世界 2、ロイヤル・テネンバウムズ 3、アンソニーのハッピー・モーテ
1 min read
「アイス・ハーヴェスト」鑑賞
映画評

「アイス・ハーヴェスト」鑑賞

それなりに良い評判を聞いていたハロルド・ライミス監督の「アイス・ハーヴェスト 氷の収穫」を観る。確かに面白い、良く出来たフィルム・ノワール。 舞台はカンザス州ウィチタのクリスマス。マフィアとつながりのある弁護士のチャーリー(ジョン・キューザック)は相棒のヴィック(ビリー・ボブ・ソーントン)とともにマフィアの金を横領し、街の外へ高飛びしようとするものの、悪天候のため一人で時間をつぶす羽目に。そんなとき不運にもマフィアの手下が街に来たり、泥酔した友人の面倒を見ているうちに物事は意外な展開に発展していき…といった感じの作品。ブラックな展開のなかにシュールなコメディが多分に含まれていて、コーエン兄弟のサスペンス作品に良く似た雰囲気があるかな。チャーリーとヴィックとマフィアたちによる心理的な駆け引きもスリル十分だし、クリスマスの飾りが輝く街と雨と氷にまみれた郊外の対比も美しい。当然ながらファム・ファタールも出てくるぞ。 主人公のチャーリーも含めて登場する人物はみんな人生に失敗したようなダメ人間で、現状からの脱出を願って大金を手にしようとするわけだが、あまり話は湿ったものになりすぎずにサクサクと進
1 min read
映画評

「アメリカン・サイコ」鑑賞

原作読んでないけどさ。クリスチャン・ベールがバットマンとして知られるようになった今になって観てみると、ブルース・ウェインの両親が殺されずに彼がスポイルされて育ったなら、この映画の主人公のような狂ったヤンエグ(死語)になったんじゃないかという裏の見方ができるのもまた楽しい。 猟奇的だの暴力的だの女性蔑視だのいろいろ叩かれた作品だけど、80年代のヤッピー文化の空虚さの風刺としては素晴らしい出来ではないですか。同僚の名刺の出来に敗北感を感じて冷や汗を流したり、ジェネシスやヒューイ・ルイスのCDについて熱く語りながら喜々として惨殺を繰り返す光景は実はひたすら笑えたりする。そのため後半になって主人公の錯乱が進んで冷静さを失い、警察と撃ち合いをして慌てふためく辺りからは彼がただの凡人のようになってしまうのが残念なところか。主人公が最後までイっちゃっていれば「ファイト・クラブ」にも負けない傑作になってたと思うんだが。 ちなみにこの映画で描かれたようなやっピーってまだ存在してるんですかね。最近の株価大暴落などによりその生存数は激減してると思われるんだが。希少動物のごとく誰かがちゃんと保護してあげ
1 min read
「スカウト/涙の81球」鑑賞
映画評

「スカウト/涙の81球」鑑賞

世間が日本シリーズで盛り上がってるなか、すごい展開があると聞いた野球映画「スカウト/涙の81球」{The Scout}を観てみる。何がすごい展開なのかは後で述べるが、邦題の「81球」というので分かる人は分かるかな。 ニューヨーク・ヤンキーズのスカウトを務めるアル(アルバート・ブルックス)は大学を中退させてまで引き抜いた期待の新人が、緊張のためマウンド上でゲロを吐くという失態をやらかしたため、メキシコの奥地へと左遷させられてしまう。ろくな野球場もない土地をさまようアルだったが、彼はそこでスティーブ・ネブラスカ(ブレンダン・フレイザー)という驚異の少年を発見する。投げる球は160キロの豪速球、打席に立てばすべて場外ホームランという彼の凄まじい才能に驚愕したアルはさっそく彼をスカウトしようとするが、ヤンキースの上司には話を信じてもらえず逆にクビになってしまう。それでもアルはネブラスカ君をアメリカに連れて帰り、全球団のスカウトの前で彼の凄腕を披露することに成功する。この天才少年に度肝を抜かれたヤンキーズは、オーナーのスタインブレナー(本人出演)による札束攻勢で4年間5500万ドルという大型契約
2 min read
「X線の眼を持つ男」鑑賞
映画評

「X線の眼を持つ男」鑑賞

ロジャー・コーマン大先生の監督作の代表作の1つである「X線の眼を持つ男」(1963)を観た。主演はレイ・ミランド。アカデミー賞俳優(後で穫った人たちを除く)とコーマンが組んだ作品ってこれくらいじゃないかな。でも内容はバリバリのB級ムービーですが。 主人公のエグゼビア博士は人間の眼の機能を飛躍的に向上させる薬を開発し、それを自らに試したことで透視能力を身につける。そうなると当然女の子の服が透けて見えたりするのですが、博士はそれに満足せず(なぜだ!)薬の量を増やすことでさらに多くのものが透視できるようになるものの、精神的にその能力をうまくコントロールすることができず、誤って同僚を殺してしまったために追われる身になるのだが…というのが大まかなプロット。 チープな特撮(「スペクトラマ」という名前つき)やカーチェイスに入り混じって、人知を超えた能力に対する哲学的なスピーチがあったりするのがコーマン作品っぽいところではある。でも博士は自分の能力に困惑してるくせに「能力が弱まった」といって薬をすぐ使うし、薬の研究費が欲しいためやたら金にガメつく、しまいにはラスベガスでカードを透視して大勝ちするなど、
1 min read
映画評

「There Is No Authority But Yourself」鑑賞

その思想がアナクロだとか非現実的だとか言われようが、俺が敬愛してやまないパンク・バンド「クラス」のドキュメンタリー「There Is No Authority But Yourself」を観る。公式サイトではうまく視聴できなかったけど、グーグルビデオでタダで観れるぞ。 ドラマーのペニー・ランボーへのインタビューを主体に、アートワーク担当のジー・ヴァウチャーやボーカルのスティーブ・イグノラントといった元メンバーたちの証言を通じて、クラスの歴史と思想が語られていく内容。クラッシュなどのパンク・ムーブメントに触発されてバンドを始めた彼らは、すぐに商業主義のバンドたちとは一線を画して徹底して反体制を貫き、アナーキズムの代弁者として数多くのチャリティ・ギグを行っていく。まだサンプラーもなかった時期にサッチャーとレーガンの会話の記録を偽ったテープを作成し、それが話題になってKGBが接触してきたなんていう話が面白い。自分たちの知らないところでバンドのマーチャンダイズが作成され続けていて、いつの間にかデビッド・ベッカムのような大金持ちまでもがクラスのTシャツを着ていたなんていう話は痛烈な皮肉でもあ
1 min read
「アイアンマン」鑑賞
映画評

「アイアンマン」鑑賞

冒頭からサバスの「あの曲」がかかったらどうしようかと身構えて(?)いたら、流れてきたのは「バック・イン・ブラック」でありました。 「ダークナイト」に比べれば劣るものの、キャラクターのツボをきちんとおさえていて非常に良い出来の作品。正義のヒーローが死の商人であるという設定も、予想以上にうまく描かれていた。アン・リーの「ハルク」に欠けてたのはこれなんだよな。ひ弱なブルース・バナーが新型爆弾の開発者であり、人類にとって脅威なのは実はハルクではなくバナーであるという設定が無かったんだよな。 CGやアクションも一流。メカフェチでない俺でもカッコいいと思うくらいのメカスーツの出来。「スパイダーマン」同様にクライマックスになると主人公がマスクを外すのはご愛嬌ですが。個人的に好きなウォーマシンが登場しないのが残念ですが、「次の機会にな」とジム・ローズが言ってるので続編には登場するのかな。配役もいい。ダウニーJr.の演技の巧さは相変わらず。ジェフ・ブリッジスの悪役ぶりもいい。彼については「トロン2」にも期待してるのです。グウィネス・パルトロウだけが浮いているような気がするけど、まあ女性キャラを入れたかっ
1 min read
「ダークナイト」鑑賞
映画評

「ダークナイト」鑑賞

すげー。 「アメコミ映画」という表現を蔑視するわけではないのですが、これを単なるアメコミ映画として片付けるわけにはいかないような。今までのアメコミ映画が扱わなかった部分にいろいろ挑戦して、すべて成功してしまった奇跡的な作品かもしれない。キャラクタースタディの勝利というか、登場人物がすべてメタファーの塊になっていて、バットマンやジョーカー、ツーフェイスといったキャラクターの枠を超え、彼らが象徴する「法」や「混沌」そしてその「グレーな中間」の葛藤がこれでもかというばかりに語られていくんですよ。個人的にジョーカーやツーフェイスの性格設定には100%同意するものではないけれど、演出があまりにも濃厚のでそんなことも気にならずにどんどん話に引き込まれていく。もちろんアクションシーンも迫力満点だし、「バットマン・ビギンズ」が凡作に見えるほどの出来になっている。 あと個人的に好きだったのが、「バットマン・ビギンズ」もそうだったけど、ゴッサムのマフィアやゴロツキがきちんと「街の脅威」として描かれてること。多くのアメコミ映画では派手なヴィランだけに焦点が集まってしまい、部下の悪党どもはショッカーの戦闘員の
1 min read
「ア・ダーティ・シェイム」鑑賞
映画評

「ア・ダーティ・シェイム」鑑賞

まだ観てなかったジョン・ウォーターズの(現時点での)最新作。ウォーターズ作品にもCGの動物が登場する時代になったのか。 まず最初に言っとくと、俺はやはりセルマ・ブレアが好きだ。あのヤク中と性悪女と毒蛾を足したようなヤバい目つきは素晴らしいなあ。この映画でも改心してストリッパーから「普通の女の子」になる場面があるんだが、目つきが変わらないので全然普通に見えないでやんの。たぶん実生活でも性格悪いんだろう(と勝手に想像)。今さらになって「私は普通でキュートな女の子の役をやりたいの!」みたいなことを言ってるらしいけど、あんたジョン・ウォーターズやトッド・ソロンズの映画に出といてそれはないでしょ。とりあえず今秋から出演するらしいオーストラリア製シットコムが失敗して、またキワモノ映画に戻ってくることを願うばかりです。 んでこの映画。ボルチモア(where else?)に住む健全な主婦が、頭をしたたかぶつける事故にあったことで性格が一変して色情狂のオバハンになり、同様の経験をもった人々によるセックス教団に加わって町中を混乱させるといった内容のもの。オバハンが主人公だということと、カルト集団がでてくる
2 min read