映画評

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「MILITARY WIVES」鑑賞
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「MILITARY WIVES」鑑賞

みんな大好き「フル・モンティ」のピーター・カッタネオ監督の新作。 イギリスの軍事基地に住む軍人の妻たちを主人公にした作品で、中佐の妻であるケイトは新たに妻たちのレクリエーション係を担うことになり、彼女たちの気晴らしになることを模索する。基地で気楽そうに暮らしている妻たちだったが、夫たちが戦地(アフガン)に派遣されており、いつか還らぬ人になるかもしれないというストレスを日頃彼女たちは抱えていたのだ。そんな妻たちのストレス発散のために、ケイトは彼女たちを男性ストリップショーに連れていく…のでは当然なくて、合唱グループを編成することを思いつく。しかしグループのもう一人のリーダーであるリサと指導法の意見が合わず…という内容。 例によって「事実に基づく話」でして、実際にイギリスには軍人の妻たちによる合唱団がいくつも存在していて、それをフィーチャーしたリアリティーショーもあるんだそうな。 まあ内容はこの手の映画にありがちな、非常に典型的なものになってまして、クラシックはダメだった女性たちがポップソングを歌うことでノリノリになったり、シャイだった女性が歌うことで自己表現に目覚めたり、リーダーふ
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「ブラッドショット」鑑賞
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「ブラッドショット」鑑賞

いちおう日本では5月29日から公開らしいですが、首都圏の劇場で観られるのはいつからですかね?ワーナーのDC、ディズニーのマーベルに対抗してか、ソニーが中国資本と組んでヴァリアント・コミックスのスーパーヒーロー作品を映像化したもの。以降はネタバレ注意。 日本では馴染みがないがヴァリアント・コミックスというのは、元マーベルの名物編集長だったジム・シューター(身長3メートル)が1989年に立ち上げたコミック会社でして、ブラッドショットやハービンジャー、XOマノウォーといった新キャラクターを生み出したり、マグナス・ロボット・ファイターなどといった60年代のゴールドキー・コミックスのキャラクターをリブートした作品を出していたところ。初期はボブ・レイトンやバリー・ウィンザー・スミスといった名クリエイターたちが関わっていたことや、90年代前半のコミックへの投機ブームにも乗っかって、それなりの人気を誇っていた会社なのです。そのあとゲーム会社のアクレイムに買収されたが軌道に乗らず、アクレイム自体が倒産して、そのあとも親会社が2回くらい代わったものの、現在でも根強い人気をもって出版を続けております。
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「FAST COLOR」鑑賞
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「FAST COLOR」鑑賞

1年くらい前にアメリカで公開された低予算SF。プロットの深いところまで書くので以下はネタバレ注意。 舞台は近未来、8年間も雨が降っていないアメリカ中西部。水が貴重な社会において、ルースという女性が逃避行を続けていた。彼女は発作が起きると巨大な地震を誘発するという特殊な能力の持ち主で、自分がコントロールできないその能力が周囲に迷惑をかけないように、そして彼女の能力を狙う科学者たちから逃げるために旅を続けていた。しかし彼女も根気が尽き、かつて家出した我が家へと戻ってくる。そこには母親のボーと、ルースが置いていった娘のリラが暮らしていた。彼女たちもまた特殊な能力を持つ者たちであり、ルースをかくまうが、彼女を狙う科学者たちも近づいていた…というあらすじ。 特殊能力を持った人の逃避行、という点では「ミッドナイト・スペシャル」に似ているけど、ルースが家に着いてからは女性三人の家族ドラマみたいになる。超能力バトルみたいなものはなくて、もっと叙情的な内容かな。現地では黒人向けの映画を扱う配給会社が配給したらしいが、人種的なテーマは特になし。知的なSF小品といった感じで、結構楽しめました。 ルース
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「LITTLE JOE」鑑賞
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「LITTLE JOE」鑑賞

ヨーロッパ製の(いちおう)SFスリラー。邦題は「リトル・ジョー」で7月公開予定だとか。以降はネタバレ注意。 シングルマザーのアリスは植物学者で、同僚のクリスたちとともに新種の花の改良にあたっていた。彼女の作り出した花は匂いを嗅いだ人たちに幸福感を与えるというもので、彼女は息子のジョーにちなんで花を「リトル・ジョー」と名付ける。そして真っ赤な花を咲かせたリトル・ジョーは大量に花粉を撒き散らし、それを吸った人たちはどことなく奇妙な振る舞いを見せるようになる…というあらすじ。 このあらすじだけで話の展開が8割がた分かると思うが、まあ要するに植物のリトル・ジョーが人を操って自分たちの覇権を広げる話ではあるのですが、あくまでもアートハウス映画といった内容なので派手な展開はなく、リトル・ジョーが毒ムチを持って人を襲うとか、人を大量自殺に追い込むとかといった演出は全くなし。ちょっとあの人変わったわね、というような話が淡々と続いていく。 これを観る人って話の内容は大まかに知ってるだろうし、話の序盤でもリトル・ジョーがどうも怪しいことは分かるのだが(ほかの同僚が指摘する)、アリスとクリスはリトル・
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「THE LIGHTHOUSE」
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「THE LIGHTHOUSE」

「THE WITCH」のロバート・エガース監督のサイコホラー劇。 舞台は19世紀後半、ニューフイングランド沖の孤島に建つ灯台の当番に、エフライムとトーマスというふたりの男性がやってくる。老人であるトーマスは新人のエフライムに肉体労働などの雑務を押し付け、自分は灯台の光源の管理を独占していた。それに不満を抱くエフライムだったが、やがて彼らの当番期間である四週間が過ぎようとしていた。しかし悪天候のために来るはずだった迎えの船は姿を見せず、彼らふたりは島に孤立する。やがて食糧も底をつきはじめ、憔悴したふたりの精神は崩壊していき…というあらすじ。 「THE WITCH」でも1600年代の英語にこだわり、自然光での撮影にこだわったエガースだが、こちらもいろいろこだわってて映像はモノクロで画面アスペクト比はほぼ正方形、使われる言葉は当然19世期のもの、という作りなので、まあ観る人を選ぶ作品だよな。アート映画のようで、音楽が派手なあたりはユニバーサル・モンスターとかのレトロホラー映画を彷彿とさせるかな。 エフライム役がロバート・パティンソンでトーマス役がウィレム・デフォー。ほとんどこのふたりだ
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「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey」
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「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey」

うーん、個人的にはかなり残念な映画であった。これタイトルからは3つの展開が想定できると思うのですよね: 1、「BIRDS OF PREY」ということで同名の女性ヒーローチームの物語。しかし確かにハントレスとかブラック・キャナリーといったメンバーが出てくるものの、そもそもチームの真っ当なメンバーでないハーレイ・クインの映画ということでメンバーは脇役扱いに。 2、ハーレイ・クインを主人公にしたコミックやアニメの実写版。内容的にはこれがいちばん近い。ハーレイの大騒ぎがずっと展開されるわけだが、それって読み切りのコミックや30分のアニメだから楽しいわけで、2時間弱の映画にするにはストーリーが弱いな、という印象だった。 3、ハーレイのemancipationの物語。日本ではなぜか「覚醒」と訳されてるけど、「emancipation」って「解放」でしょ。「スーサイド・スクワッド」ではジョーカーとの関係がDV愛のようなものだと示唆されていたハーレイが、彼との主従関係を断ち切って自立する話になるんじゃないかと、自分は勝手に期待してたのですね。ハーレイの名を世に知らしめた傑作コミック「MAD LO
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「スキャンダル」鑑賞
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「スキャンダル」鑑賞

この作品、日本のレビューだとニュース局でのセクハラだとかMeToo運動とかとの兼ね合いで語られてることが多くて、それはもちろん間違っていないものの、その舞台となったFOXニュースとは何ぞや?ということを説明しているものが非常に少ないので、その観点からちょっと書き記してみる。俺自身もFOXニュースなんてあまり観たことないし観たいとも思いませんが、「デイリーショー」などでネタの対象にされてることもあってそこそこ詳しいと思うので。 FOXニュースは劇中でも語られるようにルパート・マードック傘下のケーブル局で、モットーは「Fair & Balanced」(公平でバランスがとれた)といいつつも政治的スタンスはコテコテの保守右寄りで、煽動的なコメンテーターを起用することでブッシュ政権時に保守層のあいだで視聴者を増やし、CNNを追い抜いてトップのケーブルニュース局になったんだっけな。 その原動力となったのが本作品の悪者であるロジャー・エイルズで、物事の真相なんぞ気にせずに報道を煽るスタイルでFOXニュースをバリバリ売り込んでいった。劇中にもあるように上司であるマードック一家にも楯突くような人物で
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「1917 命をかけた伝令」鑑賞
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「1917 命をかけた伝令」鑑賞

公開したばかりなので感想をざっと。いちおうネタバレ注意。 ・日本の宣伝では「全編ワンカット」であることが謳われてるが、当然そうではない。作品を観ればわかるが、少なくとも2回は主人公が意識を失うことでカットが生じているし、それ以外にも劇中のあちこちで巧妙にカメラを隠すことなどで、細かいカットが入っているらしい。とはいえ長回しを多用した、切れのない演出を売りにした作品であることは間違いないのですよね。 ・そこで出てくる疑問としては、そういう演出って意味あるの?ということでして。実際にワンカットで撮影された「ヴィクトリア」を観た時も思ったが、そういう長回しを使うことで話が面白くなるのでなければ、やる意味あるのかなと、映画製作で一番偉いのは編集者だと見なしている自分などは考えてしまうのです。 ・1つの解としては、これがすべてリアルタイムで進む作品であり、ストーリーの最初から最後までを通して見せることで、主人公の与えられた任務の性急さを表すこともできるだろう。でもこの作品は、もっと夜になるまで出発を待つという選択肢が最初に与えられているわけで、果たしてこういうワンカット撮影をする必要が最も
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「フェアウェル」鑑賞
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「フェアウェル」鑑賞

2週続けてオークワフィナ作品だぜ!日本では4月に公開される映画。 子供の頃に両親に連れられて中国からアメリカに移住した女性であるビリーは、中国にいる祖母がステージ4の癌にかかっていることを両親より知らされる。末期癌は本人には告知しないという中国の風習のもと、ビリーの一家および伯父の一家は、ビリーの従姉妹が結婚式をするという名目で中国に集まり、祖母の前では健気にふるまうのだが…というあらすじ。 咳はするものの自分が癌であることはつゆ知らずに身内のことをあれこれ言う祖母と、そんな彼女に気を使う親族たちの光景を淡々と描いた内容で、あまりコメディ要素はないかな。 A24製作のアメリカ映画だが内容は完全に中国映画で、監督のルル・ワンの実体験に基づいた話なのだとか。親族が集まったということでやたら料理の量の多い食事シーンが続くなか、中国とアメリカの違いとか、変わりゆく中国の風景などがいろいろ語られていく。中国に残った親族がビリーの母に「金持ちになりたいなら中国に来ればいいのに〜」とか言うのが時代ですかね。ビリーの父が「俺はアメリカ人だ」と言うのに対し、日本に移住したというビリーの伯父が「俺は
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「HONEYLAND」鑑賞
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「HONEYLAND」鑑賞

こんどのアカデミー賞でドキュメンタリー映画賞だけでなく外国語映画賞にもノミネートされたマケドニアのドキュメンタリー。以降は最後まで内容を語ってるのでネタバレ注意。 舞台となるのは北マケドニア共和国(「北」をつけないと怒る人たちがいるらしい)の田舎村。そこに寝たきりの母親と住むハティゼ(Hatidze )という女性は高い崖の上にいる蜂の巣や、自分の家の近くに作った蜂の巣から蜂蜜をとり、それをバスに乗って首都のスコピエに行って売ったりして、細々と暮らしていた。そんな彼女の家の隣に、7人の子供をもつ一家が引っ越してくる。彼らは牧畜を生活手段としており、ハティゼとも仲良くなるが、やがてハティゼが行っている養蜂を自分たちも行おうと巣箱を大量に持ち込み…という話。 撮影には3年が費やされたそうだが、作品自体の尺は90分もない。しかもナレーションもテロップもなく、ハティゼの名前もろくに紹介されないまま話がどんどん進んでいくので、登場する人々の素性などをとにかく憶測しながら観ていくことになる。ハティゼの経歴や、彼女がなぜ養蜂を始めたなどかの説明は一切なし、母親が85歳だというので、彼女自身は60前
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「MONOS」鑑賞
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「MONOS」鑑賞

昨年のサンダンスで高い評価を得た、コロンビアとアメリカ合作の映画。IMDBなんかでは「猿」という邦題がついてるのだけど、日本公開は決まってるのかな? 舞台となるのは南米の某国。内戦が続くその国において反政府ゲリラは高地に建つ廃墟を占領し、そこに誘拐したアメリカ人女性を人質として拘留していた。その廃墟の管理にあたるのは10代の少年少女からなる8人の兵士たちで、彼らの上司はごくまれに指導にやってくるのみ。兵士とはいえまだ若者である彼らは他愛ない遊びに明け暮れるような日々を過ごしていたが、戦火が拡大したり人質が逃走を試みたことで彼らはやがて野蛮化していき…というあらすじ。 話の背景はかなり曖昧にされていて、舞台となる国もコロンビアのようだが明確にはされていない。ゲリラ組織の名前はそのまま「組織(THE ORGANIZATION)」で、彼らが何と戦ってるかの説明はなし。高地を守る少年少女たちは上司には「モノス(猿)」と呼ばれ、メンバー同士は「ウルフ」「ドッグ」「レディー」「ブームブーム」といったニックネームで呼びあうほか、「ランボー」という兵士は性別も曖昧な感じ。彼らの監視下に置かれる人質
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2019年の映画トップ10

3年前にやったように、上位5位と下位5位を順不同で観た順に並べていく。ちなみにみんな大好き「アイリッシュマン」は未見な。 <上位5位> ・「アベンジャーズ/エンドゲーム」 前作よりもずっと楽しめる内容になっていたし、きちんとキメるところはキメて、長年にわたるマーベル作品の流れをきちんと締めくくる出来になっていた。これから何が続くにせよ、この作品までの盛り上がりを再現するのは難しいだろう。 ・「アド・アストラ」 今年は「ハイ・ライフ」もそうだったけど、孤独な宇宙探索ものって個人的に好きなのです。この監督の前作に続き、探検に執着する父子の姿が良かった。ブラピは「ワンス・アポン〜」とあわせて今年は良い演技を見せていたな ・「BOOKSMART」 飛行機で観たので、内容はたぶんカットされていると思う。それを置いておいても、同級生たちのあいだで空回りするガリ勉女子ふたりの青春物語が、観ていて大変切ないのです。 ・「THE ART OF SELF-DEFENSE」 これも飛行機で。巷で話題になったToxic Masculinityが男性に及ぼす効果を、暗く、そして面白おかしく描いた傑作。主
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「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」鑑賞
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「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」鑑賞

ディズニーがFOXを買収した後の作品なので、あの往年のFOXファンファーレ&ルーカスフィルムのロゴのオープニングが観られるかと期待してたんだが…ネズミはそんなに寛容ではなかった。以後はネタバレ注意。 結局やはりエイブラムスだよねえ。何をすれば観客が喜ぶかを計算して映画を作っているだけで、自分の芸術性などは二の次。だから結局のところ無難な作品した作れなくて、過去のレガシーにおんぶにだっこしてるだけ。彼の作家性を伺わせるトレードマークといえば、目障りなレンズフレアくらいじゃ無いだろうか。しかも今回顕著なのは、自分が撮らなかった前作を嫌ってるんじゃね?と思わせる展開があったこと。 いや確かに「最後のジェダイ」はプロット的にはいろいろ問題あったけどさ、少なくとも「エピソード4」の焼き直しだった「フォースの覚醒」よりかは新しい要素を取り入れようとしていたじゃん?フォースはジェダイのみが持つ特権ではなく、もっと誰もが秘めているものという扱いだったじゃん?それが今回はあからさまな血統主義にとらわれていて、ジェダイもシスもみんな先祖が偉大だったのでフォースを使えるんですという展開。「ファントム・メ
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「THE NIGHTINGALE」鑑賞
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「THE NIGHTINGALE」鑑賞

カルト人気を誇る「ババドック~暗闇の魔物~」のジェニファー・ケント監督による2作目で、今回はホラーというよりもオーストラリアン・ウェスタンになっている。 舞台は1825年のタスマニア。その地に犯罪人として送られ、夫と幼児とともに暮らすアイルランド人のクレアは、自分の刑期が終わって3ヶ月が経ったのに未だ釈放の承認が下りず、英国軍の士官ホーキンズに労働を強いられ、さらには彼の慰みものにされるという辛い日々を送っていた。彼女の扱いに激昂した夫のエイダンはホーキンズに殴ってかかり、その報復としてホーキンズはクレアの家に押し入り、エイダンと幼児を殺し、クレアを部下に陵辱させる。そしてホーキンズはタスマニア北部に去るが、夫と子を殺されて復讐の鬼と化したクレアはビリーというアボリジニの青年を案内人として雇い、ホーキンズを追うのだった…というあらすじ。 監督自身がオーストラリア出身で、自国の暗い歴史に興味があったらしく、暴力に満ちた追跡劇が繰り広げられていく。飲んだくれの兵士たちが幅をきかせる土地において女性の権利など無いに等しく、クレアだけでなくアボリジニの女性がホーキンズに誘拐されて慰みものに
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「ミッドサマー」鑑賞
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「ミッドサマー」鑑賞

「ヘレディタリー/継承」のアリ・アスター監督によるさらなるホラー。日本では2月公開ということで感想をざっと書きますが、内容を語りにあたりネタバレせざるを得ないので以下は注意。 身内にきつい不幸があったため精神的に不安定になっていたダニという女性が、彼女に迷惑してそうなボーイフレンドに連れられて、スウェーデン人留学生の里帰りに友人数名と同行することになる。帰省先は田舎のコミューンで、昔ながらの習慣に従って夏至の祭りを祝おうとしていた。笑顔を絶やさない地元の人たちにダニたちは歓迎されるものの、やがて周囲で奇妙なことが起きるようになり…というあらすじ。 ぶっちゃけ話は「ウィッカーマン」そのままで、地元のカルト民に翻弄される部外者をテーマにしたもの。「ウィッカーマン」「ヘレディタリー」同様に、いろいろ事前に仕掛けられたプロットに主人公がハメられていく話なので、そういうホラーが好きでない人には向かないかも。「ヘレディタリー」に比べて急にビックリさせるようなシーンが少ない反面、カメラワークが上達していて、楽しそうなんだけどなんかヤバいコミューンの姿を端麗に描いている。物語の途中に出てくるタペス
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「KNIVES OUT」鑑賞
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「KNIVES OUT」鑑賞

ライアン・ジョンソンの新作。日本では「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」の邦題で1月末に公開らしい。キャスリーン・ケネディに解雇されずに「スター・ウォーズ」作品を監督したことで一躍名を挙げたジョンソンだが、デビュー作は高校生探偵映画「BRICK」であったわけで、今作はその原点に戻るかのような推理ものになっている。よって以下はネタバレ注意。 舞台はボストンの巨大な館。そこには有名推理小説家のハーラン・スロンビーが住んでいたが、ある朝彼は喉を切られた死体となって発見される。警察によって彼の死因は自殺とみなされ、彼の膨大な遺産を分けるために彼の子供たちが館へと集合するが、何者かによって雇われたという探偵のブランクが現れ、皆に聞き込みを始める。そして家族に隠された秘密が徐々に明らかになっていき…というあらすじ。 原作などはないもののアガサ・クリスティの作品にインスパイアされたとかで、設定自体は「BRICK」に比べると比較的ストレートなフーダニットものになっているかな。ただし途中でプロットに大きなヒネリがあって、単純な犯人探しものではなくなったりする。個人的にはちょっとそれが興醒めだっ
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機内で観た映画2019 その4

9月から月イチで飛行機に乗ってるのだが、さすがに疲れますな。観るものがなくなってきてR指定の作品を鑑賞したりしたが、あまり内容はカットされていなかったと思う。ストリッパーの映画を観てるのを周りの乗客に気づかれたりしないか、ちょっとドキドキしましたが。 * 「READY OR NOT」: 金持ち一家に嫁いだ花嫁が、結婚式の晩に奇妙なゲームに参加することになるという、文字通りの「さあゲームの始まりです」映画。まあその手の邦画よりは予算かかってるだろうし、そこそこ面白いのだが。ただ屋敷でのかくれんぼというルールながら、結構早い時点で屋敷の外に出てしまっているのが残念。最後のオチもなんとなく分かったし。どうせB級映画なのだから、もっとえげつない展開にしてもよかったのに、比較的無難な出来になってしまっていた。 * 「ハスラーズ」:リーマンショックの時期にも頑張ってウォールストリートの社員たちから金を稼ごうとするストリッパーたちの物語。胸はさすがいにボカシ入ってました。プロデューサーにアダム・マッケイ(&ウィル・ファレル)がいるので金融業界を風刺した内容になっているけど、「マネー・ショート」
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「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」鑑賞
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「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」鑑賞

まあ実は聖地ってあまり関係なかったりするのだが。好きなシリーズの最終章ということでちょっとドキドキしながら観ました。日本公開前なので感想をざっと: * 舞台は前作の1年後。部族の長となったヒックが、ドラゴンを狙う人間たちの侵攻をいかに退けるかがテーマになっていて、悪い人間VSヒックたち、という構図は前作に似ているかな。ヒックが青年になっていることもあり、よりシリアスな内容になっているのも特徴。 * その一方ではポスターにあるようにトゥースレスの相方みたいなドラゴンも登場しまして、その馴れ合いのシーンが第1作のヒックとトゥースレスの湖畔(だっけ)のシーンに通じるところもあって、うまく過去作を反映させているなと。 * 悪い人間側には、前作以上に狡猾なハンターが出てきてトゥースレスを狙ったりするのだが、変にヌケたところもなく、かなり知的なヴィランであったのが話に緊迫感を与えて良かったですよ。ボウガン強すぎだろ、と思ったけど。 * 部族とドラゴンたちの安全を模索するヒックの苦悩が大きく扱われているものの、リーダーの割には事前準備(偵察)とかしないで物事を実行に移していたような?賢いお
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機内で観た映画2019 その3

こないだ何故かサウジアラビアまで行ってきたので、機内で観た映画の感想をざっと。 * 「THE ART OF SELF-DEFENSE」: 路上で暴漢に襲われたことがきっかけで空手道場に通い始める男性をジェシー・アイゼンバーグが演じるダークなコメディ。道場が健全なようでそうでもないことが明らかになるのだが、マッチョの思想にとらわれて道場の師範の言いなりになる描写が「ファイト・クラブ」に通じるものがあるな。しかし1番ヤバい人物はアイゼンバーグだったというわけで、神経質なタイプを演じさせたら巧い彼の才能が100%活かされた作品ではないでしょうか。個人的には今年ベスト級の出来だった。 * 「STAN & OLLIE」: 邦題は「僕たちのラストステージ」。まあローレル&ハーディの知名度が低い日本だとこういう邦題になるのかな。晩年の彼らを扱った内容のため、コメディアンが主人公ながらもダウナー系の出来になっているのはいかがなものか。なおむかしコミックの「プリーチャー」で語られていた「ローレル&ハーディが船でアイルランドに着いたとき、教会の鐘が彼らのテーマ曲を鳴らして迎えた」というシーンがあった
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「ターミネーター:ニュー・フェイト」鑑賞

なぜ原題は「ダーク・フェイト」なのに邦題は「ニュー・フェイト」なのか。まあいいや。感想をざっと書きますが、以下はネタバレがいろいろ含まれてます: * マッケンジー・デイビスは正義。これは最初に言っておく。 * 冒頭から「T3」を全否定するような展開で、あーそこからやり直すのね、という感じ。 * しかしその後の話はいつものパターンで、未来からターミネーターがやってきて、それをやっつけるために戦うというだけ。6作目ともなると流石に飽きてきますよ。 * 前も書いたように個人的には「T1」原理主義者なので未来がコロコロ変わるのは感心しないのですが、今回はかなりご都合主義的で、「スカイネットが阻止された→新たな敵が現れた」「ジョン・コナーがいない→別のリーダーが登場する」というゴールポストを動かすようなものでは、サラ・コナーたちが戦ってる意味がないと思うんだけどね。「ターミネーター」シリーズがいかにマンネリ化しているのかを実感させられた2時間だった。 * いや今回はジェームズ・キャメロンのもとに権利が戻ってきたとかで、密かには期待してたんですよ。それなりに新しい方向性を打ち出すんじゃ
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機内で観た映画2019 その2

こないだヨーロッパに出張に行ってきたので、機内で観た映画の感想をざっくりと: * 「トイ・ストーリー4」:野良アプリならぬ野良トイ、というか浪人トイがテーマになった今回、前半のフォーキーのアイデンティティ・クライシスの話と後半のアクション主体の部分がうまく噛み合ってないような?前作よりは面白かったけど、もうこれ以上続編作るのは難しいだろうなあ。ウッディとバズの声優の格差を反映してか、殆どウッディの話になってましたね。 * 「イエスタディ」:ビートルズのいない世界ではラットルズが王になるのでは、と思ったけどオアシスもいないようなので、彼らも存在しないのでしょう。リチャード・カーティスの脚本にダニー・ボイルの映像が加わった王道の出来なので、細かいこと考えずに観れば十分楽しめる作品じゃないですかね。字幕で「cider」を「ソーダ」と訳してたのは気になったが。 * 「ジョン・ウィック:パラベラム」:アクションはスタイリッシュですごいと思うのですが、いかんせんストーリーが単調というか何というか。主人公が遠方まではるばる旅をした意味はあったんかい?続編もしっかり作られる予定みたいですが、も
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「ジョーカー」鑑賞
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「ジョーカー」鑑賞

まだ公開したばかりなので感想をざっと。以下はネタバレ注意。 * 話がどこにたどり着くのかは最初から分かってしまっているので、ストーリー自体に驚きなどはない。ホアキン・フェニックス演じる主人公の変化の過程を楽しむ作品かと。 * 「タクシー・ドライバー」や「キング・オブ・コメディ」そといったスコセッシ作品のパスティーシュと呼ばれ、確かに70年代感を強く出している一方で、内容は非常に現代的というか、貧富の格差とかインセル問題といった現代社会にはびこる欲求不満をうまく反映させていた。観てる最中に香港でのデモやアノニマスのことを連想した人は多いはず。 * 音楽はゲイリー・グリッターの「Rock And Roll (Part 2)」といえば野球の試合とかでの定番曲だったかと思うが、グリッターが児童ポルノで捕まってからは、この映画のように「悪人のテーマ」として使われるようになってしまいましたね。 * ゴッサム・シティの風俗街では「Ace In The Hole」というポルノ映画をやっているらしく、「Zorro The Gay Blade」もタイトルからてっきりそっち系の映画だと思って、ウェ
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「THE DAY SHALL COME」鑑賞
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「THE DAY SHALL COME」鑑賞

「FOUR LIONS」に続くクリス・モリスの監督作がしれっと出ていたので早速鑑賞。 舞台はマイアミ。モーゼス・アル・シャバズはアヒルを通して神が自分に語りかけてきたという妄想を抱いた男性で、妻子や友人などを集めてスター・オブ・シックスという数名ほどの教団を作り、農園を営みながら細々と活動を続けていた。彼の教えは白人社会の転覆を訴える一方で、銃器の使用を禁じるという決して暴力的なものではなかったが、教団の行いはFBIの知るところとなる。テロを防止していることをアピールしたいFBIは、モーゼスの教団をテロ組織にでっち上げるべく、イスラム国のメンバーが資金と武器を提供したがっているという話をモーゼスに持っていく。銃の受け取りに難色を示したモーゼスだが、農園の立ち退きを迫られて金に困っていたため、この話を受け入れることになる。しかしFBIとマイアミ市警の主導権争いなども絡んで、話はあらぬ方向に展開していく…というあらすじ。 テーマ的には「FOUR LIONS」によく似ていて、あちらは頭の弱いテロリストたちの話だったのに対し、こちらは間抜けなFBIの話といったところ。ただしこの映画では本当
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「アド・アストラ」鑑賞
映画評

「アド・アストラ」鑑賞

なんか日本では評判がイマイチのようですが、個人的には大変楽しめた作品だった。「EUROPA REPORT」とか「THE WILD BLUE YONDER」とか「VIRTUALITY」など、ホラーからアート映画からTV番組まで、おれ宇宙探索ものが好きだということを改めて実感しました。公開中なのでざっと感想を書くけど、結末についても書きたいので、以降はネタバレ注意。 * 海王星にて消息を絶ったけど生きているらしい父親を探しに、遠路はるばると旅をして道中いろんな危険に見舞われる息子の話だが、話のプロット的には「地獄の黙示録」によく似ている。主人公のモノローグで心境が語られるところも。あるいはさらに、監督の前作「ロスト・シティZ」にも似ているところがあったな。父親の執念に付き合わされる息子の姿を、あちらは父親の観点から描いていたが、こっちでは息子の観点になっているというか。 * ハードSFっぽい内容のようで、基本的に焦点が当てられるのは主人公の内面であり、いわゆるインナースペースSFというのはこういうのを指すの? * 撮影監督が同じホイテ・ヴァン・ホイテマなので、「インターステラー」っ
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「BRIGHTBURN」鑑賞

ジェームズ・ガンがプロデュースしたSFホラー。脚本がガンの従兄弟ふたりで、監督も「ガーディアンズ」にチョイ役で出演した人という、ジェームズ・ガン人脈で作られた小品になっている。日本では映画配給に乗り出した楽天が公開するらしいですが、いつになることやら。以降は思いっきりネタバレしてるので注意。 プロットは、まあ予告編見ればわかるのですが、一行で説明すると: もしスーパーマンが悪人だったら? というもの。カンサスの農家に赤ん坊を乗せた宇宙船が墜落し、ちょうど子供を欲しがっていた農家の夫妻がそのまま赤ん坊を養子として育てることに。ブランドンと名付けられた少年は、しかし12歳になると超人的な能力を見せつけるようになり、それと同時に奇怪な言動をとるようになり、周囲の人々を不安がらせるようになる…というのがおおまかなあらすじ。 ブランドンの能力は怪力・飛行・ヒートビジョンといったところで、スーパーマンそのまんま。あとちょっと電気器具を操れるみたい。赤ん坊のときに乗ってきた宇宙船が納屋に隠されているところなんかも、明らかにスーパーマンを意識してますな。DCコミックスにキャラクター使用料を払っ
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