映画評 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」鑑賞 公開中なので感想をざっくりと。ネタバレ注意。 * ブラッド・ピット主演というわけではないが、タランティーノ作品としては雰囲気的には「イングロリアス・バスターズ」に似ていた。あっちはタランティーノの戦争映画の趣味が詰め込まれていたのに対し、こっちは60年代のエクスプロイテーション映画とかマカロニ・ウェスタンの趣味が詰め込まれているというか。 * 「バスターズ」ではヒットラーが歴史改変の憂き目に遭っていたので、こっちもそんなオチになるんじゃね?と思ってたら本当にそうだった。よってラストの展開はそんなに驚きはなし。 * あとブラピのキャラがブルース・リーと戦う展開も、リーの娘がクレームを入れたことで結果を知ってしまったので、意外性はなし。 * というわけで話の展開がなんとなく分かっていたし、そもそもの脚本がファーストアクトにセカンドアクトにサードアクトときっちり組まれているような構成ではないし、ただ当時のハリウッドの雰囲気を眺めるような、そんな内容になっていた。 * つまりタランティーノの趣味の世界に2時間以上も付き合わされるわけだが、いろいろ小ネタは多いし、ブラピの車の飛ばし方
映画評 「The Standoff at Sparrow Creek」鑑賞 良い評判を聞いていた低予算映画。ヘンリー・ダナムなる人の初監督・脚本作品らしい。 アメリカのとある片田舎の夜。その土地の民兵組織のメンバーであるギャノンは、警察無線を聞いているうちに何者かが警察官の葬式において銃を乱射し、逃走していることを知る。自分たちの組織にあらぬ疑いが向けられることを危惧したギャノンは、組織のほかの6人のメンバーたちとアジトに集結する。そこでしばらく潜んでいようという計画だったが、保管していた銃が1つ無くなっていることが発覚し、彼らの中に銃撃犯がいる疑いが出てきてしまう。メンバーのうち誰が犯人であるかを突き止めるため、元警官でもあるギャノンは調査を始めるのだが…というあらすじ。 舞台は夜のアジトだけで、女性も一切登場しないまま、ムサい男たちの腹の探り合いが繰り広げられる密室劇になっている。メンバーにはそれぞれアリバイがあり、彼らに対してギャノンが尋問をしていくのだが、メンバーのひとり(ギャノンのブラザーらしいのだが、実際の兄弟なのかはいまいち不明)は実は覆面警察官であり、ギャノンもそのことを知っていて、彼には他のメンバーから危害が加えられないよう苦心するという
映画評 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」鑑賞 公開中なので感想をさらりと。とはいえヴィランに言及しないといけないので以下はネタバレあり。 * 前作では6人いた脚本家が2人になった一方で、全体的にストーリーが散漫になった印象あり。ヨーロッパ各地をまわる設定のため、イベント→休憩→イベントといった流れになっているためか。 * とはいえピーターたち一行が旅行を楽しんでいる(?)のを眺めるのはそれはそれで面白いわけで。ただ大作映画というよりもTVシリーズみたいな展開だな、と感じました。 * 「アメイジング〜」のときもそうだったけど、ロマンスの部分になるとスパイダーマンってやはり良いですね。若者がドキドキしてるところがうまく表現されているというか。ここは他のMCU映画にない、スパイダーマン特有の強みじゃないだろうか。 * その一方で敵役がちょっとなあ。ヴィラン自体はリー&ディトコのキャラクターのなかでもその独創的なデザインが好きだし、彼なりの特徴ある戦い方などはうまく描けてると思うのですよ。ただエレメンタルズという相手がアベンジャーズ的というか、路上で戦うスパイダーマン向きではないというか。もうちょっとマンツーマンで戦うようなシー
映画評 「BORDER」鑑賞 スウェーデン作品で、日本では「ボーダー 二つの世界」の題で秋に公開みたい。 原始人めいた顔つきをしたティナは、スウェーデンの税関に努める女性。彼女は人の罪悪感や羞恥心を感じ取ることができるという才能を持っており、その力を活かして旅行者が持ち込む規定以上の酒や、さらにはいかがわしい映像の入ったSDカードまでも嗅ぎ当てることができた。その能力を認められ、幼児ポルノの調査を手伝うように依頼されるティナ。その一方で彼女は人付き合いを好まず、山奥に恋人とひっそりと暮らしていた。そんな彼女はある日、自分に顔つきのよく似たヴォアーという人物に出会う。何度かヴォアーと会ううちに惹かれていくティナだったが、やがて自分に関する意外な事実を知ることになる…というあらすじ。 原作は「ぼくのエリ 200歳の少女」のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストで、あの作品と同様に現代社会を舞台にしたファンタジー作品になっている。どこらへんがファンタジーか、というのはネタバレになるので書きませんが、まあムーミンが生まれた北欧らしいというか。ただファンタジーといっても特撮描写みたいなものは殆どなくて、大人のおとぎ話、といっ
映画評 「X-MEN: ダーク・フェニックス」鑑賞 海外でちょっと先に観てきてしまいました。以下はいちおうネタバレ注意。 * 「ダーク・フェニックス・サーガ」といえばコミック史上に残る有名なストーリーラインだが、ヒーローが強大な力を手に入れたことで悪に転じて、悲劇的な結末を迎える…というストーリーは必ずしも娯楽大作向けではないと思うのですね。コミックにおいても「本物のジーンは海の底で寝てました」とレトコンされてるし、映画でもすでに「ファイナル・デシジョン」で一回やって、あまり面白くなかったし。「アポカリプス」もそうだったが、あまりコミックに沿わないほうが劇場版「X-MEN」は面白いのではないか。 * 製作時はまだディズニーによるFOXの買収は影響なかったと思うけど、それでも何というか、フランチャイズの末期の疲れみたいなものが感じられる内容になっている。せかしたプロット、拘束時間が短かったのか途中退場する出演者などなど。 * 映画作りでいちばん避けるべきことは「共感できるキャラクターが誰もいない」状況を作ってしまうことだと思うのだけど、この映画の前半はまさしくそんな感じ。プロフェッサーXは大衆の人気を得るために大統領に媚びへつらっ
映画評 機内で観た映画2019 その1 先週と先々週にと出張が続いて体がダルくて仕方ないのですが、忘備録的に感想をざっと: * 「THE BOY WHO WOULD BE KING」:ジョー・コーニッシュの待望の新作ですが日本では例によってソフトスルーだそうな。普通の少年がアーサー王の再来となって活躍する冒険譚だがストーリーは比較的凡庸というか先が読めるものであったような。「ドクター・フー」の特番くらいの出来というか。若きマーリンを演じたアンガス・イムリーという役者がエキセントリックでいい演技をしていて、またどこかで見かけるんじゃないかと。「アタック・ザ・ブロック」並みの出来を期待していると失望するであろう作品。 * 「FIGHTING WITH MY FAMILY」:これ監督がスティーブン・マーチャントなんだよな。でも前に監督した「CEMETERY JUNCTION」みたいなキッチンシンク的な家族ドラマになっているわけでもなく、WWE製作によるWWEのプロパガンダ映画みたいになっている。WWEのプロレスラーになった少女の物語だけど、WWEがすごく良いところのように描かれているのですもの。ニック・フロストとか出てるし、
映画評 「Batman & Bill」鑑賞 いまちょっとVPNをゴニョゴニョしてアメリカのHULUに加入してまして、いくつか観たかった作品をチェックしているのでございます。そのうちの1つがこれで、バットマンの知られざるクリエイターであるビル・フィンガーにまつわるドキュメンタリー。 バットマンのクリエイターといえばアートも担当したボブ・ケイン(写真左)が有名だし、コミックも映画も長らくケインのみが唯一のクリエイターとしてクレジットされていたが、実際のキャラクター設定などはケインの友人だったビル・フィンガー(写真右)が行った、というのはアメコミファンのあいだで長らく語られてきた話でありまして、ここらへんは明確な証拠などは存在しないものの、ジェリー・ロビンソンやカーマイン・インファティーノといった同時代のアーティストが証言していることだし、ケイン自身もフィンガーの死後にしれっと認めてたりするのでまず間違いないのでしょう。 ケインの当初のデザインでは凡庸な格好だったバットマンを闇の騎士としてのデザインに変え、ジョーカーやリドラー、ブルース・ウェインといったキャラクターを生み出していったのが実はフィンガーであることが、このドキュメンタ
映画評 「THE MAN WHO KILLED DON QUIXOTE」鑑賞 というわけで長年企画されていたテリー・ギリアムの映画がついに完成したのだよ。いろいろ災難に見舞われることで知られるギリアムの作品のうちでもこれは数々の製作中止を経験してきたもので、その苦節はドキュメンタリー(2本)で扱われているほど。冒頭のクレジットから「25年の製作期間を経て…」などと表示されるのは感慨深いものがありますな。以降は当然ながらネタバレ注意。 舞台はスペインの片田舎。そこでドン・キホーテをテーマにしたコマーシャルを撮影していたCM監督のトビーは、撮影がうまく進まず、上司からのプレッシャーに悩まされていた。そして夕食の際に、彼は自分が10年前の学生時代に撮影した映画「ドン・キホーテを殺した男」のDVDが売られているのを発見する。これは彼の卒業制作として、地元の靴屋の老人ハビエをその場でキホーテ役にキャスティングし、バーの娘のアンジェリカも起用して撮影したものだった。 この映画を撮影した村がすぐ近くにあることを知った彼は、CM撮影の合間に村へと向かう。そこで彼が発見したのは、10年前の撮影によって影響を受けた村だった。アンジェリカは女優になれることを信じて村を去り、ハビエ
映画評 「What We Left Behind」鑑賞 正式名称は「What We Left Behind: Looking Back at Star Trek: Deep Space Nine」で、その名の通り「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」(以下「DS9」)についてのドキュメンタリー。2年前に製作のためのクラウドファウンディングが通知され、あっという間に資金が集まったはずだが、監督が交代したりアーカイブ映像をHD化しているのに時間がかかり、やっと完成されたもの。 「DS9」って、特に日本の「スター・トレック」ファンのあいだでは内容が暗いといった理由で敬遠されているきらいがあるが、個人的にはスター・トレックのシリーズの中ではダントツで好きな作品であるだけでなく、SFドラマ、さらにはすべてのTVシリーズのなかでもトップ5に入るくらいに好きな作品でして、このブログの最終目的も「DS9」がいかに素晴らしい作品であるかを書くことなのですが(いやホントに)、文章力が拙いために未だそれが実現できていないのです。以下はDS9の専門用語がバシバシ出てきますがお付き合いのほどを。 この2時間ほどのドキュメンタリーではショウランナーだったア
映画評 「アベンジャーズ/エンドゲーム」鑑賞 絶賛公開中なので感想をざっと。以下はネタバレ全開なので注意。 * 戦闘シーンが続いてばかりだった前作に比べ、今回はプロット重視になっていて断然楽しめる出来になっていた。キャストも指パッチンされた面々がいなくなった分、ストーリーがアベンジャーズの主要キャラ(プラス数名)のみに専念されて話がグイグイ進み、3時間という長尺が気にならない展開であったよ。しかし前作のラストで活躍が期待されたキャプテン・マーベルが強力過ぎて、話にほとんど関わらないのはご愛嬌。 * タイムトラベルが絡んだストーリーの常として、いろいろパラドックスとがが気になるのだが、まあそこは真面目に考えても仕方ないでしょう。これが過去のMCU映画を再び訪れるという仕掛けになって、ナタリー・ポートマンやレネ・ルッソ、さらにはロバート・レッドフォードといった役者などが再登場していたのは見事なファンサービスでしたな。いっそエドワード・ノートンとかテレンス・ハワードなんかもしれっと再登場させれば良かったのに。 * サノスがあまり面白くない敵役なのは相変わらずで、しかも今回は主人公たちよりも知っている情報が少ないという損な役回りな
映画評 「シャザム!」鑑賞 DCコミックス原作の映画だが、予算感としては中規模なんじゃないかな?主役のキャラクターは嫌いじゃないがそんなに思い入れはない。フォーセット・コミックスでブイブイ言わせていた時代なぞ当然知らないので、DCに移ってスーパーマンの二番煎じに甘んじていたヒーロー、という印象が強いのよね。個人的に好きなコミックははまだキャプテン・マーベルという名前だったころのジェリー・オーダウェイの一連の作品と、ジェフ・スミスのミニシリーズのやつだが、今回の映画版はジェフ・ジョンズのNew 52のものをベースにしてるので、あまり詳しい訳ではないです。以下は感想をざっと: * DCコミックス作品としては初めてニューライン・シネマが製作した映画になるわけで、まあ何となく「ホビット」みたいなファンタジー路線に合ったものになってるんですかね。 * そもそも主演がザ・ロック様ことドウェイン・ジョンソンありきで製作が進んでいたはずだが、ロック様が主人公のシャザムでなく敵役のブラック・アダムを演じたがったことで主役不在となり、さらにブラック・アダム単体で映画を作ることになって今回は登場しなくなったわけだが、ここらへんの
映画評 「Dragged Across Concrete」鑑賞 「BONE TOMAHAWK」「BRAWL IN CELL BLOCK 99」に続くS・クレイグ・ザラーの脚本&監督作品。以下はネタバレ注意。 ブレット・リッジマンはベテランの警官であるものの、その我が道を行くスタイルのために出世できず、自分より20歳も若い警官のアンソニー・ルラセッティと組んで張り込み業務を行なっていた。しかし逃げようとした容疑者を手荒く扱った様子が撮影され、ニュースとして報じられたために二人は6週間の停職処分を受けてしまう。家族を養ったりするのに金が必要な彼らは、街にヴォーゲルマンという犯罪者が潜んでいることを知り、彼の犯罪の収益を横取りしようと張り込みを始める。そしてヴォーゲルマンが銀行強盗を遂行するのを見届けた彼らは、その獲物を奪うために一味の車を追うのだが…というあらすじ。 スタイル的には前作の「BRAWL IN CELL BLOCK 99」こと「デンジャラス・プリズン」を踏襲していて、どこが同じかというと: * ヴィンス・ヴォーン、ジェニファー・カーペンター、ドン・ジョンソン、ウド・キアー(!)といった役者が引き続き出演している * 尺がやたら長い
映画評 「Blindspotting」鑑賞 昨年のサンダンスで公開されて高い評価を得た作品。 舞台はオークランド。酒場のケンカで逮捕されて仮釈放されたコリンは、保護観察期間が終わるまであと3日に迫っていた。彼は幼馴染の悪友マイルズと引っ越し会社で働いていたが、夜に帰宅しようとしたときに黒人男性が白人の警察官に撃ち殺されるのを目撃してしまう。この出来事に苛まれるコリン。一方のマイルズは妻子がいるのにブチ切れやすいタイプで、悪ノリで入手した拳銃をチラつかせて、コリンは気が気でない。果たして彼は無事保護観察期間を終えることができるのか…というあらすじ。 いちおうコメディドラマという扱いになっているようだけど、コメディの要素はあまりなくて、オークランドの現況を背景にした、いい年した男ふたりの青春物語といった感じ。「Sorry To Bother You」と同時期にオークランドで撮影したらしいが、あの作品ほど話がとんでもない方向に行くわけでもなく、人種差別とか銃問題とかをうまく織り込んで話が進んでいく。タイトルの「Blindspotting」は劇中の説明だと、1つのことが見えて別のことが見えない目の錯覚のことらしく、これが人種
映画評 「キャプテン・マーベル」鑑賞 公開したばかりなので感想をざっと。以降はネタバレ注意。 * 主役のキャラクターについては「ミズ・マーベル」だった頃の、ずっと昔に出た邦訳のコミックを持っていた覚えが。あとはアメコミを本格的に読み始めた頃はXメンのローグにパワーを吸い取られて昏睡状態に陥っていたという不遇な状況だったので、個人的にそんなに思い入れはなし。 * しかし最近はコミックで主要なキャラクターになった(「シビル・ウォーII」はグダグダだったけど)」ということと、女性が主人公のマーベル映画が求められていたということもあり、映画化については満を侍して、という感じですかね。 * 舞台は1990年代ということで、サントラも90年代ロックが多用されてるわけですが、「ガーディアンズ」に比べるとメジャーな曲ばかりで渋い選曲はなかったな。PCの遅さとかがネタになるあたり、自分が多感な時期を過ごした90年代は遠くになりけり、という感じでした。 * 映画のスタイルも90年代のアクション映画っぽくて、サミュエル・ジャクソンとの掛け合いとかはバディ・コップものの亜流ですな。昔だったら金曜ロードショーなどで放送されてたような作品を
映画評 「Three Identical Strangers」鑑賞 昨年高い評価を得たドキュメンタリー。東京国際映画祭でも「まったく同じ3人の他人」の題名で公開されてたのね。これあらすじをただ書くだけで面白いので、以降は完全なネタバレになります。 物語は1980年代初頭から始まる。新しく大学にやってきた男子生徒のボビーは、あらゆるところでエディという別の生徒と間違えられる。エディの元ルームメイトに至ってはボビーを見て驚愕し、彼を連れてエディの家へと車を走らせる。そこでボビーが対面したのは、格好が彼に瓜二つで、誕生日さえも一緒というエディの姿だった。実はエディとボビーは同じユダヤ系の母親のもとに生まれた双子で、お互いの存在を知らぬまま別々の家庭に養子として引き取られて育ったのだった。 今までお互いのことを知らなかったのにも関わらず、ボビーとエディは意気投合して「再会」を喜びあう。この二人のことは瞬く間に話題になり、ニュースにも取り上げられた。そしてそれを知って彼らに連絡をしてきたのが、これまた彼らにそっくりな格好をしたデビッドだった。実は彼らは三つ子であり、彼らの驚異的な物語は全国の話題となって彼らは様々なテレビ番組に引っ張りだこになる。映画「マドン
映画評 「スパイダーバース」再見 アカデミー賞を獲ったというのに日本ではまだ一般公開されてない「スパイダーマン:スパイダーバース」ですが、先にUSのデジタルダウンロード版を購入してしまった。特典映像はそんなに多くはないけど製作陣のコメンタリーや未公開シーンの映像(大半が絵コンテ程度だが)などもあって、どうやって作品が完成していったかが分かるのが興味深いのです。また情報量が圧倒的に多い作品なので、最初に観たときは呆気にとられて気づかなかった細かい演出も、繰り返しみるといろいろ気づくので面白い。とりあえず演出で気づいたことと、未公開シーンの解説を羅列していくが、ネタバレを防ぐために白文字とします。ロード&ミラー&監督3人のコメンタリー付き映像はまだ観てないので、あとで追記するかも。 演出で気づいたこと: 最初のほうでピーターが「俺はドローンにぶつかった〜」とか語るのに対し、ラストでマイルズもドローンに直撃されている。この作品、このように繰り返す演出が多いよな。マイルズがピーターに足払いをくらったのち、クライマックスでピーターにやり返すところとか。 最初にメイおばさんの秘密基地で故ピーターのコスチュームを眺めるとき、マ
映画評 「アリータ:バトル・エンジェル」鑑賞 原作は読んだことなし。感想をざっと。ネタバレあり。 ・ジェームズ・キャメロン製作&脚本ということが宣伝では謳われているけど、(エンドクレジットの短さから察するに)比較的少人数で製作し、テキサスで撮影し、サントラには自分の作った曲をいれているあたり、これロバート・ロドリゲスの映画だよなあ。 ・キャメロンが脚本だけ書いて放置してたのを、なら俺が撮るわ、とロドリゲスが拾って脚本を切り詰めたらしいが、そのためか残り4分の1のところで悪役との戦いが一旦おさまってしまい、日常生活に戻ったところでモーターボール参加の話がでてくる流れに違和感を感じてしまったよ。 ・アクション映画たるもの、話の緊張感を保つために主人公たちは常に迫り来る危険に晒されていなければならない、というのが俺の持論でして、「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー2」をあまり評価してないのもこの理由だが、この作品も急に「お金ほしいから試合に出ようか?」みたいな話になったのでガクっときたよ。あそこ脚本で中をつまんだんだろうな。 ・とはいえその後のモーターボールのシーンも含め、アクションは迫力ある出来だし、あまり期待せずに観たら
映画評 「SUPPORT THE GIRLS」鑑賞 昨年「AV CLUB」で高い評価を得ていたコメディドラマ作品。 フーターズのような肌を露出したおねーちゃんたちが働くレストランを舞台に、劣悪な職場環境にも負けずに物事を乗り切ろうとする女性店員の1日を描いたもの。女性店員たちのまとめ役であるリサの1日は新人のオリエンテーションから始まり、他の店員の相談に乗ったり、ダクトに忍び込んだ泥棒を発見したりと大忙し。さらに店長に黙って客に洗車サービスをして仲間の店員のためにお金を集めていたことがバレてしまい、店長と険悪な仲になってしまう…といった内容。 話にそんなにメリハリがあるわけではなく、客からのセクハラに我慢しつつも、頑張って生きる女性たちの姿が淡々と描かれていくような内容になっている。これ監督が「COMPUTER CHESS」の人だそうで、あれも1日が淡々と語られる内容だったなあ。こっちのほうが人物や会話が生き生きしてますが。 主人公のリサを演じるのは、こないだの「BLACK MONDAY」にも出ていたレジーナ・ホール。根はいい人なんだけどいまいち運に恵まれてない中間管理職をうまく演じてます。上司がアホで部下が身勝手だとね、やはり疲
映画評 「アクアマン」鑑賞 感想をざっと。かなり分かり易い映画だった。ピカピカ光るものがたくさん出てきて、会話シーンがしばらく続いたかなと思ったら壁がボーンと吹っ飛んで悪役が登場したり。パチンコやってるヤンキーが好きそうだな、と考えたりもしたけれど、変にダークだったスナイダー(およびノーラン)時代のDC映画の旧体制から脱却するためには、これくらいのアッケラカンさが必要なのだろう。 皇族の一員であるヒーローの物語、という意味ではマーベルの「ブラック・パンサー」や「ソー」の系統に連なるんだろうが、ジャンゴ・フェットことテムエラ・モリソンが出ていることもあり、「スター・ウォーズ」エピソード1〜3に近いものを個人的には感じたかな。 「ジャスティス・リーグ」を観てるのでモモアのアクアマンには特に違和感なし。金髪の優等生バージョンも見てみたかった気もするけどね。パトリック・ウィルソンはこの監督の常連すな。「クリードⅡ」に続いてドルフ・ラングレンがデカい役をやってるのが良かったりする。 もうちょっと地上の人間からの目線というかアトランティスへの偏見みたいなものを描いて欲しかったし、海中人も内輪で戦ってばかりいないで地上人
映画評 「HOTEL ARTEMIS」鑑賞 日本未公開のSF映画。 舞台は近未来のロサンゼルス。武装した警官たちが市民の弾圧を行う一方で市民たちの暴動が頻発しており、その騒動に紛れて銀行強盗を行ったギャングたちが警察に撃たれて負傷し、闇社会のホテル「ホテル・アルテミス」に避難してくる。そこはナースと呼ばれる初老の女性が運営し、犯罪者たちの傷を治療するホテル兼病院であった。街中での暴動が過激化するなか、ホテルの運営に専念しようとするナースがったが、負傷した警官が担ぎ込まれ、さらに犯罪社会のボスであるウルフ・キングという男もやって来たことから事態は混乱を招き…というあらすじ。 舞台としてのホテル・アルテミスは「ジョン・ウィック」に出て来た殺し屋ホテルによく似ていて、認められたメンバーのみが入館でき、銃の持ち込みは禁止、館内での殺し合いも厳禁、といった厳しいルールが課せられているのが特徴。まあ例によってルールが破られていくわけですが。 全体的にはとにかく典型的なB級映画で、00年代に20世紀フォックスあたりがビデオスルーで出してたような、ちょっと予算はあるものの脚本とか演出がすごく平凡なやつ(ロックスターがチョイ役で出てるケース
映画評 「EIGHTH GRADE」鑑賞 昨年いろいろなところで高い評価を得た青春映画。 題名通りアメリカの学校の8学年目(日本でいう中学3年あたりか)の終了を目の前に控え、高校への進学が決まったケイラという女の子を主人公にした話。内気なケイラは友達がおらず、「学校でいちばん静かな少女」に選出されるほど。いちおう自己啓発的なメッセージを述べるyoutubeチャンネルをやっているものの誰も視聴する人がおらず、母親も不在で父親と黙々と暮らしているような毎日だった。そんな彼女はふとしたことから学校の人気者である少女の誕生日パーティーに招かれるものの、そこでも周囲と打ち解けることができず…というような話。 いわゆる「痛い女の子」の話というわけではなく、ティーン映画にありがちな主人公が大失敗をするような内容でもなく、ただ青春の不安を抱えた女の子の生活を淡々と描いたような作りになっていて、それがかえって新鮮な感じを与えているのかもしれない。親が意外と物分かりがよくて、子供のほうが焦って空回りをしている、という構図は「ぼくとアールと彼女のさよなら」にも似ているかな。 ケイラはyoutubeチャンネルで、自信を持つことの大切さとかをカメ
映画評 「Brexit: The Uncivil War」鑑賞 まだゴタゴタの続くブレグジットの発端となった国民投票の裏側を描いた、チャンネル4のTVムービー。 2015年にEUからの脱退についての判断をキャメロン首相が国民投票に委ねたことから、離脱派と残留派はそれぞれ投票に向けてのキャンペーンに力を入れていく。政治アドバイザーのドミニク・カミングスはドロドロした政治のやりとりに嫌気がさしていたが、離脱派のチームのリーダーとして迎え入れられる。そこで彼は一般大衆がEU離脱について何を期待し、何を心配しているのかを的確に見抜き、さらにはfacebookなどを通じて人々の行動パターンが瞬時に分かるというアグリゲートIQ社のデータ解析を通じて、キャンペーンを勝利に導くのだった…というお話。 ハゲのドミニク・カミングスを演じるためにベネディクト・カンバーバッチがハゲになって頑張っていて、実際に髪を抜いたのかヅラなのか知らないが、ハゲた人を演じるにはやはりハゲないといけないのかと思った次第です。カミングスはソシオパス気味に周囲を気にせず物事をズケズケと言う人物として描かれており、そこらへんはカンバーバッチが演じたシャーロック・ホームズにも通じるものがある
映画評 「Bros: After the Screaming Stops」鑑賞 平成生まれのお嬢ちゃんたちは知らないだろうが、80年代後半から90年代前半にかけてブロスというイギリスのボーイズバンドがいてね、当時はアメリカのニューキッズ・オン・ザ・ブロックと人気を二分して、日本でも「ミュージック・ライフ」とかでアイドル扱いされていたな。(ちなみにニューキッズはこないだタイムズスクエアで新年コンサートをやったらしく、まだまだ人気があるのだ) ボーカルのマット・ゴスとドラムのルーク・ゴスという双子の兄弟(だから「ブロス」)にベースのクレイグ・ローガンという3人組で人気を博したが、ファーストアルバムのあとにローガンが脱退。その後は兄弟ふたりで活動してたが、いかんせん顔のバリエーションが無いのが災いしてか人気は急に衰え、アルバム3枚でグループは解散。マットはソロシンガーとしてラスベガスを拠点に活動し、ルークは役者となって意外にもギレルモ・デルトロの作品によく出ていたりする。 そしてふたりの母親の死をきっかけに彼らは28年ぶりに再結成することになり、2017年夏におけるイギリスでの公演までの1ヶ月のリハーサル風景を追ったのがこのドキュメンタリー。個人的にはブロスって最盛
映画評 「大轟炸」鑑賞 昨年の「明月幾時有」に続いて新年一発目は抗日映画を観る。とはいえ「明月幾時有」はそれなりの出来だったのに対して、こちらは製作時のゴタゴタが災いしてか相当に残念な作品になっていたのであります。 元々は第2次世界大戦の連合国戦勝70周年を記念して製作され、中国や韓国の役者だけでなくハリウッドからもブルース・ウィリスやエイドリアン・ブロディといったスターを招き、さらには「ハクソー・リッジ」で派手な沖縄戦を監督したメル・ギブソンがコンサルタントを務め(アート・ディレクター説もあるが具体的に何をしたのかは不明)、3Dで撮影された超大作戦争映画になるはずだった、らしい。 しかし出演者の范冰冰が脱税容疑で中国当局によりブラックリスト入りさせられたことで雲行きが怪しくなり、范冰冰だけが理由なのかどうかは分からないけど3D上映はなくなり、さらには中国での公開も見送られる結果になったのだとか。でも冒頭のクレジットに広電総局の許可証が出てくるので、劇場公開しようと思えば出来たのか?アメリカでは「Air Strike」の題でちょっとだけ公開されたらしいけど、他にも「The Bombing」とか「Unbre
映画評 「SORRY TO BOTHER YOU」鑑賞 ザ・クー(The Coup)のブーツ・ライリーの初監督作。ザ・クーって日本での知名度はゼロだろうが、「革命」を意味するグループ名のごとく、ラジカルな左寄りのメッセージソングを唄ってることで知られる人たちなのですね。2001年にアルバムを出す直前にタイミング悪く9/11テロが起きて、そのジャケット(下)が物議を醸したのがいちばん話題になったときかもしれない。 んでこの映画の脚本自体は数年前に出来上がってたらしく、当初は映画化する金がないので脚本をもとに同名のコンセプトアルバムを作ったのだが、それが今年になってめでたく映画化されたらしい。当然ながらサントラはザ・クーの曲ばかりになっていた。 舞台となるのはオークランド。カシアスは金がなくて叔父の家に寝泊まりしている黒人の若者で、家賃を稼ぐためにリーガルビュー社でテレマーケティングの仕事に就くことになる。当初は全く顧客が捕まえられずに狼狽するカシアスだったが、やがて鼻にかかった「白人の声」で電話をかける技を習得し、電話先の相手に自分が白人だと思わせることで数々のセールス案件を獲得していく。その一方でリーガルビュー社の労働環境は劣悪なものに